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第九十話 クレムリン急襲(3)

「スターリンを殺すことはできなかったと思うが、心胆寒からしめただろう。どうだ、安馬野。飢餓を引き起こした張本人の喉元に、剣を突きつけた気分は?」


「はい、高城大尉。心の“つかえ”がとれたような気がします。でも、やっぱり、あんなことをした連中は、殺してやりたいです」


「安馬野。それは違うぞ。俺たちの目的はやつを殺すことじゃない。日本と同盟国を守り、より多くの人々を救って平和な世の中を作ることだ」


「はい!高城大尉!」


 ――――


「あ、あんな大物が憑依しているなんて・・・・」


 リリエルはまだ怯えている。


「前世では、どんな悪魔が憑依してたんだ?」


「それが、わからなかったのよ。アルマゲドンの時以外は、天使は直接人間に対して接触はできないの。だから、人間に憑依している悪魔について、詳しくはわからなかった。一応、4人の悪魔が“人間に影響を与えた”って事は判ったけど、もしかするともっと多くの悪魔が憑依しているのかもしれないわ。今は、私があんたと同化しているから、同じように人間に憑依しているあいつらを、感じることが出来るようね」


「でも、憑依されている人間は不死身じゃないんだろ?なら、正攻法でスターリンを倒せば、大丈夫なんじゃないのか?」


「そ、そうなんだけど、本当にあんな大悪魔が憑依しているヤツを倒せるのかしら・・・・」


「史実では、スターリンは天寿を全うしたけど、ヒトラーは倒せてるし、江青も失脚してるからね。意外と、悪魔より人間の方がこういう場合は強いのかもね」


「人間の方が、悪魔より強いの?もしそうだったら心強いんだけど。憑依されてる人間が死んでも、それくらいじゃ悪魔は死なないと思うのよね。たぶんだけど。精神体にもどって、アルマゲドンの時に牙をむいてくるわ。今回は、気づかれなかったみたいで良かったけど、気づかれたら、おそらく全力であんたを殺しに来ると思うの」


 1936年のベルリンオリンピックで、ヒトラーの顔を拝んでやろうと思っていたのだが、これは計画を変更した方が良いかもしれないと、高城蒼龍は思った。


 ――――


 ソ連は、日露からの停戦要求について“謝罪”の部分以外を受諾することで合意に達した。また、国連決議についても、受諾することを通告してきた。


 これにより、ウクライナでのホロドモールは終了した。国際社会からの救援物資が大量に届けられることになり、多くの人々が救われることになった。


 ――――


「この資料に間違いは無いのかね?」


 アメリカ陸軍省の一室では、ソ連と日本・ロシアとの紛争に関する会議が行われていた。


「はい。黒海に派遣した調査員が、測距儀によって何回も確認しています。また、モスクワのエージェントからも、10,000mから爆撃されたとの報告があがっています」


「高度10,000mを飛べて、積載量が5トンから最大10トンの飛行艇か。しかも、航続距離は6,000km以上の可能性もあるのだろう。あんな黄色い猿どもに、何故そんな物が開発出来るのだ!」


「何故出来たかについては判りかねますが、技術的には、おそらく、排気タービンを装着したエンジンを使用している物と思われます。我が国でも開発が進んでおり、数年で、高度10,000mを達成見込みです」


「高度10,000mからの爆撃で、クレムリンのカザコフ館のみを破壊したというのも本当なのか?」


「はい。クレムリンの近辺で、非常に長いワイヤーが複数見つかったそうです。おそらく、照準器で目視しながら、有線で誘導したのではないかと思われます」


「有線誘導か・・・。これは、我が国でもすぐに実用化出来そうだな」


「はい。しかし、我が国の爆撃機は高度7,000m程度しか上がれません。この高度だと、ゆっくり照準をつけていると高射砲や敵戦闘機の餌食になるので、高度10,000m上空というのが前提になります」


「それと、30,000m離れた距離にいる戦艦や巡洋艦に、艦砲を命中させたというのも本当なのか?」


「黒海艦隊で生き残った巡洋艦の乗組員から得た情報です。ソ連は、公式には認めていませんが、戦艦1、巡洋艦1、駆逐艦12が撃沈されています。これは、魚雷攻撃ではなく、駆逐艦の127mm砲による攻撃だったようです」


「そんなバカなことがあるか!どうやったら127mmで戦艦を撃沈できるというのだ!」


「おそらくですが、成形炸薬弾を使ったのではないかと思われます。工兵では使用されていますが、これを使った榴弾の可能性があります」


「成形炸薬はそんなに威力があるのか?」


「はい。口径が127mmだと、200mmから最大500mmの鋼板を打ち抜けると報告が上がっております」


「しかし、当たらなければどうということは無いのだろう?日本は、どうやって30,000mも離れた敵に当てたのだ?」


「これも、推測の域を出ないのですが、日本は“レーダー”を実用化している可能性があります。理論的には、海上なら50km程度の範囲で、敵艦との距離や相対速度を割り出すことが出来るそうです。そのデータを元に、計算尺で計算しているのではないかと、技術部は言っております。ただ、“理論的には”ということですので、これも、実用化までには数年以上はかかるとのことです」


「現時点に於いて日本との技術差は、数年以上あるということか。今、日本と戦争になったら苦戦を強いられるな。何としても日本の技術に追いつけ!予算はなんとかする。全力で取り組んでくれ」


第九十話を読んで頂いてありがとうございます。

なんとか、ホロドモールを終わらせることが出来ましたね。


完結に向けて頑張って執筆していきますので、「面白い!」「続きを読みたい!」と思って頂けたら、ブックマークや評価をして頂けるとうれしいです!


おもしろくない!と思ったら「★☆☆☆☆」でも結構です!改善していきます!


また、ご感想を頂けると、執筆の参考になります!


「テンポが遅い」「意味がよくわからない」「二番煎じ」とかの批判も大歓迎です!

歴史に詳しくない方でも、楽しんでいただけているのかちょっと不安です。その辺りの感想もいただけるとうれしいです!


モチベーションががあがると、寝る間も惜しんで執筆してしまいます。


これからも、よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
[気になる点] アメリカは必要とあれば本当に予算ガッツリかけるからなあ。 日本が学者の手弁当でちまちまウランいじってたのに、アメリカはマンハッタン計画とかだし。 アメリカ人頭おかしい。
[一言] 残りの3人は伍長、文化大虐殺、テディベアかな?
[良い点] 技術ちーとで他国がグヌヌするのは楽しいな~ [気になる点] よくある話で後追い技術開発は速いってのがあるがアメさんが史実よりA系技術開発が早くならないか心配 まあ、それ言い出すとドイツも怖…
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