《第180話》炊飯器でリゾット
莉子は疲れている。
定休日だったのだが、仕込みで丸一日を費やしたからだ。
「繁盛はありがたいんですけどね……」
言いつつ、炊飯器を開けるが、米もなにもない。
「炊いてなかったっけ」
絶望しつつも、莉子は炊飯器に米を投入し、ふと考える。
何を食べよう、と。
今日は連藤が来ない日だ。
自分しかいないのであれば、好きなものを食べればいいのだが、適当にすると、連藤のお小言がうるさい。
「なんにしよ……」
そう言いつつも、研いだ1合の米に、水を300入れ、コンソメキューブとカットトマトのパックを1つ、玉ねぎの微塵切りを入れてから、適当に塩と胡椒をし、炊飯ボタンを押した。
「これで、多分、リゾットっぽいものができるはず」
あとは冷凍の唐揚げでも食べようと、莉子はソファに腰をおろす。
「なんか、久々に座った気がする」
それもそうだ。
本当に休む暇なく、仕込みをしていたのである。
立ちっぱなしはもちろん、歩き回ってもいたため、体が全く休めていない。
お風呂の準備をしつつ、テレビをぼーーーと見てれば、炊飯器が鳴る。
「できたー!」
蓋をひらき、混ぜてみるが、おこげがある。
「マジで? なんで、焦げるんだよ」
ぐるぐるとかきまわし、味見をしつつ、問題ないと判断した莉子は、半分量を皿にもりつけた。
オーブントースターで温めておいた冷凍の唐揚げをのせ、今日の夕飯は完成だ。
「あとは、ビールビール」
ワインは一人では飲み干せないのが一番の難点だ。
それに今日は12月となり、誰もが忙しい時期。
莉子はビールと唐揚げ、トマトリゾットでのんびり晩酌だ。
「来月もまだ忙しいし……12月と1月ってあんまし、ゆっくりできなくてやだなぁ」
莉子はぼやきながらも、おせちレシピに目をとおしている。
今年も連藤の父の元へいく可能性がある。
前は連藤主導だったため、今年は何品かでも手伝えたらという気持ちからだ。
「……食材も準備しなきゃな……年末年始って、本当に地味に忙しいわ……」
そんな忙しい時間でも、そこそこ美味しいリゾットが食べられるのは、炊飯器のおかげだ。
莉子は感謝しつつ、さらに、炊飯器で作れるおいしそうな料理がないか、調べていく。
もう、メニューのストックがありません
食べてみたい料理、好きな料理、嫌いな料理、なんでもいいです
教えてください( ´ ` )





