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技術系研究員 由比川のどかの日常  作者: 錬金術師まさ
実験潜水艦アルバコア
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章間 クトゥルフ

「やれやれ、貴方のことですからどうせこんな事になっていると思っていましたが、やっぱりでしたか...」


 ルルイエにあるクトゥルフの神殿にやってきた『千の異なる顕現』こと、ニャルラトホテプは嘆息した。


 だだっ広い神殿の中には、いたる所にフィギュア、隠し撮り写真、動画が流れるフォトフレームが乱立していた。内容はのどかちゃんチームのドールズ、特にめがねっ娘が全体の半分を占めている。


「な、なんだ、ニャルラトホテプか、なんの用事だ、ぼっ、ぼくは、今とっても忙しいんだよ、要件は手短にしてほしいんだよ」


『あんたは、死んだまま夢見の中にいるんじゃないのかっ』と突っ込みたくなるところを抑えて営業スマイルで話しかける。


「いやね。ほら、今回私が管理している人間がこっちに入り込んで騒ぎを起こしたって聞いたんで、ここは菓子折りの一つでも持っていったほうがいいかと思いましてね」


 お土産の『千の黒い子山羊』を差し出しながら顔色を窺う。


「お、おまえにしては、き、気が利くじゃないか...あれは...こっちにも不手際はあった」


 急に触手をプルプルさせながら、喚き散らし始めた。


「メガネっ娘を攫えと言ったんだよ。メガネっ娘!なのにあんな駄肉ババアを攫ってきやがって、こんな無能な部下を持った僕はなんて不幸なんだ!これはもう君に癒してもらうしか無いんだよ。マイ・スイート・ハニー」


 近くに置いていた写真をぶちゅぶちゅと音を立てて嘗め回す姿、直視したら私のSAN値は確実に下がりそうだ。直接見ないように、要件を告げる。


「えっとぉ、言いづらいんですけど、あれは一様、私の管轄なので直接の手出しを控えて欲しいんですよね」


「なに、お前もメガネっ娘を狙って...」


「違う、違う。私の狙いはあの集団のポテンシャルがどれぐらいあるかという事を知りたいだけなんですよ。この件、アザトース様のご了承なんでその辺りを汲んで欲しいんですよね」


「なにっ、アザトースがか!それではいくら私と言えど...しかし...」


「いえいえ、アザトース様はあくまで無理やりって事を禁止されているだけで個人の自由恋愛については不問だとおっしゃられています。つまり...」


「つまりなんだ?」


「クトゥルフ様がその魅力を持って意中の相手のハートを射止めてしまえば、なんの問題もないのです!」


「なんと!そのようなことが許されるのか!あのエンジェルを私が...」


 正しく夢見るような顔になったクトゥルフの中で、どんな想像が廻らされたかは私の精神衛生上あえて考えないことにした。


 ムフムフ言っていたクトゥルフは、尊大な態度で私に向きなおる。


「よし、わかった。ぼっ、ぼくも男だ。ハニーには直接手を出さない事を誓おうじゃないか」


「そうして頂けると助かります。それではお約束の件くれぐれもお忘れなき様」


「うむっ、本日はご苦労であった」


「(ホント苦労するよ)」


 内心のため息を押し殺して、ルルイエから幻夢境に戻る。そこにはのどかちゃんたちを監視するためのディスプレーがあり、お使いからもとってきたパー子ちゃんが居座って画面を眺めている。


「あなたも、『のどかちゃん、ハァ、ハァ』なんですか?テレビばっかり見てないで、ちゃんとお使い行ってきてくださいよ」


「『のどかちゃん、ハァ、ハァ』ってなんだよっ、人をあの気持ち悪いタコと一緒にするなよな」


 どうやら此方の様子も抜け目なく見ていたようです。中々どうしてこの子も楽しいですね。


「で、本当にあれを飲ませる必要あったのか?」


「そうですね。確信はありませんが、風と水に接触して『火』が黙っているとは思えません」


 以前、あいつに焼かれたンガイの森の事を思い出します。まぁ、念には念を入れておいて間違いはないでしょう。


「あれをちゃんと使ってくれれば問題ないですがね。ひょっとして、貴方にもまた動いてもらうかもしれませんよ」


「いいのか?私をあんまり自由にするとアンタの喉笛を食いちぎるかもしれないぜ」


 協力する、力を貸す、けれど、敵同士。この子を飼っている理由はそこらへんにあるかも知れませんね。


「ご自由に。なんなら喉笛の場所も教えましょうか?」


 チッと舌打ちした後、ディスプレーに向き直りそのまま画面を見始めるパー子ちゃん。並んで腰をおろし、ディスプレーに写ったのどかちゃんを見る。


「さて、今度はどんな事を仕出かして私を楽しませてくれるんでしょうね」


 邪神の名前については、出来るだけ二つ名で書くようにしていたのですが、残念ながらクトゥルフって二つ名が見つからないんですよ。

 仕方がないので、このあたりから二つ名にこだわらない様にします。書いている方も書きづらいし...


 そのクトゥルフ様ですが、某はいよってくる銀髪美少女と同じぐらい残念な感じになってしまいました。黄衣の王ことハスタ君が結構さっぱりしてしまったので、少し濃い味にしようと思ったのが間違いでしたな。まぁ、思ったよりキャラが立ったので良いことにしましょう。


 筆者の力不足で、いろいろ難のあった「日常」編ですが、とりあえずは完結です。いろいろ、張った伏線ですが次の「冒険」編で回収しますので乞うご期待。


では、また。


「総統閣下はガルパンの今後について一言言いたいそうです」を見ながら。錬金術師まさ。

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