表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

なろうラジオ大賞5

龍のたまごを手に入れた暗黒に選ばれし少年の暗鬱たる夢想詩

作者: 夕日色の鳥
掲載日:2023/12/17

「なろうラジオ大賞5」参加作品です。

コメディーです。

「……くっくっ。

 ついに手に入れたぞ。世界は俺のものだ!」


 少年は光なき暗黒で不気味に笑う。

 その手には小さく真白な卵。


「お前が俺を……いや、俺がお前を選んだのだ。

 暗黒たる俺が暗黒龍たるお前を選ぶ。

 何と皮肉な運命か」


 一人語る少年は笑う。

 

「名を与えよう。

 お前の名は暗黒龍ジェイドスターだ。

 闇の精霊の寵愛を受けた、実にお前らしい名だろう?」


 それに応えるように卵がカタカタと動いたように見えた。


「ふっ、嬉しいか。

 俺に従え。さすれば世界は俺たちのものだ」


 光のない空間で少年は笑う。

 パンドラが開くのを今か今かと待ちわびるように。


「これまでに手に入れた卵は粗悪な軟弱者ばかりだった。神に奪われたものも多かった。

 だが、お前ならば神に見つからずに生まれるだろう。

 我が魔力で今こそ!

 闇の究極暗黒龍……」


「サトシ!」


「!」


 その時、暗黒に染まりし……もといカーテンを閉めきった部屋のドアが開けられた。


「まーた冷蔵庫の卵勝手に持ち出したでしょ!」


 それは少年にとって神にも等しい存在だった。


「おのれ! また俺から暗黒龍の卵を奪うつもりか!」


 少年は母親に抵抗して卵を抱える。


「いやそれ、スーパーで安売りしてた無精卵だから。孵らんから。痛むだけだから」


 冷静で冷徹な神は少年に現実という雷の矛を振り下ろす。


「イヤだイヤだ!

 暗黒龍を育てるんだ! ジェイドスターを孵すんだ!」


「はいはい。ジェイドスターは美味しい夕飯にしてあげるから」


「神はいつだって無慈悲だ!」


 少年は天に祈るようなポーズを見せた。スーパーで安売りされていた暗黒龍の卵を手に。


「……今夜はオムライスの予定だったけど、あんただけチキンライスでいいかね」


「さらばだジェイドスター! 永遠(とこしえ)に!」


 少年は暗黒龍の卵をすぐさま献上した。


「よろしい。暗黒龍はあんたの糧になるさ」


 卵を受け取った母親は「やれやれ。早いとこ抜け出してほしいもんだよ」と呟きながら、中学二年生の息子の部屋から出ていった。


「そうか。俺が暗黒龍を取り込み、その力を得よと。そういうことなのだな、神よ」


 母の嘆きとは裏腹に、少年は順調にその道を突き進む。


「ふははははは! ジェイドスターよ! 我が血肉となり、ともに世を統べようではないか!

 ふは、げほげほっ! ふははっげほぉっ!」


 慣れない笑い方で生唾が喉に詰まりながら、それでも少年は笑うのだった。

 彼がそれを黒歴史だと気付くのがいつになるのか、それはジェイドスターにも分からない……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 「さらばだジェイドスター! 永遠に!」 wwww [一言] 途中から可愛くて仕方なくなりましたw
[良い点] 暗黒龍ジェイドスターはマスターの糧となってしまった…! [一言] 楽しそうだなぁ、少年よ(笑)
[良い点] だいすき!大好きですこういうの!!!! わー!!私の中二病コメディーフォルダ(ブックマーク)に久しぶりに作品が増えました!!ありがとうございます!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ