表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第3章 café「R」〜カフェから巡る四季 2巡目〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

161/218

《第160話》台風がきます……

みなさん、ご安全に!!!!

「これで準備万端ですかね……」


 莉子はカフェの窓に養生テープを貼り付け、さらにシャッターをおろし、2階の窓にも同じように準備をしておく。

 厨房内は窓がないため、ちょっとした貴重品などは食品庫に、椅子やテーブルも詰めれるだけ厨房の中へとしまい込んだ。

 これだけでもかなり骨がおれたが、何かがあってからでは遅い。

 だいたい、これで問題がないのかもわかりかねるが、やれるかぎりはやっておこうというのが莉子のやり方だ。


「あとは、このリュックを持っていけば問題ないかなぁ」


 今日は連藤の家に退避することが決まっている。

 昨日は高価なワインを連藤のセラーへと移動し、今日はこれから三日間臨時休業のため、腐りそうな食材と手頃なワインを連藤の部屋へと運ぶ作業となる。

 スマホが震えた。


『外で待ってるぞー』


 三井からだ。

 莉子が大きなリュックを抱えて出て行くと、目の前に三井の車がある。

 荷物ごと車に乗り込むと、助手席に巧が、となりには瑞樹がいる。


「俺たちも連藤の家に退避組」


 巧の嫌そうな声を聞き、莉子は首をかしげると、


「会社の近くになるだけいるようにって、巧はね。おれは巻き込まれた人」

「なるほど」

「よし、でるぞー」


 三井の声で動き出した車に揺られながら、店を独りにさせることに莉子は申し訳ない気持ちになる。


「莉子さん、寂しそうな顔だね」


 瑞樹の声に莉子はうなずく。


「お店、1人で頑張ってもらうからね。前の大雨の時もそうだけど、心配だよね」

「莉子さんはなんでも擬人化しちゃうんだね」


 瑞樹が笑ってくれたので、莉子も笑ってしまう。

 たしかに擬人化しているのかも。

 でも、たくさんの時間をあの場所で過ごしてきた莉子にとって、それは普通のことなのかもしれない。


「今日は停電の可能性もあるし、もう少し準備必要だなぁ」


 巧の声に三井は笑う。


「巧は楽しそうだな」

「なんか、キャンプな感じしない?!」


 その言葉に呆れたのは瑞樹だ。


「家が吹っ飛ぶかもしれないのに、のんきだよね、巧って」

「こういうのは、どっか楽しんだほうがいいんだよ! ま、しっかり準備してだけどなっ」


 巧の考えも一理あるかも。

 莉子は妙に納得しながら、スマホを覗く。


「……あ、連藤さんからね、今日はコロッケだって。コロッケは冷めても美味しいからいいよね」


 莉子の声に、三井が頭をひねっている。


「連藤のコロッケは、お洒落感があるからなぁ……白がいいかな……」

「三井さんは星川さんといっしょじゃないの?」

「あー、あいつは実家に戻ってる」

「へ?!」

「勘違いすんなよ。台風だから戻ってんの」

「はぁ、なるほど」


 これから来る台風に、どういう心構えでいればいいのか迷いながらも、準備は万端に。

 少しでも不安や心配が薄まるように───


どうか大きな災害になりませんように……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ