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織田家の長男に生まれました  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第三章:安城包囲網【天文十三年(1544年)~天文十四年(1545年)】
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夫婦の会話

この話は元々プロットにあったものです。

後付けや言い訳のために急遽考えたものではありません。

おかしい。言えば言う程怪しく思える。

あと、若干下品な表現がありますので、苦手な方は於広登場辺りで後書きへどうぞ。

三行にまとめておきます。


「おお! 動いたぞ!」


天文14年1月中頃。

新年の挨拶だの、地元の名士達との新年会などの面倒事、もとい、お仕事をこなした俺は、於大の部屋でイチャついていた。


於大の腹は大分大きくなっており、時折中で胎児が動くのを感じられるようになっていた。

医者が言うには、出産は五月頃だろうという事だ。


於大の腹に耳を当ててはしゃぐ俺を、彼女は慈しむような目で見ている。


「於広でございます! お呼びでしょうか?」


そんな時に、障子の向こうから元気な少女の声が聞こえてきた。


「お方様、どうぞお入りください」


於大がそう言うと、ゆっくりと障子が開かれ、俺の正室である於広が入って来る。


ちなみに、於大はあえて『お方様』と呼んでいる。

水野家への信頼度はともかく、於大のお腹が大きくなるにつれて、家中の者達の態度は於大を敬うようになっていった。

元々女中なんかは、於大のおっとりとしていて、大らかだが、よく気が付く性格に、完全に彼女を奥方様、として敬っていた。

そんな中にやって来た於広姫。

自分達のアイドルである於大の立場を危うくさせる存在。


良い感情を抱く人間は少ないだろうな。


だから、於大はあえて於広をお方様と呼ぶ。

自分はあくまで側室でしかないのだと、周囲に知らしめている訳だ。


対して於広は於大を「お姉様」と呼ぶ。

これは於大を俺の側室と認めていない、なんて訳じゃ勿論ない。

自分と於大は姉妹のように仲良しだ、と示している訳だ。


そうなると、俺が姉妹にまとめて手を出した鬼畜のような気分になるが、まぁ、二人の仲が良く、二人に対する家中の者の態度が良くなるのなら、そのくらいの評判は甘んじて受けよう。


「お姉様、なんの御用でしょうか!? あ、殿……いらしたのですね。これは失礼いたしました」


「いや、よい」


俺の存在に気付いた於広は気まずそうに目を逸らした。


原因はあの初夜。というかその翌日の晩。

初夜は於広が酔って寝てしまったので、文字通りの同衾だけとなってしまったので、改めて仕切り直そうとしたんだ。


入りませんでした。


ナニがかは、敢えて言うまい。

前世でそれっぽいタイトルの本を見た気がするけど、それはともかく。


俺って体格良いじゃん?

だからアレも相応の大きさを持っている訳よ。

確かに、今世で、臨戦態勢のソレを比べた事はないけど、臨戦態勢になった自分のモノを見て、俺はでかい、と思ってしまった。

前世での自分のモノと比べたのか。それとも、前世は女性で、他人のモノと比べたのか。

それはわからないけど、とにかくそう思った。


そして於広は身長が低いだけでなく、体つきが全体的に幼い。未成熟だ。


「遠慮なさらず、どうぞ」


なんて於広は言ってくれたが、苦痛に顔を歪め、涙を溜めるどころか、ポロポロと流しながら、それでもなんとか笑顔を作ろうと唇をひきつらせる於広を見て、遠慮しない奴がいたら、そいつは真正だ。


於広が俺の可愛らしい正室で初夜。更に、前世ではタブーだった事に踏み込めるという事で、膨れ上がっていた俺の欲望は、そんな於広を見て萎んでしまったんだな。


誤解しないように言っておくと、このタブーは、年端もいかない少女に手を出す事じゃない。

行くなと言われたら行きたくなる。

覗くなとある穴は覗きたくなる。

押すなと書かれたボタンは押したくなる。


そういった、背徳感のようなものが俺を後押ししていたんだと思う。


「於広、其方に話がある」


「は、はい!」


俺は居住まいを正し、そう告げる。

於広もすぐに正座をして背筋を伸ばす。


「其方とは暫く床を共にしない」


「え…………?」


血の気が引くって本当にあるんだな。

俺の言葉を聞いた於広の顔は真っ青だった。


「別に、其方と離縁するとか、そういう話じゃない」


「そ、そうなのですか!? 先日の失態で嫌われてしまったのではないかと、於広は不安で……」


その日以来、俺は於広と床を共にしなかったし、色々仕事もあったから、フォローは於大にまかせっきりだった。

寂しい思いをさせていたんだろうな。


「ああ、すまん。忙しさにかまけて疎かにしていたな」


「いえ、お姉様がよくしてくださっていましたから……」


それでも於広の目からは大粒の涙が流れる。

俺はそんな於広の肩を抱き、涙を掬ってやった。

で、この指はどうすればいいんだ?(二年振り二度目)


「於広、やはり其方は幼い。だから、儂は其方が成長するのを待つ事にした。とりあえずは、三年だな」


「さ、三年も……!?」


「夜伽もそうだが、それが可能になったとして、儂の子を孕んで、無事に産めると思うか?」


俺は於大の腹を見た。於広もそれにつられて、目線が行く。

ある程度は胎児の大きさは母体に左右されるらしいが、それでも大きな違いは無い。


「う……が、頑張ります」


「頑張らなくて良い。母子共に危険だ。子供も勿論だが、其方にも儂は無事で居て欲しいのだからな」


そもそも、産めるんだろうか?

帝王切開の知識なんか流石に無いぞ?

輸血ができなきゃ無理だろうし。


「これから三年間を目途に、体を大きくする事を考えよ。良く食べ、良く動く事が大事だ」


「はい」


「特に肉が良いぞ? そればっかりでは駄目だが、儂が証拠だ」


子供の頃から鍛錬と称しては、山や森に入って鹿や猪を狩っていたからな。


「お肉は、あんまり……」


「好き嫌いをすると大きくなれぬぞ?」


「頑張ります!」


「うむ、頑張れ」


於広はあまり肉を食べた事がないらしく、ウチで出された時にもあまり良い顔はしていなかった。

西広瀬城は山の中にあるから、日常的に食べていてもおかしくないんだが、於広は木の実や山菜を中心に食べていたらしい。

武士など男子はよく食べていたので、於広の中で、肉は武士の食事、という印象が強いんじゃないかな。


「し、しかし、それでは殿は大丈夫なのでしょうか!?」


なんとか涙も治まった頃、俺の腕の中で於広は顔を上げてそんな事を言った。


「大丈夫、とは?」


「於広も輿入れにあたって男性の事を聞き及んでおります。男性は、その、あまり長く我慢はできないのですよね?」


「あー、まぁ、自分でできるしな……」


「大丈夫ですよ、お方様」


「お姉様?」


俺が言いかけるが、於大が口を挟んだ。

その目の艶やかさに、背筋がぞくり、と震えた。


「男性を悦ばせる方法は幾らでもございます。これから、私が教えて差し上げますよ」


「本当ですか!? 是非!」


「ええ、早速、今夜からでも……」


言いながら、於大は俺を見てちろりと舌を出した。


前から於大には言い知れない色気のようなものがあった。

しかし最近、笑顔の奥に凄みのようなものが感じられるようになっている。


母は強しって事なのかね。


下品な表現が苦手な方のための三行まとめ

・於広とは実はいたしていない。

・於広が成長するまで待つ事になった(三年目途)。

・於広と於大は仲が良い。


「お方様」にも色々意味はあります。江戸時代以降は「女性から男性」を呼ぶ際の尊称になってたりしますしね。

とりあえずこの時代は、「身分の高い大名の妻を呼ぶ際の尊称」として使っていた事もあるそうなので、それを若干拡大解釈して、「身分の高い大名の妻=身分の高い女性」とし、「身分の高い奥方を呼ぶ際の尊称」としています。

ご了承ください。

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― 新着の感想 ―
昔は10歳過ぎればその辺でやってたんでしょ?裂けた部分が膿んだりして亡くなったりとか大丈夫だったんだろうか
[一言] やっぱり、自然にいいねを押してしまうねw受付停止なのはホント残念だけど。
[一言] ほぼ身体は出来上がってるから3年放置だと3年後も駄目だけど毎晩少しずつ解していけば巨大なディ○ドだって入るようになるからそのうちなんとかなるさですな。
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