《第184話》朝ご飯は目玉焼き
本日、連藤と莉子はいっしょの休日。
朝、ベッドからもぞもぞと出た莉子は、お湯をわかしていく。
昨日の夜ご飯で食べたしゃぶしゃぶの残骸が残っているが、後から片付けることにした。
その間に歯を磨き、顔を洗ってとしていると、連藤がのっそりと食卓テーブルに座っている。
「おはようございます、連藤さん」
「ああ、おはよ……」
「二日酔いですか」
「ひどくはないが、誰かが乗ってるぐらいの重さを感じる……」
どうも日頃の疲れと、日本酒がきいたようだ。
ぐるぐると肩を回すが、ため息がでてくる。
「おいしかったのにな……」
「そういう日もあります。あの、コーヒーにしようかと思ってましたが、どうします?」
「ありがとう。コーヒーで構わない。朝食を食べたら、薬を飲んでゆっくりすれば、治るだろう」
「それならいいですけど」
お気に入りのコーヒーをひき、コーヒーをいれていく。
コーヒーでいい、ということは、朝はパンでいいということでもある。
莉子はスキレットに火をいれていく。
目玉焼きを焼くためだ。
「連藤さんの好きな目玉焼きがいまだにわかんないんですよね」
連藤はテーブルに肘をつきながら、キッチンの音を聞いている。
かちかちと鳴る音を楽しみながら、莉子に向いた。
「俺は、莉子さんが焼いてくれた目玉焼きが好きだから」
「まーた、そういうこといって」
そっけないセリフを言うが、莉子の言葉尻は嬉しさが滲んでいる。
「ほら、言わなかったら、半熟かもしれないし、固焼きかもしれませんよ?」
「……そうだな。半熟にしてもらおうかな」
莉子は多めの油を注ぐと、程よく熱されたのを確認し、卵を落とした。
じゅわりと広がった白身の縁がカラメル色のフリルになる。
中火程度に火を調節すると、多めの油をかけながら焼いていく。
パンをトーストしておくのも忘れずにトースターのタイマーを捻る。
「今日は揚げ焼き、かな」
「あたりー。もすうぐ焼けますからね」
丁寧に油をかけて焼いていく。
この焼き方だと、白身がふっくら焼け、半熟に火が通る。
──チン!
パンが焼けたのを確認し、莉子はスキレットから目玉焼きを皿にうつしていく。
冷蔵庫から連藤がジャムとバターをすでにだしてくれていた。
「連藤さん、ありがとうございます」
「いえいえ」
目の前に並んだのは、トーストされたパン、そして、目玉焼きだ。
「……あ、サラダ、忘れてた」
寝ぼけてたぁと、座りかけた莉子が立ち上がるが、その手を連藤が取る。
「冷めないうちに食べよう。食後に、俺がりんごでもむくよ」
「……はい」
多めに作ったコーヒーを飲みながら、朝食が始まる。
お互いのフォローができるというのが、嬉しいと思う朝。
今日の休日も、楽しく過ごせそうだ。
料理のリクエスト、感想など、お待ちしてます!





