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学校では地味な陰キャとバカにされている俺は実はボディーガード 〜地味に生きたいのに、以前助けた有名人の幼馴染が離してくれない〜  作者: 木嶋隆太


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第69話


『なるほど、そういうことだったんだね』


 ひとまず、アンナは俺たちの状況を理解したようだった。


『でも、なんで……アタシと仲良くしたいと思わないの?』

「……有名人とはできる限り避けて通りたいんだよ」

『でも、二人と会ってるよね?』

「まあそれは幼馴染だからな。その関係もなかったら、今みたいには会ってないんじゃないか?」

『そうなの? それじゃあ、アタシとはただの友達ってことなら大丈夫かな?』

「……有名人と友達なのもな」

『えー、いいじゃん! そんなの些細なことだよ!』

「……俺にはまあ、色々あって些細な問題じゃないんだよ」


 俺が小さく息を吐くと、アンナは少し不服そうな声をあげる。


『私、あなたに一目惚れしちゃったの!』

「堂々と言うんだな……」

『だって、そっちの二人だって堂々と宣言しているみたいだから!』

「でも、所詮は一目惚れだろ?」

『うん、あなたのことを知ってもっともっと罵ってほしいって思ったの』

「……」


 おかしい。今の場面での言葉は心に響くはずなのに、俺にはまったくもって響かなかったぞ?

 とりあえず、この話題を続けていても仕方ないので、俺は一つ咳ばらいをした。


「そういえば、アンナは一つ年上だったよな……?」


 少なくとも、同い年ではなかったはずだ。


『あれ? 友梨佳と一緒なんだっけ?』

「ああ、そうだ」

『それなら、一つ上だね。友梨佳と美月の学校の先輩なんだよー?』

「ってことは、今みたいに話すよりは敬語のほうがいい……ですよね?」


 何も知らなくてずっと軽いノリで話してしまっていた。すると、向こうから寂し気な声が返ってきた。


『え? ……で、でも今みたいに雑に扱われるほうがいいっていうか……』


 さらに距離をあけたくなった。


「……あの、気持ち悪いんで鼻息荒くするのやめてもらっていいですか?」

『あぁッ! でも、丁寧語で罵られるほうがいいかも!』


 ……そういわれたら、丁寧語で話す気力が失せてしまった。

 俺はもはや彼女と口が利けないかもしれない。


「それじゃあ、このままでいいのか?」

『う、うん……時々罵ってくれるのならどっちでもいいかな?』


 それ基準おかしくない?

 と、友梨佳が近づいてきて、電話越しに声を発した。


「それじゃあ、アンナ。もう用事も終わったから、じゃーね」

『うえええ!? ちょ、ちょっと待ってよぉ! 二人だけ罵ってもらえるなんてずるいぃ!』

「ふふ、いいでしょ?」

「いや、罵らねぇぞ?」


 何自慢げな声を出しているんだこの馬鹿友梨佳は。


『ず、ずるいよ! 私も電話を繋いでいてよ!』

「一人仲間外れにされて放置されているのを楽しむといい」

『な、なんて酷いことを……っ! あ、ああ! でもそれはそれで……そそる!』


 そそるんじゃねぇよ。


「とにかくだ。どっちにしろ、もうそろそろ寝るから……それじゃあ、さよなら」

『さ、さよなら!? その冷たくあしらうように言ってくれるの……なんだかいい――』


 最後まで聞く前に、俺は電話を切ってしまった。

 ……アンナ。ラジオのときは友梨佳と美月にいじめられて可哀想だと思っていたが、今はもうそんな感情は一切なかった。


「とりあえず……どうするんですか、センパイ」


 じろーっとした目で美月がこちらを見てくる。


「どうするも何も……まあ、そのうち俺のこと忘れるだろ」

「わ、忘れないと思います……出会いは完璧、何よりアンナさんの性癖をうまく刺激しちゃいましたからね。……ここまで計算ですか?」

「計算外だ。どうやったら、あいつがドMのやべーやつだって導き出せるんだ」


 そんなところまで誰が予想できるか!

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― 新着の感想 ―
[一言] 何故かあり〇れの駄龍を思い浮かべてしまったんだが ぬぁぜだ!
[一言] 何ともうらやまけしからんね!俺がその年なら手を出しているかも知れませんね
[良い点] ダメだ、早くコイツをなんとかしなくては [気になる点] ツンデレな幼馴染み、ロリ巨乳の後輩、ドMの芸能人。なんだこれは?個性のバーゲンセールか? [一言] アンナ、すごく好きになりました。…
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