表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結済】転生歌姫の舞台裏〜ゲームに酷似した異世界にTS憑依転生した俺/私は人気絶頂の歌姫冒険者となって歌声で世界を救う!  作者: O.T.I
幕間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/685

幕間4 『王都にて 2』


「閣下、奥様から早鳥で手紙が届いております」


「リファーナから?今度は何だ…?」


 王都にて連日会議やら調整やらで忙殺されているブレーゼン侯爵アーダッドは、その日も遅くまで執務室で書類と格闘していた。

 そんな折に、妻であるリファーナからの手紙を受け取った。


 封を開けて目を通すうちにだんだんと表情が厳しくなっていく。


「閣下、いかがなされましたか?何か良くない報せでしょうか?」


 侯爵の表情を見た執事が、不安そうに恐る恐る尋ねる。


「ああ、すまねぇ。領の方で厄介事が起きているみてぇだ」


「厄介事…ですか?」


「どうやら、魔物の軍団(レギオン)が発生したらしい」


「何と!?それは…」


「…まあ、大丈夫だろ。領軍は心許ないが、まだあの街にはダードレイ一座の連中もいる。リファーナやルシェーラの手腕もある。軍を動かす目処も立ってるし、広域殲滅魔法の使い手も3人もいるらしいしな」


 ダードレイ一座からは色良い返事があったと宰相から聞いていた。

 手紙にも書いてあったが、まだブレゼンタムには滞在していて、今回の魔軍討伐にも参加してくれるらしい。

 王都に向けて出発する前だったのは幸運だろう。


「王都にいる俺たちにできる事は無ぇ。あいつ等を信じて待つしかねぇだろう」







 そして、その翌日。

 再び侯爵夫人からの手紙が届いた。


「どうやら、無事に解決したようだな。内容はとんでもねぇ話だが」


 軍団(レギオン)は問題なく討伐。

 それはいい。


 だが、犠牲者が一人もいないというのは喜ばしい事だが、明らかに異常だ。

 どうやら、カティアのスキル[絶唱]のおかげらしいのだが…


「魔物の軍団(レギオン)を相手に一人も犠牲者を出さないほどの支援スキル。陛下に報告しねぇ訳にはいかねぇが…」


(全く…ただでさえ(シギル)の件で目をつけられてるってぇのに…いや、おかげでウチの領が助かったんだ。何か恩返ししねぇとな…)


「…しかし、星光の歌姫ディーヴァ・アストライアとは随分と派手にぶち上げたもんだな」


 Aランク昇格は間違いないだろうし、リファーナやルシェーラが推してるならそのまま二つ名に採用されるだろう。


 と、それで侯爵は何か思いついたようだ。


「…いっそ、個人の立場を強くしてしまったほうが良いかもしれん。実績も充分。Sランク冒険者ともなれば、権力者の思惑から身を守る助けにもなろう。陛下は庇護を考えておられるが、他の有象無象が厄介だろうからな」


 冒険者の最高ランクはAだ。

 しかし、それとは別に、多大な実績を残したものに贈られる名誉称号としてSランクというものがある。

 名誉称号とは言え、その威光は絶大だ。

 

 Sランク冒険者とは、いわば英雄。

 民衆にとっては尊敬と憧れの対象だ。

 ましてや、今回のカティアはただ敵を打ち倒すのみならず、多くの命を救ったとも言える。

 その人気は絶大だろう。

 今はまだブレゼンタムでしか知られていないだろうが、噂は広まるだろうし、それを後押しする事もできる。


 そして、そんな人物に対しては、いかな権力者と言えども無碍な扱いをすれば民衆を敵に回すことになる。


「よし、推薦状は俺が…いや、陛下にも一枚かんでもらうか」


 考えを纏め、早速国王へ約束を取り付ける算段をする。



「さて、あいつらも王都に来るんだったな。到着する頃はまだ俺もこっちか…まあ、再会を楽しみにしとくか」


 気の置けない友人たちとその娘との再会に思いを馳せ、しばらく物思いに耽ってから再び書類仕事に没頭するのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ