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鉄血女帝アナスタシア 第十六話

大日本帝国宇宙軍 第二巻 絶賛発売中!

イラストはもちろん湖川友謙先生です!


挿絵(By みてみん)


帯のコメントは湖川先生と紫電改三四三などを執筆されております須本壮一先生の御両名から頂きました。


挿絵(By みてみん)


ご購入頂けると嬉しいです!


 私は泣きじゃくってまっ赤に腫らした目で蒼龍を見上げた。そこにはさっきまでの困った顔をしている蒼龍じゃなくて、優しく目を細めている蒼龍が居た。


 私は蒼龍に抱きついて腕に思いっきり力を入れた。そして顔を蒼龍の制服に埋めて涙と鼻水をこれでもかというくらいこすりつけてやった。子供の体って、どうしてこんなに鼻水が出るんだろう。


「このクソ野郎!何で私のこと知らないふりしたの!私が困って泣きじゃくるのを楽しんでたんでしょ!バカ蒼龍!!!死ね!!」


 “ロリコン”って言葉はこの時代にはまだ無い。私の知る知識では、1940年頃から日本のUSUIHONで使われ始めたのが初出のはずだ。ドキドキしながら読んだことを思い出すわ。蒼龍の前世でどうだったかはしらないけど、おそらくこの時代に無い単語を使って私を試したんだと思う。


「いや、本当に知りませんよ。時系列を整理してください。俺は前世でもあなたに会ったことはありませんし、この時間軸であなたに会うのも初めてです。俺の記憶では、あなたは1918年7月17日にエカテリンブルクで殺されているんですから」


「あ、そうか」


 ちょっと混乱しちゃったわ。蒼龍が未来から来たことはわかったけど、そういえば私と会うのは初めてよね。


「でも、でも、前世の記憶を持ってるのよね。あのすごい技術を」


「この時代からしたら、そうでしょうね」


「それなら何で私に隠すのよ!あなたを殺して私も死のうかと思ったわ!(嘘だけど)」


「怖いことを言わないでください。リリエルが、あなたから悪魔の匂いがすると言っていたので警戒していたんですよ」


「え?悪魔の匂い?加齢臭じゃ無くて?」


 私はちょっと心配になって自分の匂いをかいでみる。あの匂いって自分じゃなかなか気付かないのよね。腕を上げて脇の下の匂いもかいでしまったわ。あ、蒼龍が冷たい目で見てる。


「はい、でも近くで観察して今話しをして、それはあなたが持っている匂いでは無くてあなたが接した誰かから移った“移り香”だとわかりました」


移り香・・・。私の近くに悪魔が隠れてるって事?


「そんな、スターリンとはまだ会っても無いし・・・まさか、ルスラン?それとも大使館関係者?」


「いえ、少なくとも東京には悪魔は潜んでいません。移り香の状態から一ヶ月ほど前に接した人間のようですね。スターリンに会ってないとすると、天使が確認している悪魔以外にも潜んでいる可能性はありそうですね」


「そうすると王宮で接した人間。怪しそうなのは・・・ラスプーチン・・・」


「あの歴史的怪僧ですか。まあ可能性はありますが、証拠も無く決めつけるのはそれこそ魔女狩りですよ。公女殿下」


 確かに憶測で判断するのはまずいんだけど、国政を混乱させる原因人物の一人だからどっちにしても粛清しなきゃね。例え悪魔憑きじゃなかったとしても。まあそれはとりあえず後に回すとしよう。


 そして私が前世で経験したことを全部蒼龍に話した。蒼龍は興味深そうに聞いている。私が話す内容は蒼龍が歴史を改編した世界なので、自分の力がどの程度の影響を与えたのか気になるのだろう。


「なるほど。俺の転生と公女殿下の転生で2箇所歴史に分岐ができてるんですね。それで、殿下の前世では1900年以降の戦争被害者や餓死者を5000万人以下に抑えることには成功したのですね」


「インフルエンザの死者を入れると超えちゃうけど、看病されながら死んだ人の魂は悪魔のところには滅多に行かないって蒼龍は言ってたわ。それでも5000万はすごい数字よね。それに核攻撃の応酬で200万人以上が死んじゃったし。でもあれは仕方の無いことだったわ。私も事前通告されて了承したしね。そして戦争が終わった後、蒼龍は全ての知識をグローバルネットで公開したの。そして科学を一気に進めて地球上から戦争や飢餓を完全に無くしたのよ。20世紀後半には軌道エレベーターも完成するし太陽系外の植民惑星を見つけて移民も開始されるわ。どう?すごいでしょ!」


 自分がやったように言っちゃったけど、全部蒼龍の知識がベースになってるのよね。


「ヒッグスフィールドの解明とマイクロブラックホールの活用がそこまで効果があったんですね。前世で取り組んだ甲斐がありました」


「私の前世では蒼龍にたくさん助けてもらったわ。勝巳に命を救ってもらえたのも蒼龍のおかげよね。あ、そ、それについてちょっとお願いがあるんだけど・・・」


 蒼龍には協力を得るために全部話しちゃったけど、これだけはお願いしておかなきゃ。


「勝巳には、私が100歳のおばあさんだって事、内緒にしてもらえないかしら?」


「それ、思いっきり不誠実じゃありません?」


 う、そんな正論ぶつけてこなくても良いじゃない。乙女心を理解してよ。


「お、女って化粧するでしょ。自分を隠すの。それと一緒よ!女は秘密があった方が魅力的なの!それに蒼龍が結婚した和美にも、結婚するときには転生してること秘密にしていたはずよ!私と一緒じゃない!」


 蒼龍はヤレヤレといったゼスチャーをする。秘密にするって明言してはくれないが、その辺りは大丈夫だと信じたい。


「ラスプーチンのことはあとでなんとかするとして、じゃあ蒼龍の持ってるすごい技術を使ってロシアを助けてくれるのね!第一次大戦とロシア革命を防ぐことが出来れば何千万人も死ななくてすむわ。それはあなたとリリエルさんの望むところでしょ!」


「いえ、申し訳ないのですがそれには協力できません」


「へっ?」


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― 新着の感想 ―
たしかに、ロシア革命が起きなければ、その後のシン・ロシアも出来ないわけですね・・・。さて、どうなることやら。
更新お疲れ様です。 やっぱり蒼龍は転生者だったか!(喜) リリエルも健在のようです! それにしても、傍からみてもイジワルな態度を取ったものですね(苦笑) まあ蒼龍が言うように、彼とアナスタシアとは初…
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