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織田家の長男に生まれました  作者: いせひこ/大沼田伊勢彦
第六章:遠江乱入【天文二十年(1551年)~天文二十一年(1552年)】
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武田信廉

三人称視点です。


甲斐にある躑躅ヶ崎館は武田家の本拠地である。

甲斐武田氏の本拠地としての機能だけでなく、甲斐の守護所も存在する、甲斐の中心地でもあった。


ただの領国経営の中心地というだけでなく、東西を川に囲まれた要害であり、背後には山城が築かれ、戦にも十分耐えうる造りになっている。


その躑躅ヶ崎館の廊下を、武田信廉は歩いていた。


何度も陳情してようやっと兄、武田晴信から許可の下りた、三国同盟締結の交渉は決裂。

わざわざ駿河にまで赴いたのに何の成果も得られなかった。


「兄のドヤ顔が目に浮かぶようだ……」


それみたことか、と笑う晴信を想像し、信廉は頭が痛くなった。

しかしそんな心中を押し込め、歩く信廉の表情は穏やかな笑みを浮かべている。


戦国の世に生れ落ちて十八年。

その中で信廉が身に着けた処世術だった。


戦の才能が無い代わりに、領地経営の才能はあるらしかった信廉が、父信虎、兄晴信から疎まれずに生きるには、家臣を味方につけるしかなかった。

そもそも武田家は、周囲の国人、土豪からなる合議制であり、代々の当主はその議長的な役割を持っていたに過ぎず、独裁政治のようなやり方はできなかった。


彼らに気に入られようとしては、父や兄に危険視されて排除されてしまうかもしれないので、彼らと武田家の間を持つような立ち位置を模索した結果が今の信廉だった。


この戦国の世で、独立領主など苦労ばかりで何の旨味も無い。

成りあがって天下統一、なんて夢物語もいいところだ。


どこに行っても柵から逃れられないのなら、今自分の乗っている船をどんな荒波にも耐えるように改造する方がよっぽど良かった。


父信虎が兄晴信に追放された時、信廉はまだ十歳の若者だった。

その三年後に元服した際、信廉はそれまで温めていた、農業や商業の革新的な政策を晴信に披露した。


甲斐を豊かにしたいという思いは勿論あったが、何よりも、前線に出たくなかったのだ。

武術はからきしという評判が既についていた信廉が、内政に才覚を発揮したとなれば、後方勤務が言い渡されるだろう、という魂胆だった。


その作戦は見事に成功し、信廉は勘定奉行として躑躅ヶ崎館に執務室を与えられる事になる。

何度か戦場に連れていかれたが、それは物資を管理する奉行として同行させられただけであり、一度も部隊を指揮して矢を放ち、槍を交える事は無かった。


農業改革や経済政策の手柄は晴信に全部取られたものの、目立って前に出たくなかった信廉にとっては丁度良かった。


また、元服前には既に独自の家臣団を形成するべく動いており、甲斐のみならず、駿河や上野などの周辺から、牢人を集めたりもしていた。

彼が見出した中でも、山本晴幸、真田幸綱、春日虎綱らは、非常に優秀で晴信の覚えも良かった。


「そのせいで兄に取られたんだけどな……」


今では三人とも晴信の直臣である。

敵にはやたらと恨まれる癖に、家臣からは妙に人気の高い晴信は、三人をあっさりと篭絡してしまい、彼らは心底からの忠誠を晴信に誓っている。


「これも寝取られって言うんだろうか?」


信廉に対する態度がよそよそしくなった訳ではないが、晴信の事を語る時、三人の目は煌めいていた。

信廉自身にはその嗜みが無かったが、晴信は衆道もこの時代の武士らしく好むため、文字通りの寝取られでもあった。


流石に晴幸や幸綱とはそういう関係に無いと思うが、信廉には真相がわからない。


「孫六」


と、声を掛けられ、振り返る。

歳が若いと言っても、武田の一門。輩行名とは言え呼び捨てにできる人間は少ない。


「次郎兄上、おはようございます」


すぐに声の主に想像がついたが、しっかり顔を見てから挨拶する。


「うむ、駿河から戻ったようだな」


対する相手は、横柄な態度で応じた。

そこにいたのは二十代半ばくらいの男性だった。

兜こそ脱いでいるが、甲冑を身に着け、今すぐにでも戦に出られそうな恰好をしている。


武田典厩次郎信繁。

晴信の同母弟であり、信廉の同母兄である。


「次郎兄上も信濃に行ってらしたのでは?」


現在武田家は信濃攻略の最中だ。

北信濃の強豪、村上義清と争い敗れたばかりである。


野戦でも敗れ、城攻めでも成果を上げられず撤退しているせいで、信濃や甲斐の国境がにわかに騒がしくなっていた。


その辺りは晴信に対し、信廉は散々注意を促したのだが、こと戦に関しては聞く耳を持ってもらえなかった。

今になって、前線を回避し続けた事を信廉は後悔している。


後悔するのだが、すぐに、死んでいたかもしれないと思い直して、その不満を飲み込むのだった。


「農繁期なのでな。兵の一部を戻すついでに甲斐の様子を見に来たのだ」


「そうでしたか」


「ついでに物資を少し分けて貰いたいのだが?」


「それは太郎兄上からの命令ですか?」


「うむ」


「わかりました。すぐに用意します。ただ、本陣に戻られたなら、持ち出した物資が尽きる前に決着をつけられないなら帰ってくるよう伝えてください」


「戦は机の上で考えているようにはいかんさ。まぁ、一応伝えておくがな」


信繁は戦において優秀な指揮官というだけでなく、外交交渉を任されるなど、巨人の視野も持ち合わせている。

兵糧や武具を用意するのに信廉がどれだけ苦労しているかも知っていた。


晴信からの無理難題を押し付けられて苦労するのが信廉なら、晴信と信廉の板挟みになって苦労するのが信繁だった。


「しかし孫六が戻っていてよかった」


「? どうしてです? 物資の受渡しでしたら他の者でも……」


「いや、兄上からはもう一つ用事を頼まれていてな……」


言葉を濁す信繁の態度で、信廉は用事の中身の想像がついた。


「諏訪殿の様子を見て来てくれと頼まれておるのだが、孫六、代わりに行ってくれんか?」


「……わかりました」


信繁には苦労をかけている自覚がある信廉は、これを断れなかった。


「そうか、引き受けてくれるか! ありがたい、孫六。流石は我が弟よ!」


そう言って信廉の肩を叩く信繁だが、彼の頬を伝った一筋の汗を、信廉は見逃さなかった。




信繁と別れた信廉は、執務室に向かう前に兄から頼まれた用事を済ませるべく行き先を変更する。


諏訪殿は晴信の側室の一人、諏訪御寮人こと湖麻こまの事だ。

彼女は先年、晴信に滅ぼされた諏訪家の子女であり、晴信によって自害させられた諏訪頼重の娘である。

頼重には晴信の妹が嫁いでいたため、義理とは言え晴信とは叔父と姪の関係だ。


当初は頼重と晴信の妹禰々の子である、湖麻の異母弟に諏訪は継がせる筈だったが、何を思ったか晴信は湖麻を自らの側室に迎え入れた。

諏訪家の領地を支配する際、諏訪氏庶流の高遠頼継と争う事になったが、晴信はこの異母弟を担ぎ上げ、頼継の正当性を否定し、諏訪の民を味方につける事に成功。

これにより、後に『諏訪宮川橋の戦い』と呼ばれる戦で頼継を撃破し、諏訪郡を手中に収める事に成功した。


「つまり、寅王丸はもう用済みって事だな」


諏訪家を取り込むなら、頼重の息子を従属させるより、自分の息子を送り込んだ方が当然良い。

それが、諏訪の一族との子なら尚更だ。


湖麻が側室となってすぐに男子が生まれているため、彼女の異母弟である寅王丸は、元服後すぐに寺に送られる事だろう。


「おや御屋形様……? いえ、威厳が足りませんね、孫六様ですか」


湖麻をはじめ、晴信の妻が住む奥の間へ向かう途中、中庭に佇む女性に信廉は声を掛けられた。


ほっそりとした顔と体。今にも消えてしまいそうな儚げな雰囲気を纏った女性。

諏訪湖の精だと言われれば信じてしまいそうだ。


「これは諏訪御寮人様。ご機嫌麗しく……」


「麗しく見えますか?」


「ええと……」


信廉は言葉につまった。その態度が、ご機嫌斜めに見える、と語っている。


「生家を滅ぼされ兄を殺され手籠めにされた挙句産んだ子は取り上げられ産ませた男はちっとも会いに来ない女性にそのような言葉をかけるようでは、孫六様はまだまだですね。例え初対面でも、見る人が見れば御屋形様ではないとわかってしまいますよ」


辛辣な言葉を投げかけられ、信廉は苦笑いを浮かべるしかなかった。


「その兄上から様子を見て来るよう言われたのですが……」


「信濃にいない孫六様が頼まれる筈ありませんね。誰かに押し付けられたのではないですか?」


「いや、まぁ、彼らはすぐに信濃に戻らねばなりませんから……」


「もっと上手く嘘を吐けるようにならないといけませんよ」


わずか二歳ばかり年上なだけだが、信廉は湖麻にまったく敵う気がしなかった。

母は強し、という事だろうか、と現実逃避気味に考える。


「子供か御屋形様に会えればいいのですけどね。奥は息が詰まりますし」


「やはり、三条の方と気があいませんか?」


「そのような事を口にして良いのですか?」


「あまりよくはありませんね」


「……。気は合いませんね。公家の子女で姉は管領の正室、妹もその管領様の養女になったという事ですから、どこか貴い方に嫁ぐのでしょうね。そのような方でありながら、側室達に嫉妬する事もなくいつも穏やかに過ごしていらっしゃる。正室の座が揺るがないと自信に満ちている訳でもなく、ただ心底から私達をお思いになられている。そんな方との気は、合いませんよ」


かつての敵将の娘であるため、湖麻は覚悟して奥に入った。

諏訪支配のために必要であるが、必ずという訳でもない諏訪御寮人の輿入れは、間違いなく晴信の私情も挟まっていた。

正室からすれば面白い訳がないのだ。

だというのに、晴信の正室である三条の方は、まず湖麻の心身を労わってくれた。


そのような相手に、敵意や対抗心を抱くのは不可能だった。


湖麻自身、敵の娘という出自に後ろめたさがあった。

和睦のための婚姻ならともかく、攻め滅ぼされた結果の言ってしまえば略奪のようなものだ。


そのような家に嫁ぐ場合、恨みを抱いて相手を敵視するか、復権のために取り入ろうとするだろう。


「真綿でくるむように優しく接し、嫁心を抱かせておきながら御屋形様はあまり姿を見せられませんし、対抗すべき相手はご自身も寂しいでしょうに、側室の心情を慮ってくださる」


最早武田への恨みはとっくになく、我が子が諏訪を継ぐも確実となっていては心に力も入らない。

ならば男を巡って争うのかと言われても、相手は自分の事を妻仲間とでも思っているかのように接してくる。


有体に言って、湖麻は生きる意味を見失っていた。


信繁が彼女の様子を窺う事を嫌がった理由。

それは彼女の辛気臭さだった。


特に、戦の最中である今、彼女の陰気に晒されては運気が落ちてしまう、と思っていた。


「兄に、甲斐に戻ったら奥を尋ねるように伝えておきます」


「別に構いませんよ。放っておかれるのでしたらそれはそれで。中途半端に気持ちを持たせるから、このような思いをしてしまうのですから……」


そう言って溜息を吐く湖麻の瞳には生気が無い。

だが、期待している事も信廉は理解できた。


(予防線を張ってるって事なんだよな……)


晴信は男子を産んだ自分はもう愛する必要が無い。

そう思う事で、実際に晴信が会いに来なくても、消沈する事を防いでいるのだ。


しかし信廉は知っている。

そのような心持ちでいたとしても、実際に晴信が会いにこなければ、彼女は気落ちしてしてしまう事を。

そして忙しい晴信に代わって誰かが慰める事となり、顔が似ているという理由で信廉にお鉢が回って来る事を。


顔は似ているが雰囲気がまるで違うせいで、湖麻からすれば余計に失望するはめになる事を、甲斐の人間も理解するべきだと信廉は思った。




「それでは、始めようか」


ようやっと執務室に辿り着いた信廉は、自分より年上の武士に囲まれてそのように宣言した。


「堤事業から進捗の報告です。現在計画通りに進んでいますが、資材が予定より集まっておりません。このままですと、二年後には工事の速度が七割減少してしまうでしょう」


「木曽の家が信濃での敗北で態度を硬化させたせいだな。遠江や三河はどうだ?」


「三河では凄まじい速度で開発が進んでいるせいで、資材はこちらへ全く入ってきません。むしろ、信濃や美濃の資材が吸われています」


「遠江は戦の最中ですから、商人も気がそちらへ向いていますね。価格が高騰しておりますので頼り過ぎると資材不足が悪化しかねません」


戦ですぐに木材や石材などの資材が必要となれば、多少高くても相手は買う。

先に約束があったならそれを反故にする商人は少ないが、そうでないなら彼らは高く買ってくれる方を優先するだろう。

それを奪うには、更に高値をつけなければならない。


「予算が有限である以上、それは思わしくないな。北信濃を取れれば木曽も協力的になるだろう」


「鉱山事業から採掘量の報告です。今月は昨月に比べて採掘量が三割減少。昨年同月と比べて六割減少しています」


「まだ埋蔵量には余裕がある筈だ。多少採掘量が減っても良いから、新しい鉱脈の発見を優先させよ」


父信虎追放後に再開された鉱山事業は、今では信廉に一任されていた。

信虎時代、富とは奪うものであったせいだが、国を安定させるには収入を安定させる必要があると信廉は晴信に訴えた。

その結果、武田家の収入は劇的に回復した。

家臣達は晴信の慧眼ぶりに驚愕し、称賛した。

信廉はもやっとした気持ちを、武田家の繁栄が自身の裕福さにも繋がると胸の奥にしまいこんだ。


「農繁期と戦で人手が足りません」


「流民や孤児はどうだ?」


「戸籍事業です。衰弱している者が多く、鉱山での仕事には耐えられない可能性が高いです。勿論、働ける者は優先して回していますが、そうした者の多くは信濃に送られています」


鉱山での仕事に耐えられるなら、戦にも耐えられるだろうという判断だ。


「……生糸や武田袋はどうだ?」


「商人からは好評です。ただ、行商人相手では販売量にも限りがありますので、駿府へ直接卸すか、いっそ美濃まで運んだ方がいいかもしれません」


「可能か?」


「荷運びだけならなんとかなりますが、護衛を考えると今は無理ですね」


山賊や野盗の類は、甲斐にも存在する。

当然、山の街道沿いは彼らの縄張りだ。護衛も無く、高価な商品を運ぶ事はできない。


そしてその護衛に使える人材は、現在信濃で槍を振るっている。


「食料事業です。田植えは例年通り、恙なく終了しました。しかし食糧倉庫の備蓄が二割を切りました」


「昨年の収穫は、一昨年より三割増えたはずだな?」


「増えた分は信濃に回されましたので……」


勿論、北信濃を攻めている軍勢も、ある程度物資に余裕をもって戦をしている。

彼らが帰ってこれば、余った分が備蓄に回され、食糧事情は改善されるだろう。


「秋までは戻って来ないだろうな。持つか?」


「難しいですね。駿河や武蔵からの購入を増やしておいた方がいいかもしれません」


「駿河の今川も、武蔵の北条も戦の真っ最中だ。間違いなく値上がりしているぞ。米ではなく、干物や稗、粟を優先して購入しろ」


「今回の物資の追加要求はなんとか対応できましたが、次に要求があった場合、間違いなく不足します」


「うぅむ……」


唸りながら、信廉は床に額を落とし、そのまま押し付ける。

額が床を打った音にこそ体を震わせた部下達だが、その後の行動はいつもの事なので誰も気にしなかった。


心に負荷を受けた時の信廉の行動だった。

それだけの重圧の下で働いているのだと理解している部下達は、そんな彼を奇異の目で見たりしない。


「戦、戦、戦か……戦が無ければすべてうまくいくのに……」


ともすれば武士らしくない信廉の発言だが、彼らも思いは同じだった。


「諏訪を攻めたのは、まぁ仕方ない。同盟破りに対する制裁だ。けどその後は必要無いだろう……。戦をしなければ領地を豊かにできないってんなら多少は仕方ないと思うけど、できるように俺達がしてんじゃん……」


昔は、領土欲を見せる晴信をよく諫めたものだった。

仮に周辺に巨大勢力が出現したとしても、それは決して一枚岩ではないから、その全力で攻め寄せてくるなんて不可能だ。

単純な話、三ヶ国を支配し、一国あたり一万人を動員できる勢力より、一国しか支配していないが、二万人動員できる勢力の方が強いと信廉は考えている。


それだけの人数を動員できるという事は、それができるだけの国造りがなされているという事でもあるからだ。

しかもこちらは内政を充実させての二万人。

戦によって領土を広げた結果の一万人を三ヶ国分では、その領地は間違いなく疲弊しており、継戦能力は皆無の筈だ。


二月も守れば相手は退く。

それを二度も繰り返せば、あの土地には手を出してはいけない、という噂が広まり、誰も攻めて来なくなるだろう。


だが、信廉のそんな理屈は数年前にあっさりと覆された。

よりにもよって、信濃の隣で、戦によって領土を広げた挙句に内政を充実させた勢力が出現してしまったからだ。


そこが可能なら武田も可能だろうと晴信が考えるのも仕方のない事だった。


「そうか、あれも三河か。あれも安祥家か……」


額を擦り付けながら呟く信廉。

今まで意識していなかったが、どうやら信虎追放からの九年間、信廉の計画が狂っている原因は、全て安祥家にあったらしい。


「遠江に赴き、安祥長広と会う」


顔を上げた信廉の第一声はそれだった。


「安祥……ですか?」


「三河で食料の生産量が年々上がっている報告がきていたな?」


「はい。交易も盛んに行っているそうです」


「ならば、駿河や武蔵、相模よりは食料購入が容易かもしれん」


「しかし、安祥家も戦の最中。それも、もう三ヶ月以上一万人を動かしていますよ」


「確かめてみる価値はある。兄上に許可を求める書状を用意せよ」


信廉の指示を受けて祐筆が動く。


「それに、安祥家と結ぶ事ができれば、兄上の領土欲も収まるかもしれん」


北信濃を支配するまでは止まらないだろうが、三河と遠江と駿河を押さえる安祥と今川と結べば、武田家はそれ以上の伸長が不可能になる。

越後の長尾、武蔵の北条を放置したまま三河や遠江には進出できないだろうし、かと言って、長尾や北条は簡単に片が付く相手ではない。


少なくとも数年は内政に専念できる筈だ。


「吉報をお待ちしております」


自分達の仕事が忙しく、そして芳しくない原因がなんなのかを知っている信廉の部下達は、心底からそれを望んで頭を下げたのだった。


諏訪御寮人(御料人)の実名は不明らしいです。新田次郎氏の小説で諏訪湖とそこに流れる川の名前から名付けていましたので、それを参考に諏訪湖と彼女の生母である麻積氏から湖麻とさせていただきました。ご了承ください。


前回の話でわかるように描写したとは言え、感想で指摘されましたので、「武田信廉のネタバレが解禁されました」を今回の活動報告とさせていただきます。

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[一言] 武田家と結ぶぅ⁉️百害あって一利無しじゃね?
[一言] あー 前に真田と山本が既に武田に仕えていると言ったのはこのせいか
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