◇127◇動かざること石の上にも三年の如し(卒業しちゃう)
名物先生いますよね。
きんこーん♪
さて、三時間めの授業です。
つぎは……げっ! 現国かぁ。
ノートとるの、疲れるんだよな。
あの先生、授業もわかりやすいし。
たまにはさんでくれる、雑談も面白いし。
黒板に描く字だって、綺麗ですし。
美形ってほどでもないけど、魅力的で、男女問わず生徒に人気あるんですが。
唯一、欠点があるとすれば、黒板の使いかたにクセがあって。ノートが、とりにくいことです。
いや、さっきも言いましたが。字は綺麗で読みやすいんですよ。
問題というのは——黒板は横に長いのに、先生が書くのに使う範囲が狭いということです。
あの先生。授業中、ほとんど立つ場所を変えないんですよね。
黒板のまんまえ、まんなかに立つと。プリントを配るときだって、最前列の席の生徒をひとり呼んで、配ってもらいます。
そんなんだから、はしっこまで移動して、黒板をいっぱい使うなんてことはしません。
まんなかの狭い範囲だけ使って。
それゆえに、書く→消す→また書くのサイクルが早くて、ノートとるの大変なんですよ。
さらに。先生動かないから、黒板どまんなか、ずーっと見えなくて。椅子からちょっと立っては、首をななめにしてのぞきこんでる生徒がいるのが、この授業の風物詩です。もちろん、先生もわかってるので、そんな生徒に、席を立ったことを注意したりはしません。
そんな、名物先生。
でも、我々生徒は理解を示しています。
教師は教えることが商売ですから、しかたありませんもの。
ずっと、定位置でも!!
あなたが、そうだったりして。




