安祥新年祭 二年目
年が明けて天文19年1月。
できれば年内に岡崎との問題を片付けたかったんだけど、思った以上に二年間の大戦の影響が大きかった。
上和田城の改築と、東西橋元町の支配の事も考えたら後回しにしないといけなくなった。
其の方らを帰したらすぐに攻め込むってドヤ顔した自分を殴ってやりたい。
織田弾正忠家に新年の挨拶に向かい、そのまま宴に参加する。
その後は昨年と同じく安祥新年祭だ。
昨年の成功を受けて、津島や熱田の商人もかなりの数が出店を出してくれている。
富籤も、太原雪斎を討ち取った御利益つきとかなんとか煽った結果、昨年以上の売り上げを叩き出した。
貨幣経済が浸透しているのもあって、この新年祭で手に入れた銭で、二年間の戦の傷を癒し、今月末か来月以降の軍事行動を可能にするつもりだ。
勿論、あくまで予算の足しにするのであって、この新年祭の利益だけでそれらを全て賄える訳じゃないからな。
吉田城には相変わらず千を超える兵が入ったままで、岩略寺城を含めた、近隣の今川方勢力と睨み合いを続けている。
戦をしなくても、兵を維持するだけでも金がどんどん消えていく。
まぁ、消えた銭は領内で消費されて、税金としてこっちに戻って来るんだが。
天下一武術会は今年も大盛り上がり。
昨年準優勝して大会を盛り上げた虎頭巾は残念ながら出場しなかった。
多分関係ないと思うが、於広は産んだばかりの長女の世話で忙しかったみたいだぞ。
きっと関係無いけどな。
ただ昨年の成功ぶりが旅商人らを始め、多くの人間の口の端に上った結果、見物人だけでなく、参加者もかなりの数が集まった。
盛況ぶりは予想ができていたので、予選と本選で二日に分けて開催したのに、予選はその日の夜までかかってしまったからな。
昨年同様腕相撲にしとけば良かった。
出場者は昨年のリベンジに燃える柴田勝家、碧海準行、松平親次。
森可成は息子に似て(気にしないで)顔立ちが整っていて、ナイスミドル然とした佇まいが女性陣に受けていた。
まぁ、まだその息子は生まれてないんだけどさ。
今回、上位に残った中でも無名の者が多かった。風間太郎、神戸小太郎、加藤鳶助とかな。
うん、無名だよ。無名に違いない。
神戸小太郎だけは、さりげなく信長や親爺に紹介しておくか。
加藤鳶助は今フリーなのかな?
ところで今回も柳生宗厳は途中で敗北した。
相手は小柄な老人で、登録名は土佐入道。
この老人がやたらと強い。怪力や華麗な剣技などの、わかりやすい強さがある訳じゃないんだけど、相手の攻撃を悉く受け流し、一撃で倒して来た。
あれよあれよという間に決勝に進んだ彼の老人は完全な穴馬であったので、胴元である俺にとっては有り難い存在だった。
「こんなところで何をなさっておられるのですかな? 新右衛門殿」
決勝戦で当たったのは、ガチガチのド本命、中条常隆。
単勝二倍を切るんだから、その人気ぶりは推して知るべし。
子供がいなかった事もあって、四椋の遺児を養子とし、現在後継者の育成中だ。
「ほっほ、この手の命を取らぬ戦いも良いものよ。命を取らぬがゆえに、戦える状態であっても負けとされる。その独特の緊張感は新鮮だわい」
「このような場に出ずとも、貴方程のお方であれば、幾らでも相手が見つかるでしょうに」
「ほっほ、血の気の多い若者の相手は些か飽きてのう」
そして二人が構えると、自然と周囲の喧騒がやんだ。
達人同士が放つ気で、空気が形成されたとでも言えばいいんだろうか。
これまで思い思いに声援を送ったり、歓声を上げたり、賭けの結果に一喜一憂したりと騒いでいた観衆が、その空気に飲まれて言葉を失う。
誰もが舞台上の二人に注目していた。
衣擦れの音一つでも起こせば、この空気が壊れてしまうような感覚。
それを恐れて、皆一様に身じろぎさえせずに二人を見つめている。
ごくり、と誰かの喉がなった。
ひょっとしたら、それは俺だったのかもしれない。
それを合図にしたかのように二人が動き、そして勝負はついた。
「それまで! 脛あり!」
俺はそう宣言し、土佐入道側の旗を上げる。
その瞬間、それまでの静寂が嘘のような歓声が、舞台の周囲で爆発した。
決め手は土佐入道による常隆への下段斬り。
今回も、短槍を用いて脛斬りを仕掛けた常隆の一撃を、見事に防いだのちの返しの一手だ。
常隆の脛斬りは初動が殆ど無いから、来るとわかっていても防げないんだよなぁ。
それこそ、最初から脛の当たりに刀を置いて防御しておくしかない。
まぁ、そうなると今度は上ががら空きになるんだけどな。
つまり必勝の戦法と言える訳だ。
生死をかけた決闘ならともかく、こうした試合でそれをやっても盛り下がるだけってのは、常隆もわかっていたのか、決勝までは短槍も脛斬りも封印してた。
それでも圧倒的な強さを見せるんだから、やっぱり相当な実力差があったんだろう。
その脛斬りにしっかり対応したうえ、返すとか、あの爺さん何者だよ。
「今年も盛況なようだな」
新年祭の最終日、その夜。
俺は信長と帰蝶を部屋に招いて話をしていた。
「ああ、お陰で昨年の損害はなんとか補填できそうだ」
俺と帰蝶は三河の天台宗の寺領で作られた清酒を口にしているが、信長は果実のしぼり汁を水で割ったものを飲んでいる。
酒に弱いどころか、超がつく下戸だからな。
「兄上はこれからどうするつもりだ?」
「ひとまず三河の統一に注力するつもりだ。今川を退け、岡崎松平を落ちるところまで落としたからな。とは言え、まだまだ今川の影響力が強い。今年だけでは終わらんだろう」
「そのあとは?」
「遠江、駿河と進むつもりだ。恐らく北条とは協力可能だろうから、その後は甲斐に向かう事になるかな? 海を渡って蝦夷を目指すのも面白いかもしれんな」
「知多の協力を得て、志摩へ行く事は考えぬのか?」
「儂には大義名分がない」
「別の誰かにならあるという口ぶりでございますね」
それまで、俺と信長の会話を聞いていた帰蝶が楽しそうに笑いながらそう口を挟んで来た。
「父上ならば作り出す事は可能だろう。佐治家と婚姻でもすれば、佐治家の伊勢湾交易の安全確保の名目が立つ」
「志摩の水軍衆にどこでもいいから戦を仕掛け、それを追って志摩に入る、という筋書きでございますね?」
「…………」
「どうした、三郎?」
信長が、俺達を何やら面白くなさそうな表情で見ている。
ひょっとしてやきもちか? どちらに対して抱いても、嬉しくもあるが複雑でもあるな。
「お濃も兄上も、父上から聞いたのか?」
「うん? ああ、いや。弾正忠家が尾張を統一したのち、領土を拡大しようとすれば、選択肢の一つとして上がるのはわかるだろう」
「……そうか」
「婿様はわからなかったのですよ、義兄上様」
膨らませた頬を掌に乗せてそっぽを向く信長。
思わずその頬をつついてやりたい衝動にかられ、誘惑に必死に抗っていると、コロコロと笑いながら帰蝶がそう言った。
「お濃……」
恨めしそうな声が信長から発せられる。
そう言えば、信長の周囲から聞く評価は、武略の才に乏しい、というものが多い。
前世の信長は、割と騙し討ちとかしてる印象があっただけに意外だった。
まぁ、史実以上に合理主義というか、現実主義っぽいからなぁ。
自分の考える事は相手も考える事ができる。だから、謀略が通用すると思っていないのかもしれない。
信長自身が合理的に考え、相手も当然そう考えていると思っている節があるからな。
相手の目線に立って考えるって事ができないのかもしれない。
「帰蝶様、謀はこれまで通り、貴女に任せた方がよさそうだな」
「ええ、お任せ下され」
「だから貴様らはなぁ……」
冗談めかして俺が頭を下げると、帰蝶も合わせて頭を下げた。
それを、信長が半眼で見つめる。
「ところで三郎、道三殿と会って来たそうだな」
「うむ、蝮だなんだと言われていたが、気のよい御仁であったぞ。父上とは違った意味で油断ができぬ相手だとは思ったな」
会見場所は、前世と同じ正徳寺。信長は那古野の兵、というより馬廻りのみ千を連れて行き、その中には国友村から届いたばかりの鉄砲百丁を持った、鉄砲隊も含まれていたという。
しかも前世の通りにうつけの恰好で寺まで赴き、その場で正装に着替えて道三と対面。
道三は信長の恰好を隠れて見ていたらしく、略服で会見に臨んで恥をかいたらしい。
こういうところは、前世と変わらないのか。
「互いに何かあれば援軍を送り合うという約束をして会談は終わった。たいへん有意義なものであったな」
「とは言え、婿様では動かせる兵がたかが知れていますからねぇ。もしも兄上と父上が戦になったなら、助けにもならないでしょうね」
信長は初陣後、何度か戦をして武功を挙げているが、それで奪った城や領地は、弾正忠家のものになっている。
信長が独断で動かせる兵というのは、結局那古野の領民と、馬廻りのみなんだよな。
そういう意味では、今長良川の戦いが起きると、史実以上に何もできなさそうだな。
親爺は道三見捨てる気満々だったし。
「それもあってな、兄上。何か金を稼ぐよい方法はないか?」
「夏に那古野籤としてそれなりに儲けたのだろう?」
昨年の新年祭で、出店や富籤の事を聞いた信長は、それを自分の領地で早速試した。
わかりやすい御利益があった方が売れると思ったらしく、津島天王祭に合わせて販売したらしい。
ただ、そのせいで、利益の多くを津島と清洲にも取られてしまったそうだ。
「おれの懐も暖まったし、家中での評価もあがったから、悪い結果ではなかったがな」
「こればかりは仕方がないな。富籤は売れば売る程儲かる仕組みだ。利益を増やしたければ数を出すのが一番だからな」
「そうでございますよ、婿様。那古野のみで販売するより多くの利益が出たではないですか」
津島天王祭にあわせた事で、ただ那古野で売り出しただけでは不可能だっただろう販売数を叩き出したらしい。
「そもそも他所で販売するなら、認可料を取れと教えたであろう?」
「そんなものないほうが数がでると思ったのだ」
「結局義父上様がお取りなさってましたけれどね」
抜け目ねぇな、親爺。
信長も、当主である親爺には文句を言えないだろうしな。そもそも、富籤を生産する資金を融通してもらってる可能性だってあるし。
「そこでだ兄上、なにか他に儲ける方法はないか? 領地が少なくとも、それなりに兵の数を揃えるには金がいるのだ」
常備兵をできるだけ増やしたいって事ね。
「儲けの仕組みという訳ではないが、知識や発想はあるが、安祥家ではできない、難しいものなら幾つかある」
「それはおれが可能なのか?」
「那古野だけでは無理だろうな。弾正忠家全体として取り組めば可能だろう」
「むぅ。まぁよい。親爺が稼ぐ銭は将来のおれの銭だ。今のおれにも利益があるなら問題なかろう」
中々割り切った考え方だけど、確かにその通りではある。
ただ、弾正忠家の力が大きくなればなるほど、信長がすんなり家督を継ぐのが難しくなるのはわかっているんだろうか?
それまで野心を抱いていなかった者も、欲を出してしまう可能性があるからな。
「良いか、三郎。儲けるというだけに限らず、何事にも順序というものがある」
「ふむ」
「例えば、現在我が領内では、田畑でそれを押して歩くだけで耕す事ができる機械を研究開発中だ」
「なんと!?」
「詳しくはあとで資料を渡そう。弾正忠家でも研究して貰えれば、完成が早くなるだろうからな。車輪が外側についており、これが回る事で、その間に取り付けられた絡繰りが回転し、土を耕す仕組みだ」
「ふむ、聞けばそれほど難しくはなさそうだが?」
「土を耕すにはそれなりに力がいる。それゆえ、適当に作ったものでは、土の上を撫でるだけに終わった。これを完成させるには、車輪と間の絡繰りを繋ぐ部品を、しっかりと計算し、そのうえで、寸分違わず作らねばならぬ」
「それは、厳しそうだな」
「そうだ。それゆえまずは、寸分違わぬ部品を作るための絡繰りを研究し、開発せねばならぬ」
「…………」
「発想というなら、人間はどのような事でも思いつく。だが、今の立ち位置とその発想の場所を理解し、順番に埋めていく必要があるのだ」
「だが、それが完成すれば、農業の効率はあがり、新田の開発も進む。人手があまるから、別の作業に人員をあてられる。結果、国力の増強に繋がる」
「その通り。だから三郎、新しいものを無理に生み出すのではなく、今あるものを改良する事を考えてみよ。その積み重ねが、ある日突然、技術の革新へと繋がるのだ」
正直、俺の知識だけでは文明の発展には限界がある。
蒸気機関や内燃機関。戦で言えば大砲に機関銃。
知識はあっても、詳しい内容を知らない。それを完成させるために、何が必要かがわからない。
そして、俺一人で頭を捻っても、そこに辿り着けると思わない。
ならば他人の知恵を借りよう。
確かに前世の戦国時代はそこへ辿り着いていなかった。
けれど、それは知らなかったから、発想がなかっただけの可能性は十分にある。
知っていれば、辿り着く事ができるかもしれない。
それだけの知識と才能を持った人間が、日ノ本にいないとは限らないからな。
「例えば、人の力で行う事が難しい、時間がかかるものなら他の力を借りるのだ。粉挽きを人力で行えば、多くの人員と力が必要になるが、水車で代用すればそれを軽減する事ができる」
「……そうか。人が動かす絡繰りを、水車を使って動かせば、更に人手をあまらせる事ができるな」
確か水車の動力を使った自動紡績機や脱穀機なんかもあったはずだから、弾正忠家に研究して貰おう。
「成る程。存在しないものを造るだけではなく、今あるものを効率よく使う事も大事か……」
「その通り。数は力だぞ、三郎。富籤がそれを物語っているだろう」
「…………」
「いかがした?」
「数が力になるというなら、それを制限する要素は省くべきだな。弾正忠家は銭によって力を得ている。ならば、銭が増えることを抑制している事柄を除かねば」
確かにその通りだけど、こいつ何をするつもりだ?
寺社勢力に手を出すのはまだやめておけよ。
「よし。ひとまず那古野では座を廃止する事とする。自由に商売させれば、多くの商人が訪れるようになり、よりよいものが産み出されるようになるはずだ」
おお、楽市楽座か。確か大元は近江の六角氏だっけ?
「父上も似たような事をなさっていましたね。しかしそれなら、悪しきものはともかく、弱いものを守る仕組みも必要ですよ」
「そういった者は、座を求めて清洲や津島にゆくであろう」
道三も商業政策として楽市楽座をやっていたのか。
単純に銭を欲していただけじゃなく、道三の権力簒奪の経緯を考えれば、既存の勢力の力を削ぐ目的が大きそうだな。
そして信長は、住み分ければいい、とあっさり割り切る。
知らないながらも、経済特区を生み出そうとしてるぞ、こいつ。
那古野の領地しか自由にできないって制限があるから仕方ないとは言え、それこそ、俺が伝えた『今あるものを改良する』という事を応用している訳か。
と、話がひと段落したところで、障子が叩かれた。
「誰か?」
「獅子丸です。三郎信長様にご挨拶に参りました」
「三郎?」
「よい、通せ」
「うむ、獅子丸、入って参れ」
「はい、失礼いたします」
そう言えば、ちゃんと会わせた事は無かったか。
獅子丸ももう六歳。挨拶くらいはできるだろう。
障子が開かれ、獅子丸が平伏する。
「御尊顔を拝見させて頂き、恐悦至極に存じます。安祥長広が長男、獅子丸と申します。三郎信長様にはご機嫌麗しく」
「うむ、獅子丸、おもてをあげよ」
「はは」
この辺りはテンプレなやり取りとは言え、きちんとできないと切り捨てられてしまっても文句を言えないのがこの時代だ。
よしよし、ちゃんと教育がされているな。
「…………」
「…………」
獅子丸が顔を上げると、信長はその顔を見たまま止まってしまった。
獅子丸も、自分から何かを口にするのは無礼にあたるため、やはり動けない。
「婿様」
「はっ!?」
帰蝶に声をかけられ、信長は我に返ったようだった。
え? マジでどうした?
「う、うむ、父に似てよい面構えをしておる。勇武の相だな、将来が楽しみだ」
「はは! 勿体無きお言葉、有り難く!」
「うむ、さがってよい」
「は! 失礼いたします!」
そして獅子丸が退出し、障子が締められた。
獅子丸には何事もなかったけれど、信長の様子がおかしい。
「兄上……」
「なんだ?」
「……獅子丸を養子に寄越せと言ったらどうする?」
おい、この短い対面で何を感じ取ったんだよ。
けれど、こいつ信長だからなぁ。人知を超えた何かがあるかもしれないし。
英雄の直感に女の勘まで足されてるからなぁ。
「悪いが断る。大事な跡取りだ」
「側室の子だろう!?」
「三郎……」
「いや、すまぬ、そういう意味ではないのだ」
不快感を覚えたというより、信長の思考に危険なものを感じて名を呼んだんだが、どうやら予想以上に効いてしまったみたいだな。
俺が庶子で家督を継げないから、庶子だが長男である獅子丸に継がせようと思うのはおかしい事じゃないと思う。
けれど、俺がそんな理由から獅子丸に家督を継がせようとしていると思われるのは厄介だ。
何故ならそれは、俺が、長男でありながら家督を継げない事に不満を抱いているという事になるんだから。
「儂もそういう意味ではない。そもそも正室と側室の区別もあまりしておらぬでな、庶子であるかどうかを気にしておらぬだけだ。産まれた順に家督を継がせる。わかりやすいというだけの話よ」
幸いにも、今のところは男子は於大しか産んでないからな。このままならトラブルには発展しないだろう。
ただ、於広自身も、於大との立場に差は無いと思ってくれているけれど、それでも第一子が男子でなかった事を心底から悔やんでいたからな。
迂闊な事は言えないぜ。
小姓に、というのも難しい。安祥家を継ぐために教育を施さないといけないからな。
他の武家とうちとでは、大分違うから。
「いや、うむ、その、大丈夫だ、兄上。ちょっと取り乱しただけだから」
ちょっとどころじゃないくらい取り乱してるが、大丈夫か?
酒は飲んでいない筈なのに顔が赤い。
「婿様、甥っ子が可愛いのはわかりましたから、少しは落ち着きなされよ」
「なっ!? いや、その、まぁ……」
帰蝶の言葉に対する反応は図星を突かれたそれだ。
成る程、初めて見た甥っ子が可愛くて妙な思考に陥ってしまったのか。
普通の人間でも、甥っ子や姪っ子にメロメロになる人は多いって聞くからな。
それが身内に甘い弾正忠家の家系ならなおの事。
市の事も可愛がってるって聞くし、身内に加えて年端もいかない子供ってのに弱いのかな?
可愛いは正義って事だな。
獅子丸は俺に似て地味顔だけど。
信長が政治に関わる割合はこの時期から増えて行くそうで、数年後には楽市楽座を実現させています。
信秀が説得されたという可能性もありますが、織田家の舵取りが完全に信長に移ったという証拠でもあるかもしれません(信秀が亡くなった事で実現できた可能性も無くはないですが)。
そして長広は、塚原卜伝の通称や輩行名を知りません。




