表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第3章 café「R」〜カフェから巡る四季 2巡目〜

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

155/218

《第154話》今日も雨の日!

 雨の日の日曜日。

 本日の売上げはきっと『ほどほど』といったところ……

 莉子は長年の経験でそう判断をつけると、今日のランチの準備に取り掛かった。


 じっとりと蒸すかと思いきや、室内は意外と肌寒い。

 こういう日は、少しさっぱりと、でもちょっぴりあったかいもの……

 と考えて、本日のランチは、ちょっと和食に『鶏飯』。

 鶏飯とは書いても、見た目は「鶏だしをかけたご飯」。

 具材は鶏ムネ肉に、干し椎茸、千切り人参、あとは薬味で三つ葉といりごま、すりおろし生姜でいいだろうか。


「まず、鍋に火をかける前に鶏ムネ肉……」


 鍋に水を張り、その中にそのまま鶏ムネ肉をどぼん!


「適当に火にかけて、あとは冷めるまで放置。ちょー楽チン」


 その間に薬味の下準備をし、小鉢を今日は三種類。かぼちゃの煮物、きんぴら、冷奴に決め、作り終える頃には、ちょうど鶏ムネ肉も冷めたころ。


「……ほぐすのがめんどうだな、これ」


 適当な大きさに切ってほぐし終えると、あとは鶏だしの素で鶏スープを作れば、準備は万端!

 いつもの通りに写真に撮ったりしながら、ご飯の確認、さらに他のランチセットはビーフシチューで対応することに決め、付け合せの準備の確認、それらを終えると、莉子は手際よく店内のボードを書き換え、メニュー表に今日の鶏飯の写真を貼り付けると、オープン準備を整えた。


「……連絡きてる」


 スマホを見ると、奈々美からメッセが入っている。


『今日、ランチ、遊びに行きまーす! 優といくよ』


 可愛いスタンプと一緒に送られていた。

 莉子も負けじとスタンプを探して、ラジャーと叫ぶ猫を押す。


『待ってますねー! 今日雨だから、気をつけてきてね』


 それだけ返し、


「……一応、今日のお客2名は確保かなぁ」


 そう呟いたところで、いつものアラームが響く。

 10:50のアラームだ。

 このアラームに合わせて店の扉を開き、オープンの看板を出す。


「しかし、ひどい雨だな」


 雨足が全く弱まらないアスファルトを眺めながら、莉子はカウンターへと待機する。

 雨宿りをするように、ぽつりぽつりと入ってきたお客をさばいていると、ドアベルが鳴る。


「いらっしゃい」

「莉子さん、すっごい雨!」

「わー店ん中、快適〜ちょー気持ちいいー」


 奈々美と優のふたりだ。

 カウンターに座るなり、今日の鶏飯に興味津々だ。

 莉子はいつもサンプルを作り、写真を撮り、味見をしてから、写真を簡易プリンターで出力して、メニューに貼っている。

 味の雰囲気も伝えられるし、軽く食事もできるし、もちろん写真もあるので、かなり合理的なやり方だと、莉子は思っている。


「今日の鶏飯、なんか気になるー」


 優の言葉に奈々美もつられている。


「ヘルシーだし、スープ系っていいよね」


 ふたりで莉子を見上げると、


「「鶏飯、ふたつ」」

「はーい」


 莉子は手際よく準備をし、ひとりずつお盆に乗せて渡していく。

 鶏のやわらかな出汁の香り、さらにアツアツのスープが鼻をくすぐる。


「「いただきまーす」」


 早速、スープをすすったふたりの顔がほころんだ。


「めっちゃ優しい味!」

「ほんと、あったかいし、おいしい……」


 各々で味のバランスを見てるのか、薬味を足したり引いたり、忙しそうだ。

 莉子は別なお客のコーヒーの準備をしながら、ふたりに話しかけた。


「今日はこのあとデートとか?」


 手元を見ながらの会話だが、ふたりも丼を見ながらの会話になる。


「今日はふたりでショッピングに行こうかなぁって。ね、奈々美」

「そう。あと映画とか見ようかなぁって」

「いいね〜」

「莉子さん、見たい映画とかあるの?」

「あるある。あれ、アメコミの」

「「あー」」


 コーヒーができあがり、窓際の席へと届けカウンターへと戻ってくると、にやにやするふたりがいる。


「なに、ご飯足りない? おかわり、無料でできるよ?」

「ちがうって」


 優の言葉に莉子は首をかしげてみる。


「ね、莉子さん、今日の上りは何時?」


 奈々美の言葉にうーんと首をひねり、


「今日は5時ぐらい、かな。やる気ないし」


 莉子は外の天気を眺めて言う。


「じゃあさ、あたしたちと、映画いこ! 奈々美と行こうと思ってたの、そのアメコミのやつなんだよね」

「……へ?」

「私と優は先に街に出てるから、あとで合流ね」

「はぁ……」


 すぐに別のお客が来たので莉子は対応しているが、ふたりはなにやら楽しそうだ。


「ね、夜のご飯、どうする?」

「あの映画館ならさ、ここ、よくない?」

「あーいいかも、近いし」

「でもさ、こっちのほうが莉子さん気に入るかな?」

「こっちのほうがメニュー多いし、よくない?」


 耳の端から聞こえてくる優しさに、莉子の顔が思わず笑顔になる。


「オーナー、なんかあった?」

「いえいえ、嬉しいことがあっただけですよ。さ、今日はなんにします? よくこの雨のなか、来られましたね」


 常連たちとの会話は、天気構わず楽しいもの。

 莉子は夜の予定のために、仕事を頑張ることに決めたのだった。


鶏ハムも作るんですが、半日以上置いておかなきゃいけないのが大変だったりします。

この鶏ムネの茹で方だと、鶏ハム並みのしっとり感があっていいですよ!!!

ただ中心までしっかり熱を通すのを考えると、今回丸のまま茹でてますが、多少開いてから茹でてもいいかも。

自分は少し開いて、15分ぐらい茹でましたかね。あとは放置で、激ウマな鶏ムネになりました。

茹で汁からそのまま冷ますのがポイント!

ぜひ、お試しをー


【追記】沸騰したら、鍋を火から下ろし、放置!でしっとり柔らかな鶏ムネ肉になります! 火のとおりが気になる方は、水から15分茹でてみて、調整してくださお(*ΦωΦ*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ