◇109◇夜の闇を照らして［4コマ漫画つき］

　ふうっ。帰り遅くなっちゃいました。

　友達の家で夕飯をご馳走になって。

　そのまま長居しては。なんとなくつけてたテレビの、埋蔵金発掘の特番なんて、最後まで見ちゃったもんだから。

　もう、すっかりこんな時間。

　しっかり舗装されている道ですが、歩道を外れれば、そこは山。弱々しい街灯のしたを歩いていると、見ていた番組が、心霊ものではなかったことを感謝します。

　そういえば、さっきのテレビですけど。

　ここらへんにも、埋蔵金のうわさがあったと言ってました。

　あれをきいて、まさか闇夜にまぎれて、こっそり掘りにくるひとがいたり……

　って。なんか、歩道のわきの山。林の奥のほうが光ってません？

　おばけでもなさそうですし、行ってみますか。

　ざくっ！　ざくくっ！！

　うわぁ、ほんとにいた！！

　あたまにかぶった、ヘルメットにライトをつけて。

　男性がでっかいシャベルで、穴を掘っています。

　マンガみたいですが。

　埋蔵金を探してるのではなく、なんか物騒なものを埋めるために、って可能性もあるので。ここは、こちらにきづかれるまえに、そそくさと逃げることにしましょう。

　見なかったことにするのが、いちばんです。

　いやぁ、しかし。

　ライトつきのヘルメット、かぶってるひと、実際に見たのははじめてです。

　気合いはいってましたね！

　夜の闇に揺れるその光は、かれの意気込みとあいまって、発光する昆虫のようです。

　うん、気合い、はいってましたもの！！

　掘ったる（ホタル）！！