表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第4章 café「R」〜料理覚書〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

196/218

《第196話》定休日は春キャベツトースト

 野菜を食べなさい。


 連藤の口癖と言ってもいい。

 だが、莉子なりに食べている、つもりだ。


 なのだが、連藤にすると、食べていないらしい。


「……たしかに休みになると、1日2食も食べないからかな……」


 今日は夜から来ると言うので、野菜たっぷりの鍋にしようと言われている。

 鍋はこの前の石狩鍋が気に入ったようで、もう一回私と食べるそうだ。

 連藤なりに味付けを考えているそうで、材料だけ準備を任されている。


 莉子は昼の時報をテレビから聞いた。

 コーヒーしか入っていない胃はすでに空っぽだ。


「何食べよ……」


 春キャベツが冷蔵庫から見つかったので、これをトーストにすることに決めた。

 某YouTuberのお兄さんのメニューを思い出したからだ。


 まず、春キャベツを千切りに。芯はなるだけ薄く切っておく。

 切り刻んだキャベツにマヨネーズ、黒胡椒、動画ではロースハムだったが、あいにく冷蔵庫になかったため、ツナ缶で代用だ。

 砂糖と味の素、塩を入れると美味しいというが、莉子は味の素のみ追加。他を入れなかった理由は、特にない。めんどうだった、というのが答えになるだろう。

 最後に、六枚切りのパンにバターを薄く塗り、キャベツを乗せ、あとはトーストすれば完成だ。

 250℃で5分を基準に、火を入れていく──


 コーヒーを落としている間に、トースターがチンとなる。

 皿にそれを乗せると、山積みだったキャベツが、半分に減っている。


「おいしそう……」


 焼きあがったものを四等分し、皿に盛りつけ、テーブルにつく。

 コーヒーをすすり、ひと口頬張った。


 キャベツのしんなり感と、芯のシャキっとした歯ごたえ、なにより、トーストのサクサク感!


「……へぇ」


 食感のコントラストの面白さはもちろん、シンプルながらにいくらでも食べれる味付けはお見事。

 ついつい頬張ってしまうし、あれだけのキャベツがこれ程に食べやすくなるとは……!


「……毎日これでもいいかも」


 普段ならこれだけの量を食べようと思うと、アゴが痛んでくる。人類が見つけた火の力は素晴らしい。


 連藤からメールだ。


『ちゃんと食べてるいるだろうか』


 不安げなメールに、


『しっかり食べてますよ

 春キャベツのトーストです

 レシピ、お教えしますね』


 この返信で、連藤は納得するのを莉子は知っている。


 やはり目が見えない分、食べている写真など添えても意味がない。

 実際作ったというレシピがあるだけ、説得力が高まるのだ。

 第一に、莉子も作ったものだとアーダコーダと伝えられるが、作っていないものはメールにも書きづらいのもある。


 すぐに返信が来た。


『今日は少し遅くなりそうだ

 19時くらいだ

 飲まないで待ってて欲しい』


 莉子はコーヒーでパンを飲み込み、冷蔵庫を見やる。


 これからの予定を読まれてる……!


 ポテトチップ(野菜)を片手にビールを2本だけ飲む予定だったのだ。


『ちゃんと待ってますから』


 莉子は返信したあと、すぐに立ち上がった。


「……私にはまだ、ノンアルビールが残っている……!」


 やはり映画を観るのにビールがないのは寂しいのである。

 休日は休日らしく!


 莉子の楽しい定休日は、また始まったばかりだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ