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第三九九話 アメリカ上陸作戦(4)

挿絵(By みてみん)

絶賛発売中!

作画はダンバインやイデオンの湖川先生がご担当!

amazonや楽天ブックスで購入出来ます!

その他、電子書籍もあります。

よろしくお願いします!


 日本軍の上陸したフロリダ半島のタンパは、当時半島西海岸最大の都市ではあるが人口は10万人ほどしかおらず、隣接するピネラス郡を含めても20万人ほどの小都市だ。さらにその半数近くが疎開していたため、実質の非戦闘員は10万人といった所だった。


 その為、市民により散発的な抵抗はあったが、アメリカ軍が撤退した後のタンパ市の占領は比較的順調に行うことができた。


 また日本軍の上陸を許したアメリカ軍はタンパから北に撤退し、フロリダ半島に無数に存在する鍾乳洞に隠れ、ゲリラ戦術を展開する構えを見せていた。


 ――――


 アメリカ デトロイト 大統領府


 カナダで発行された新聞「トロント・スター」がルーズベルトの元へ届けられた。


 その一面には、タンパ港に入港している日本の超大型空母2隻の姿が写っている。


『日本軍 フロリダ・タンパを占領 アメリカ軍全滅』

『日本軍に対して手も足もでず。アメリカ フロリダ半島を放棄か?』

『アメリカ軍 現地市民を置き去りにして逃亡』

『日本軍、タンパ市民に食料と医薬品を供給』


「何なんだ!この報道は!まるでアメリカ軍が市民を見捨てたような報道ではないか!」


 イギリスの指導下にあるカナダでの報道は、ほぼアメリカに不都合な内容になっていた。これはイギリスからの“指導”もあるのだが、それ以上にアメリカが経済的圧力をちらつかせて、むりやり共同参戦国にさせたとカナダ政府が発表したことの影響が大きい。


 カナダも日本からの核攻撃によって被害を受けているが、これも、アメリカの強引な要請によって核開発に協力をさせられていた為と発表している。また、カナダが日本に対して単独講和を模索しているときに、アメリカは国境に軍を終結させて脅迫した事もカナダ人の反米意識を高める結果となっていた。


「カナダは現在イギリスの施政下といっても良いですからな。日本軍の進駐が無いだけ幸いです」


 ハル国務長官も様々な新聞を読みながら嘆息を吐いていた。アメリカと共同参戦をしたグアテマラやニカラグアも日本に対して講和をしている。もはや、アメリカに協力する国は、世界中のどこにも存在していないのだ。


 ハル国務長官も様々な国にアプローチをして協力を得ようとしていたのだが、全くと言っていいほど成果を上げていない。世界から完全に孤立してしまっては、国務省としてもする仕事が無いのだ。


 ――――


 パナマ運河


 パナマ運河のあるパナマ政府は、日米戦争に対して早々に中立を宣言していた。しかし、パナマ運河とその付属地はアメリカがパナマから貸与を受けていた為、現時点においてもアメリカ軍が駐屯している。しかし、日本がキューバに基地を建設したことによって現地アメリカ軍は完全に補給が絶たれ、しかもアメリカ本国との通信も一切出来ない状態になっていいた。


※史実のパナマも、対日参戦は数ヶ月遅れてのことだった。


 パナマ運河駐屯アメリカ軍


「日本軍がフロリダに上陸だと!?しかも住民を見捨てて敗走したというのか!?」


 不愉快な記事を読んだ基地司令のボーレン少将は、その新聞を机にたたきつける。本国から情報が一切入ってこなくなったため、この基地で得ることのできる情報はパナマから提供される新聞のみとなっている。ラジオさえ、妨害電波によって受信できないのだ。


「ボーレン司令。パナマ政府から外務次官が特使として来ております」


「外務次官だと?事前アポ無しでか?」


「はい、緊急とのことです」


 ――――


「ボーレン司令。急な訪問をお許しください」


「いえ、コルティソ次官。火急とのことですがいかがなさいましたかな?」


 駐パナマアメリカ軍を訪問したのは、パナマ外務省のコルティソ次官他局長級の三人だ。そのいずれも表情は硬く、アメリカ軍にとって良い知らせでは無いと想像がついた。


「ええ、イギリスから情報提供を受けたのですが、万が一日本軍が駐留米軍に攻撃を仕掛けたなら、パナマ運河を完全に破壊する計画があると・・。これは事実ですかな?」


 次官のその発言を受けてボーレン司令は表情を硬くする。確かにその指示は受けているが、当然極秘事項だ。


「ははは、まさか、そんな事があるはずはありませんよ。そんな事をしたら、ガトゥーン湖の水が大量に流れ出して貴国にも被害が出てしまう。絶対にありえません。アメリカは世界で最も人道を重要視する国ですよ」


 コルティソ次官はボーレン司令の目をまっすぐに睨んでいる。そして、ボーレン司令はコルティソ次官の目をまっすぐに見ることが出来なかった。


「そうですか。それなら良いのですが・・・。万が一パナマ運河の破壊によって我が国の国民に被害が出た場合、国民感情を抑えることができなくなる可能性があります。地位協定によって我が国の司法ではアメリカ兵を裁くことができませんが、そのことがさらに国民の怒りに油を注ぐことにもなりかねません」


 パナマと結んでいる地位協定によって、作戦中に起こした事件についてはパナマに司法権が無い。それをそのまま解釈すると、パナマ運河を破壊して何万人もの溺死者が出たとしても、アメリカ兵個人の責任を追及できないのだ。


「それは脅しですか?我がアメリカ軍が市民に被害の出る作戦を行うことは絶対にあり得ません。戦争が終わった後も我が国と良好な関係を持ちたいのであれば、もっと協力的になった方がよろしいかと思いますが?」


「戦争が終わった後ですか?まさか、この戦争にアメリカが勝利できると思っていらっしゃるのですか?日本からは、アメリカを解体して永久租借を定めたパナマ運河条約も消滅させると連絡がありました。その後はパナマ政府の運用に任せるとのことです。非常にありがたい事だと思っておりますよ」



第三九九話を読んで頂いてありがとうございます。

土日祝は休載です。


完結に向けて頑張って執筆していきますので、「面白い!」「続きを読みたい!」と思って頂けたら、ブックマークや評価をして頂けるとうれしいです!


また、ご感想を頂けると、執筆の参考になります!


「テンポが遅い」「意味がよくわからない」「二番煎じ」とかの批判も大歓迎です!

歴史に詳しくない方でも、楽しんでいただけているのかちょっと不安です。その辺りの感想もいただけるとうれしいです!

モチベーションががあがると、寝る間も惜しんで執筆してしまいます。

これからも、よろしくお願いします!

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― 新着の感想 ―
ドイツやソ連は独裁国家だったけどアメリカは連邦制の民主主義国家なので、ここは連邦政府と州政府を離反させるのがよいかと
戦争は戦場だけでではない、といういい例です。 外交攻勢でアメリカと共に参戦した国を離反させ、ジワジワと追い詰めてる。 あまりやり過ぎると逆効果だと解っていると思うが、さて、高城蒼龍はどこまでやるつもり…
なんか、現実では世界一の先進国であるアメリカがコテンパンで世界から隔離されてるの見ると少し面白おかしい 笑
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