鉄血女帝アナスタシア 第四話
大日本帝国宇宙軍 第二巻 今日が発売日です!
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イラストはもちろん湖川友謙先生です!
帯のコメントは湖川先生と紫電改三四三などを執筆されております須本壮一先生の御両名から頂きました。
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声を出して泣いてしまった。本気でガン泣きするなんて勝巳が旅立った時以来かしら。あのときもだいぶ泣いたけど、絶望で泣いたわけじゃないからちょっと違うかも。きっとエカテリンブルクでルスランが死んでしまったとき以来だわ。ルスランが私の手を握って息絶えたときの事を思い出したらさらに泣けてきた。どうもこの10歳の体に精神が引っ張られているような気がする。感情は脳で分泌される神経伝達物質の影響を受けるから、若い体だと感情の起伏が激しいようね。
「姫様。絶交と言っても、その蒼龍様とお友達だったのですか?夢の中での話しであって、交流があったとは伺っておりませんが・・・」
私がこんなに打ちひしがれてるのに正論パンチを繰り出すなんて何を考えてるの?本当に私に忠誠を誓ってるの?でもまあちょっと冷静になって考えるとルスランの指摘はもっともよね。交流も無いのに絶交なんて論理的に破綻しているわ。でもそんな事はわかってるの。それでもね、蒼龍はトモダチなの。私がトモダチだって思ってるんだからトモダチなのよ!
そういえば、蒼龍の知識をもってすれば、第一次欧州大戦やロシア革命を防ぐことが出来たんじゃ無いの?って聞いたことがあったわね。その時蒼龍は本当に申し訳なさそうにして、
『当時の私は13歳から17歳の時期です。何の後ろ盾も無い状況で私の知識を公開してしまっては、その知識だけを悪用され、さらなる悲劇に繋がることを危惧していました』
って言ってたわ。確かにその通りね。10歳の蒼龍がものすごい知識を持っていると知れ渡ったら、それを悪用されたり危険に思う勢力に暗殺されたりしかねない。手紙なんかで私に教えてくれるわけないわね。
「決めたわ。私、日本に行く。学習院に留学するわ!そうすれば蒼龍だって無視は出来ないでしょ。それに、10歳の勝巳にも逢えるのよ。そ、それはちょっとそそるわね」
これは名案だわ!サラエボ事件が起こるまであと3年。1年間日本に留学してもまだ2年ある。日本で蒼龍の力を発揮するのは年齢や政治体制の問題で無理かもしれない。だけれど、私がロシアの実権を握ることができれば蒼龍をロシアに招いて私の庇護下で力を発揮してもらえるかも。そうよ!前世でロシアは日本に助けてもらったけど、今世ではロシアが日本を助けてあげれば良いのよ!100年の経験は伊達じゃ無かったわね!
「姫様、突然留学と言っても皇帝陛下がお許しになるとは思えません。それに姫様、本当に大丈夫ですか?一度お医者様に見てもらった方がよろしいかと・・・」
ルスランがものすごく心配そうに私を見てくる。ああ、そんなおかしな人を見るような目で見ないで。ちょっと辛いわ。
私はその日のうちにお父様へ謁見を申し出た。そして謁見が許可され、お父様の待つ執務室へ向かう。
「姫様、何とぞご再考をお願いいたします。姫様が日本のような野蛮人の国へ赴かれるなど皇帝陛下がお許しになるはずがありません。皇帝陛下は昔、日本で暗殺されかけたのですよ。今では協商条約を結んでおりますが、たった6年前まで戦争をしていたのです。危険すぎます」
※大津事件 ニコライ二世は皇太子時代、日本を訪れたときに暴漢に斬りつけられてケガをしている。
今なんて言った?日本人が野蛮?日本人が野蛮ってことは、勝巳や蒼龍も野蛮だってことよね。前世では命を捨てて私を助けてくれたルスランだけど、勝巳を野蛮って言ったことは許せないわ!
私は足を止めてルスランを振り返る。急に止まったのでルスランは止まりきれずに私にぶつかってきた。今の私は身長135センチほどで、ルスランは170センチ近くもある。見上げるほど大きいルスランとぶつかってしまい、私はよろけて倒れそうになった。
「姫様!」
ルスランはとっさに私を抱きかかえて倒れないように支えてくれた。そして両腕に力を入れて私をぎゅっと抱きしめてくる。
温かい
ルスランに抱きしめられるととても温かく安心する。ついついルスランを抱き返す。女性だと解っていてもドキドキしちゃうわね。
ダメダメ!乙女のようにちょっとドキドキしちゃったけど、私は100歳超えのロリババアなのよ。こんなことでほだされちゃダメよ!
「ルスラン!それは聞き捨てならないわね。露日戦争で降伏したステッセリ将軍が日本軍に降伏調印に行ったとき、乃木将軍はステッセリ将軍に帯剣を許可して共に戦った強敵として待遇したのよ!日本の捕虜になったロシア兵もハーグ条約に従ってちゃんとみんな帰ってきたわ。それのどこか野蛮なの!あなたでも言って良いことと悪いことがあるわ!」




