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café「R」〜料理とワインと、ちょっぴり恋愛!?〜  作者: 木村色吹 @yolu
第3章 café「R」〜カフェから巡る四季 2巡目〜

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《第112話》アメリカン ディナー! 前編

 1月27日は、三井持参のワインでディナー会であった。

 その名も「アメリカ・ナパバレーワインで、みんなでディナー!」

 もちろん、貸切である。


 公言通り、莉子はTボーンステーキ用の肉を準備すると、さらにチーズの盛り合わせ、エンダイブのサラダ、フライドポテト、アボカドのディップにクラッカー、人参のグラッセ、ミネストローネとメニューを決め、調理に取りかかる。


 最初に手をつけたのはエンダイブのサラダだ。根を切り落とし葉をほぐした後、しっかり水を切り、さらにベビーリーフ、水菜を加え混ぜ合わせてから冷蔵庫へ。出す直前に炙って砕いたクルミとクルトンをふりかけ、ドレッシングは各自で好きに食べてもらえるよう、オリーブ油と塩胡椒とバルサミコ酢を添えておくことにする。

 次に手にかけるのは、アボカドのディップ。ディップを作るコツはないけども、ただ変色してしまうという曲者なのがアボカドだ。それを先に作ってしまおうというのだから、色が変化しないコツがあるのです!

 レモンを入れる?

 油を入れる?

 それよりも簡単なのが、レンジでチン! なのです。

 600Wで15秒ほど。これで色が変化しないのです。お手軽・簡単!

 というわけで、種と皮を外したアボカドをレンチンしたあと、ボウルにクリームチーズを加え、フードプロセッサーにかけていく。ある程度潰れたらレモン汁、塩、胡椒、すりおろしたニンニクを少々足して、さらに混ぜれば完成。

 別容器に移し、冷蔵庫でさらに冷やしておく。


 続けて莉子は人参に手を伸ばした。

 皮をむき、乱切りの人参を5本分、角切りの人参を2本分、準備をした。乱切りはグラッセ用、角切りはミネストローネ用の人参だ。この流れで野菜を切り終えることにした莉子は、キャベツ、大根、玉ねぎを人参と同じ大きさの角切りにそろえていく。最後にベーコンも同じように切りそろえると、莉子は深めのフライパンと、深い鍋に同時に火をかけた。

 フライパンにはたっぷりのバターを入れ、鍋にはオリーブオイルを注ぎ、どちらも温まるのを待つ。

 バターが泡のようにぷくぷくとふくれてきたところで人参を入れ、バターをなじませてから、そこへウィスキーをたっぷりと注ぎ、砂糖を加えたあと、フライパンの蓋をして火を通していく。

 鍋は油が温まったところでベーコンを加え、その脂がにじんできたところで、野菜を追加し炒めていく。

 鍋の野菜を焦がさないように気をつけている間に、グラッセの人参は火が通ったようだ。串がすうっと突き刺さったので、それを合図に追加のバターをこれでもか! と足すと、さらに煮詰めていく。

 たったこれだけの材料だが、ウィスキーの風味と人参の風味が見事にマッチし、砂糖の甘さが人参の甘さを引き立ててくれるという、素敵な一品。これであれば人参を何本も食べられそうなほどの美味しさである。

 となりの鍋を見ると野菜が透き通ってきている。その中に水とコンソメ、トマト缶を入れ、さらに火を通していく。

 沸騰したら弱火にし、さらに煮込んでいくのだが、莉子の場合はここでオレガノ、バジル、ローリエを入れ、さらに中濃ソース、砂糖で味を整えていく。臭みが気になれば酒の類を入れてごまかすが、今回はそんなことはないので、少し煮詰めるようにスープを仕上げることに決めた。

 20分ほど煮詰めたところで味見をし、塩胡椒で整えてから、保温鍋に移したところでドアベルが鳴った。


「莉子、酒持ってきたぞぉ」


 聞き慣れた声がする。

 さらに「莉子さん、手伝うぞ」という心強い声も聞こえてくる。

 莉子は声につられ「ありがとう」と返しながら小走りで向かった先には、箱でワインを抱える三井の姿と、エプロンを握る連藤、そして、星川が立っていた————

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