アタラクシア

　あたしは楽して幸せになりたい

　汗を流したさきにある充実感や

　苦難と闘う手応(てごた)え

　危険と隣り合わせのスリルと緊張

　そんなものたちに生きがいを見出(みいだ)すひとたちが

　それなりにたくさんいるってのもわかってるうえで

　汗を流さなきゃ

　苦難と闘わなきゃ

　危険と隣り合わせでなきゃ

　得られない幸せには

　強さと それを育(はぐく)んでいく努力と根性

　さらにはそれらを支えてくれる運なんかが

　必要になってくるじゃんね？

　その条件を満たして得られる幸せは

　そりゃもうほっぺがとろけおちるのだろうけど

　あたしはそこまでを望まない

　フルーツとクリームやアイスまでてんこもりの

　プリン・アラモード・パフェはおいしいだろうけど

　さかさまにつめられたカップの底に

　申し訳ていどにカラメルの液体がはいってるだけの

　お手ごろプリンでも満足できるように

　あたしは楽して手に入るのならば

　そんなていどの幸せを希望する

　多くを望まないかわりに

　多くは払わない

　これが意味するところこそ

　あた(「アタ」)しは

　楽(「ラク」)して

　幸(「シア」わ)せになりたい

　アタラクシアを胸に生きていこう