第十五幕 19 『獅子奮迅』
ーー レーヴェラント王国 対グラナ戦線 ーー
「おらおらおらぁっ!!死にたくねえヤツはすっこんでろぃっ!!!」
雄叫びを上げながら縦横無尽に戦場を駆けるラウル。
彼が通った跡には、倒れ伏すグラナ兵が山となって積み重なる。
彼だけでなく、自由の女神リヴェティアラの力によって限界まで潜在能力を引き出された連合軍の兵たちは、獅子奮迅の活躍を見せてグラナ軍を圧倒していた。
そして……ラウルに負けじと、印の力を解放したイスファハンも前線でその力を振るう。
「今こそ我が力の真価を見よ!!」
彼の印から放たれた紅い光がグラナ兵を照らすと、彼らの剣や鎧などの兵装がボロボロと崩れ去ってしまう。
ただでさえ能力を増しに増した連合軍の前に劣勢に立たされていたところ、追い打ちをかけるように強制的に武装解除させられ……ついに戦意を失って投降する者や逃走する者が現れ始めた。
「逃げるものは追わずとも良い!!深追いはするな!!右翼薄いぞ!!兵を回せ!!」
総大将のアルフォンスも、前線の近くまで赴いて直接指示を飛ばす。
流石の彼もここに至っては存在感を示し、その勇将ぶりを見せつけていた。
「うん、こっちはもう大丈夫そうね。あとは……オキュピーたちは上手くやってるかしら?」
もはや戦いの趨勢は決したのを見て、リヴェティアラは満足そうに頷きながら……この戦場で最も厄介な敵の相手をしている筈の二神に意識を向けた。
「うぉーーーりゃあーーーっっっ!!!」
ガァンッッ!!!
裂帛の気合で紅い斬馬刀を振り下ろすオキュパロス。
その強烈な一撃は黒魔巨兵の頭を粉砕するが……
「ちっ……やっぱ再生がやっかいだなァ。二体はどうにか力ずくで倒したが……効率が悪ぃったらありゃしねぇ。ダンナぁっ!!解析はまだかい!?」
「……丁度、今終わった」
自身の目の前に複数の魔法陣を展開していたヘリテジアが、オキュパロスの問に答えた。
「よっしゃあ!!んじゃ、マーキングたのまぁ!!」
「心得た」
そして、ヘリテジアの魔法陣からいくつもの光線が放たれ、残った黒魔巨兵全てに吸い込まれる。
すると……まるでターゲットの様に丸い光の印が巨人の身体に浮かび上がった!!
「あ〜……やっぱ、それぞれで弱点部位が違ぇんだな」
オキュパロスの言う通り、印は個体ごとに違う場所となっていた。
「だが、こうなっちまえば……あとはサクッと行くぜっ!!」
そうして、オキュパロスは弱点部位に集中して攻撃を始めた。
今まで何度も攻撃を当ててようやく倒すことが出来た巨人が……今度はたったの一撃で、その巨体が崩壊してしまう。
「うしっ!!次!!」
そして、次々と巨人を屠り……8体いた黒魔巨兵の全てを打倒するのであった。




