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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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2-17

 「一つだけ確認させろ。連理玉で稼ぐのとこの計画と、どっちが先だ?」


 「計画自体は同時ですが、始動したのは輸出の方です」


 ゲンコツ飛んで来た。


 「事前に言え!守るものも守れん。庇うのも庇えん。他に隠してることは?まだあるんだろ?全部吐け!!」


 「ありません!ホントにありません!!」


 「本当だろうな?」


 「大体今回のも、ただの実験なんです。どういう反応があるか分からないから、いくらで売るってことも決めずに進めた結果、杉先生を困らせてしまったんです。杉先生も分からずに、結局物々交換で蘭書と交換して来たんです。これで売れる見込みが立ったら、報告するつもりでした。本当です」


 「勝様、これは本当ですぞ。ワシらは皆懐疑的に見ておりました。今まで経験のない試みゆえ、お祭り気分でやってしまいました。まさか蘭書に化けるなど、思ってもおりませんでした」


 さすがに箕作様も助け舟を出してくれた。そうなんだよ、あんなもんノリでやっただけで。見る人が見れば食いつくとは思ってた、ってところだけは違うけど。


 「箕作殿がそう言うなら信じよう。箕作殿頼むぞ、この小僧、どこでどう暴走するかワシは分からん。ちゃんと首に縄をつけておいてくれ」


 「それが勝様、ワシらも何がきっかけで暴走するのかが掴めず、気が付いたら姿が見えなくなるほどでして、我らも扱いに困っていましてな」


 犬じゃねえって。そんな暴走してるか?


 「藤二、せっかくここまで来たんだ。小野殿がいたら呼んで来てくれ」


 その後、勝様と友さんと箕作様と内田様とで何やら話し合ってた。勝様が定期的にここに顔を出してくれれば相談もしやすいんだけど。とりあえず俺はこれ以上のお叱りはなさそうなので、勝様に昨年分の決算書を渡した。コピーがあれば楽なんだけど、手書きで2部作成するってなかなかしんどい。それでも、あくまでも蕃書調所の決算書ということで、アラビア数字を使ってやった。


 なおその日の晩は、内田様からこっぴどく怒られた。わざわざ挑発するなって。ごめんなさい。


 それから一週間は杉フィーバー。誰かから質問受ける。杉先生答える。別方向から「ちょっと今の話詳しく」。杉先生答える。また別方向から。この繰り返し。やっぱ賢い人って、アウトプットの仕方も上手いな。


 連理玉が売れに売れてる。レア、初、限定。勝様がうまいこと稼いでくれる。ある種、幕府の名前を騙った詐欺的稼ぎ方。でも、誰も損してないはず。win-winのはず。


 友さんは砲弾の形状にある程度納得いったみたいだけど、次の問題に直面してる。打ち出した砲弾に回転運動を加える方法を模索中。筒の内側に螺旋状になんかをすれば良かったんだっけ?ライフリング?伝えるべきか、伝えないべきか。でも友さんに相談されたら、きっと何かしら言っちゃいそう。


 杉先生が長崎で物々交換でゲットした蘭書、一冊は蒸気機関の仕組み、もう一冊は反射炉の仕組みについての本で、それを研究し始めてるグループも出来上がってる。そのためには確か、耐火煉瓦が必要なはず。日曜7時のDIY番組でやってた。さすがに反射炉の形くらいは何となく分かるけど、それは本の中にも図示されてる。問題は内部の輻射熱を集中させる形だったはずなんだけど、流石に分からん。


 そして2冊と言っていたが、実は杉先生はみんなに内緒でもう一冊自分用に買って来てた。相当安くで譲って貰えたらしい。見たことない学問と言っていた。訳し方も分からない、と。パラパラめくって、俺は理解できた。でも、この世界にはまだない考え方だということも理解してる。平均、偏差、傾向など、統計学にまつわる本だった。何となく惹かれたと言っていたから、余計な口は挟まない。


 そんな実験の手伝い、金回り、職人さんたちとのやり取り、2度目、3度目の蘭書の仕入れと仕分けなどに追われると、どんどん日が過ぎていく。3回もやればレア感減るから、あとは受注生産で良いかもね。


 入出金が多かったため、B/Sの整理に手間取っていた頃、一気にざわつき始めた。







 黒船







 やっぱりそれだったか。これが俺の偽らざる感想だ。でも当然、周りは違う。調所のメンバーは外国語に堪能、という理由だけで至る所に駆り出された。「蕃書」って名前が裏目に出た。みんながいなくなって急に静かになった調所で、久々の1人思案を始める。


 まずは自分の周りを助ける。そのためにできることは何か。ざっくりの歴史知識と、前世の中高大の英語経験、この世界にない考え方も武器の一つかもしれない。少なくとも「日本だけ」が基準の人よりは、グローバルという考え方が出来そう。そして、ここは俺の想像もつかないほどの頭脳を持った人がいる。ここにある知識をさらに集結させれば、多少はどうにか出来るんじゃないか、という気はしてる。


 今回の黒船は「開国しなさーい」で、来年は「条約結びなさい」だよな。それならば、まずは何かしらの書面を置いていくはず。その書面を何とか入手して、ここの書庫にある英蘭辞典で広く情報共有。どっかにいるはずのジョン万次郎を見つければ話は出来そうだ。


 またやることが増えるかも。まずは取り掛かってる最中の決算書を仕上げよう。


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― 新着の感想 ―
 犬よりは猫だろ。
おお! どんな感じになるのか楽しみです!
よし、プロローグとか前書き完了まで後少し
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