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café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第4章 café「R」〜料理覚書〜

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《第177話》ピーマンの肉詰めってめんどくさくない?

【ピーマンの肉詰めの作り方】


その1、ハンバーグの生地をつくる

その2、ピーマンを縦半分にし、タネをとり、小麦粉をまぶす

その3、生地をつめる

その4、焼く


「めっちゃ、工程、多くね?」


 そういうのは巧だ。

 何の気なしに、食べたいな、と思って作ってみたら、まぁめんどくさい。


「だいたいさ、焼くと、ピーマンと肉、分離するし」

「へー、すごいね、巧。もう、プロじゃん」


 純粋な目で、すごいすごいとはやし立てるのは、瑞樹だ。

 今日はふたりで遅めのランチに来てくれている。


「ね、莉子さんは、どう焼く?」


 巧の、今回の失敗をどうにかクリアしたいという気持ちが見える質問に、莉子は「うん」と小さく唸る。


「けっこう、いろんな焼き方あるよね。ピーマンのヘタのところ切り落として、ピーマンの中に入れて焼く、とか」

「「あー」」

「でも、それすると、焼くのに時間がかかったりするんだよね」

「じゃあ、莉子さんはどうしてるの?」

「あくまで、私は。正解は、美味しかったら、全部正解だからね」


 そう言い含めて、莉子はスキレットを用意した。

 そこにピーマンと、今日のハンバーグランチの焼く前がある。


「めんどくさいからね、ピーマン割って、タネとって洗ったら、しっかり水気はふいて、そのままたっぷりタネをつめる」

「「は?」」

「で、肉の面を下にして、焼く」

「それ、手抜きで、フツーじゃん」

「甘いな、巧くん。なんで、スキレットなのか、わかるかい?」


 莉子は焦げ目がついたぐらいまで焼くと、スキレットを足元のオーブンに入れた。


「私、ピーマンに焦げ目がついてるのが好きなの。これなら、中までじっくり、ピーマンの面も裏返さなくても焼けるし。しかも、放置しておけるからね」

「「おー……」」


 その間に、ケチャップとソースを適当に混ぜ、パンを軽くトーストしはじめた。

 お湯を溶かせばできるスープをカップに用意したところで、オーブンが焼きあがりを知らせる。


「はい。これで、私のランチができあがり」


 莉子はふたりのとなりにスキレットを置き、パンと、ソース、スープを並べると、中休憩のクローズを出しに行った。


「瑞樹、スキレットいいな」

「いいよね。IHでも使えてるし、見栄えもいいし」

「はいはい。スキレットは使い込めばこむほど、いい味でるから、使ってみてよ。……は、ふ、……うま」


 莉子の食べっぷりをみて、ふたりはのどを鳴らす。


「さっき、ランチ食べでしょ、ふたりとも」

「莉子さんの食べてるのみたら、お腹減ってきた」

「巧も? 莉子さーん、なんか食べたーい」


 莉子はふんと鼻をならすと、


「ケースに入ってるケーキ、食べて」

「ケーキ! いいね! ね、巧、なんにするー?」

「えー……オレね、ガトーショコラ」

「オッケー。じゃあ、こっちにしようかな……」


 いつまでも素直でいてほしいと願う、莉子がそこにいた。

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