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学校では地味な陰キャとバカにされている俺は実はボディーガード 〜地味に生きたいのに、以前助けた有名人の幼馴染が離してくれない〜  作者: 木嶋隆太


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第58話


 俺はそういった美月に苦笑を返しつつ、ハンバーグを一口切って自分の口に運んでみせた。


「とにかく、食えないことはない。ただ、料理に関しての勝負だけで見れば友梨佳のほうが上だ」

「やった。それじゃあ婚姻届にサインを」

「書かねぇよ。つーか、友梨佳は年下にそんなむきになるなって。あと一年あれば、友梨佳に追いつく可能性は……可能性は……まあ、極めて少ないと思うが」

「センパイ……フォローするなら最後までしてください」

「……とにかく、追い付くかもしれないんだからな」


 美月が落ち込んでいたので、そう声をかけ、俺はハンバーグをとりあえず食べていった。

 二人も食事を始めていく。


「……センパイのためにも、料理、頑張りますね」

「できて損はないからな、いいと思うぞ。ま、本業の息抜きがてらでやるといいんじゃないか?」


 皆で夕食を食べ始め、美月は友梨佳が作ったハンバーグを睨んでいた。


「……むぅ、悔しいけどおいしいですね」

「ふふん、これが実力の差」

「でも、必ず追いつき、追い抜かしてやりますよ」

「できるのならやってみるといい」


 ……この二人は競争の激しい芸能界で生きているからな。

 美月も本気で学び始めたら、あっという間に上達していくだろう。さすがに、友梨佳も成長するので追いつくのは難しいかもしれないが。


「そういえば、ラジオは何時からなんだ?」

「二十一時から放送される。だから、まだしばらく大丈夫」

「そうか。ラジオではどんな話をしたんだ?」

「まあ、それは聞いてからのお楽しみ」

「でも、基本はアニメの話だろ?」


 あくまで二人はその宣伝で行っているはずだ。美月がこくこくと頷いた。


「ですけど、私も友梨佳さんもここ最近色々とあったじゃないですか?」

「……そういや、ちっこくニュースになっていたな」


 美月がストーカー被害を受けていて、その犯人が捕まったことについて、ニュースにのっていた。


「はい。まず私、友梨佳さんともにファンの方が心配しているようでしたのでそれについての詳しい説明をしました」

「……まあ、私たち別に普通に仕事していたから、そんなに心配していない人もいるかもだけど」

「おまえらはほんと、メンタル面タフだよな」


 俺がバクバクとハンバーグとごはんだけを食べていると、友梨佳がさっとサラダの皿を近づけてくる。無視するように体を背けていると、美月が苦笑した。


「私はメンタル面に関して、センパイに勝てるとは思っていませんけどね」

「嘘つけ。前ゲームのトークイベントみたが、あんな大勢の前で楽しそうに話なんてできねぇぞ俺は」

「私はナイフもった犯罪者相手に真っ向から戦えません」

「いやいや、それは簡単だぞ? 正当防衛の範囲でストレス発散ができる。良いサンドバッグみたいなものだ」

「そんな考えできないですね」


 美月が声をあげ、友梨佳がこくりと頷いた。


「……それに、雄一は人を安心させる力を持っている」

「そんな秘めたる力が俺にあるのか?」

「うん、私が今も普通に仕事が続けられるのは雄一がいるから」

「俺? 別に仕事しろと脅しているわけじゃないぞ?」

「何かあったら、雄一が守ってくれる。よね?」


 満面の笑顔でそう言われたら……断ることはできない。


「ま、友達だしな」

「あっ、私もですよセンパイ、センパイがいざって時に助けてくれると思っているから、メンタル面で余裕があるんです」

「……そりゃあどうも」


 二人はすっかり落ち着いた表情で話してくれている。

 それなら、多少非日常に足を突っこんでしまったが、助けてよかったな。


 こうお礼を言われるのは、悪い気はしない。……今回くらいの依頼なら楽でいいんだけど、あれ以上の仕事もあるからそう気軽に引き受けるとも言えないんだけどな。


 と、そんな風に話していると、二十一時が近づいてきた。スマホでラジオの準備をしていると、友梨佳がにやりと笑った。


「それと、ラジオ内では好きな異性のタイプについても話している」

「そうか、ファンに刺されないようにな?」

「刺されるとしたらセンパイじゃないですか?」


 ……おい、こいつら変なこと言ってないよな?

 俺が一人焦っていると、ラジオが始まった。


『はーい、今週もこの時間がやってきたよー。パーソナリティーは、アタシ、小園アンナが務めます!』


 第一声で、綺麗な声が聞こえた。

 アンナの顔は先ほど検索したが、イメージしたものとほとんど同じだった。

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