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café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第4章 café「R」〜料理覚書〜

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《第187話》サーモンフライとタルタルソース

 良い鮭が、2尾、手に入った。

 頭をとって、鱗をはがしてもらっているだけマシなのだが、それでも、切り身にしなければならない。

 1メートルはある業務用まな板で、3枚に卸していくが、鮭の皮は加工できるほど、硬い。手を気をつけながら、卸していくが、小骨も固い!


「もう、これで今日の業務終わりにしたい……」


 なんとか3枚に卸し、中骨を抜き、切り身にしていくが、ランチを考えると、もう1尾、卸しておくのが正解だろう。

 ため息をつきつつ、莉子は取り掛かる。


 が、終わったときには、もうゲッソリだ。

 それらを適当な大きさに切り、塩胡椒を振っておく。


 次にタルタルソースを作る。

 ゆで卵を作ってる間に、ピクルスのみじん切り、玉ねぎのみじん切り、パセリのみじん切りをおえておく。

 さらに、マヨネーズと蜂蜜を混ぜておく。最後の仕上げにレモン汁を入れる。

 今日はほんのり甘くてさっぱりのタルタルソースだ。

 玉ねぎを水にさらし、辛味をとったり、パセリを水で洗ってしぼり、青臭さを抜いりとしていれば、もう、ランチの時間は迫っている。


 他の準備もしながら、オープンしたランチタイム。

 いつものメンバーのなかで、1着は、連藤だった。


「今日のメニューはなんだろうか」


 お疲れ様もなく、椅子に腰を下ろしたとたんに言ったセリフだ。


「どうしてですか?」

「なんの香りもしないから、きっと、作り立てを食べられると思ったんだが……」


 彼の鼻の良さには、毎回驚かされる。

 莉子は水を運びながら、


「今日は、サーモンフライ、タルタルソース付です」

「ご飯だろうか、パンだろうか」

「ご飯にしましたけど、パンがよかったです?」

「いや、そっちの方がいい。外が寒かったので、味噌汁が飲めるのは嬉しい」

「よかったです。今準備しますね」


 卵に酒を少し入れ、パン粉には粉チーズを混ぜてある。

 どちらも、鮭の生臭みを少しでもやわらげる工夫だ。


 しっかり水気をふいた鮭に小麦粉をまぶし、卵液、パン粉、そして、フライヤーの中へと落としていく。

 じゅわり、といい音が鳴ったのを見て、タイマーをかけ、その間に皿の準備だ。

 小鉢には、じゃがいもの煮物を添えて、千切りキャベツとカットレモン、そこへふた口程度の大きさの鮭フライを盛りつけ、タルタルソースは別添えに、連藤のもとへ。


「できました。どーぞー」


 さっそくと、箸をとり、味噌汁をすする連藤は、にっこり笑う。


「ごぼうの香りがいい味噌汁だ……」


 そして、なにもつけずに、鮭フライをひと口。

 さっくり衣の音を聞きながら、莉子は接客に走る。


 遠目で見るが、やっぱりそうだ。

 連藤は、タルタルソースをディップする派だ。

 かけないで、つける。

 衣に水分がかかるのが好きじゃないそうだ。

 適度にレモンを追加しながら、楽しそうに頬張っている。


「莉子さん、ただいまー。連藤と同じの!」


 カウンターになだれ込むように座ったのは巧だ。


「はいはい」

「おれは、ビーフシチュー」

「瑞樹さんは、ビーフシチューね」


 2人が来たということで、時計を見ると、ちょうど正午をさしている。

 これから混む時間だ。

 莉子は、気を引きしめた。

ありがとうございます!


感想や食べてみたいメニューなど、ありましたらぜひぜひ!

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