鉄血女帝アナスタシア 第二十三話
大日本帝国宇宙軍 第二巻 絶賛発売中!
イラストはもちろん湖川友謙先生です!
帯のコメントは湖川先生と紫電改三四三などを執筆されております須本壮一先生の御両名から頂きました。
ご購入頂けると嬉しいです!
翌週の日曜日 高城邸
蒼龍のお父様とお母様、そしてかわいらしい妹さんに挨拶をした。妹の桜子さんとは前世で何回か会ったことがあってとてもかわいらしい方だと思ってたけど、5歳の桜子さんのかわいさは異次元ね。妹に欲しくなったわ。蒼龍のお父様が桜子さんをアレクセイの嫁になんて言ってたけど、ちょっと本気で考えてみましょうか。
「ではこれを」
蒼龍はカバンから大量の紙束を出して机に置いた。そしてその中の一枚を広げ始める。何枚もの紙を貼り合わせていて、縦横1メートルくらいある。
「これは?」
「これからアナスタシアがするべき事をまとめたフローチャートです」
この時代にフローチャートはまだ一般的じゃ無い。私は前世の記憶があるからだいたい理解できるけど、ルスランには当然初めてだ。チャートの読み方を蒼龍が丁寧に説明してくれる。蒼龍って私のことはぞんざいに扱うことが多いのに、ルスランにはわりと親切なのよね。この一週間でなんとなくそう感じてしまった。今日も肩が触れるくらいの距離で教えてるわ。年上の女が好きなのかしら?だから私に興味を示さなかったのね。本当の私の中身はすっごい熟女なのに。というかただのスケベなおっさんのような気がしてきた。
「アナスタシア、なにかどーでもいいことを考えてませんか?」
う、勘の良いおっさんは嫌いだわ。
「チャートの事を考えてただけよ。これ以外の選択肢は難しそうってことね?」
「そうです。可能性の低いモノを列挙すれば切りが無いのですが、現実的なのはこの選択肢ですね」
蒼龍の資料には大まかに三つのシナリオが書かれていた。
<シナリオ1>
サラエボ事件を防いで第一次大戦を起こさせない
ただし、セルビアのスラブ系民族の不満は爆発寸前であり、サラエボ事件を防ぐことは出来ても、同種のテロは必ず起こる。事実、1910年11年もセルビア人によるテロが発生してオーストリア政府の要人が殺されている。
サラエボ事件を防いでも、オーストリアとセルビアの開戦は避けられない可能性が高い。
→第一次大戦勃発ルート→シナリオ2か3へ
<シナリオ2>
第一次大戦が勃発しても参戦しない
ただし、オーストリアとセルビアの戦争にドイツは当然参戦するだろうし、そうすればフランスも普仏戦争の復讐を果たすために参戦する。もしくはフランスが動員をかけた時点でドイツがフランスに宣戦布告する。ドイツ・オーストリアはロシアへの対応をしなくても良いので、フランスが敗北する可能性が高い。
<シナリオ3>
第一次大戦に参戦するが、積極的な攻勢に出ない。
史実ではドイツがロシアに対して宣戦布告するので、防御に徹する。
ただし、この状況になると普仏戦争の復讐を果たそうとするフランスが露仏協商条約に基づいてドイツに宣戦布告する。ロシアが消極的だとフランスから信用を無くす。
「蒼龍の予想だと、どうやっても大戦を防ぐことは出来ないということね」
「はい、そういう結論に達しました。バルカン半島は世界の火薬庫と呼ばれているくらいですからね。1912年から第一次バルカン戦争が始まり、1913年には第二次バルカン戦争が起こります。その勢いで1914年に第一次大戦勃発と。そもそも1908年のボスニア危機でオーストリアがボスニア・ヘルツェゴビナを併合した時点で第一次大戦は避けられない戦争だったんですよ。オーストリアやオスマントルコが他民族を支配している状況を平和裏に解消できない限り大戦は起きます」
「そして、他民族の支配を平和裏に解消する方法はないのね」
「その通りです。残念ですが、この時代の人類はまだ未熟なんですよ」
「ということは、第一次大戦は避けられないとして、その状況でロシア革命を防ぐという事ね」
「はい、その為に必ずやらないといけないことは・・・」
「ラスプーチンの排除とレナ虐殺事件の阻止ね」
ここは完全に意見が一致したわね。ルスランはピンときてないようだけど。レーニンは外国にいるから手を出すのは難しい。スターリンはロシア革命時にはそれほど権力を持ってないから、排除したとしても現時点で大勢に影響は無い。まずは皇室が国民の信頼を無くさないようにするのが一番ね。
「現在ラスプーチンは皇太子アレクセイの治療と称して王宮に出入りしていますが、実際には何もしていません。体調が悪くなったとしても人間の体は生きている限りある程度は回復します。それをラスプーチンは祈祷によって回復したと見せているだけです」
私の弟、皇太子のアレクセイは生まれたときから血友病を患っている。ケガをすると血が止まらなくなる病気だ。1911年の段階で明確な治療法は無い。そこで奇跡を起こすと噂になっていたラスプーチンをお父様とお母様が王宮に呼んだのよね。そしてお父様とお母様はラスプーチンに依存するようになってしまって、そのことを反皇帝派プロパガンダの材料にされてしまう。
「その為には、薬の力で治すことが出来ればいいということ?」
読者の皆様
今年一年お世話になりました。次回の更新は1月5日予定です。
頂いたコメントは全て拝読し参考にさせて頂いております。
これからも面白い作品を書いていけるよう頑張ります。
何卒よろしくお願いいたします。
それでは良いお年を




