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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: 関沢賢吉


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 年明け早々、杉先生が帰って来た。みんな話を聞きたくてうずうず。その様子に杉先生はたじろぎ、杉先生を知らない新入りさんたちは目を丸くしてる。杉先生も疲れてるんだろうけど、多分話聞くまでみんな帰らせる気が無さそう。軽く目が血走ってる。普段は積極的に人と絡もうとしない友さんですら、聞き耳を立ててる。


 数独はすぐに食いつかれたらしい。そうだよね。異国にいて、知ってる文字見るだけでテンション上がるよね。で、ついでにルール説明の表現も習って来たそうだ。どこに行けば買えるのか、定期的な購入可能なのか、などなど問い詰められ、通詞に渡す予定だった分を含めて全部取られた。金額がわからなかったので、蘭書を2冊貰って来た。グッジョブ!


 で、肝心の数学書。数独のおかげでカピタンにすぐに会えた。歓声があがる。カピタンって聞いたことある気もするけど有名人?なんとなく聞きづらい雰囲気だから、とりあえずスルーで。で、そのカピタンに直接渡せた。始めのうちは見ていただけだが、見進めるうちに目が明らかに変わってきた。必ず本国の数学者に自分が渡すと言われたらしい。また歓声が上がる。カピタンはオランダに帰る人。来てる、そして帰る。向こうからすれば海外赴任先だもんね。後々聞いたらカピタンって、人名ではなく役職名なんだね。特使をカピタンと呼んでたわけか。知らなかった。


 そのあと質問があらゆる方向から出て、収拾が付かなくなりそうだったので制止。質疑応答は改めて時間を作る。質問する側は事前に質問をまとめましょう。バラバラに質問するのは非効率です。そして杉先生は、先に疲れを癒して下さい。疲れが癒えたら、一番最初の仕事は移動しながら得た情報と、長崎の情報、質問に答えることです。


 方向性示せばまとまってくれる。質問項目を紙にまとめ始めた。俺は杉先生と箕作様の所へ向かう。そこで、あの場では話せなかったがとの前置きで、内密そうな話をし始めた。いろんな国の船が世界の海を行き来するようになって来ている。オランダは出島で交流するルールがあるから問題ないが、そう遠くない将来、オランダ以外の国がいつ来てもおかしくない。まして日本は海に囲まれている。どこに来られても不思議はない。交易を求めて来るのか、侵略に来るのかはその国次第。その情報は幕府にも伝えているが、どこまで伝わっているのか疑問だ。ということを伝えられたらしい。


 これは勝様に投げる案件だろうと即断。これを片付けるまで、質疑応答はステイだな。箕作様が勝様に手紙を書き、俺が届けることになった。


 向かいながら考える。もしかして嘉永六年って、黒船来航の年?黒船が来て、尊王攘夷運動が高まって、大政奉還して明治維新。こんなざっくりしか覚えてない。薩長の主要人物名は覚えてるけど。ん?吉田さん、今、ウチにいるよ?ウチにいて、攘夷すべし!ってなるの?吉田さんの弟子が、確か長州のメイン所だったよね?いろいろ整合性がとれないぞ?ま、明治維新自体、合理性には欠けるけど。なぜか目的が討幕になるし、攘夷を謳いながらさっさと開国して、西洋式を取り入れまくって。あれって成功したからこそ「明治維新」なんて良いように言ってるけど、失敗してりゃただのテロ行為に近いよな。


 って考えてたら勝様の所へ到着。勝様の家人に手紙を渡して帰ろうとしたら「おい、小僧」。この声は、と思って振り向くとやっぱり佐久間氏。


 「今日は往来だから、湯の花は勘弁してあげます。良かったですね」。先に言ってやった。


 「ほんとに可愛げのないガキだ。それよりも、弟子を送り込んでいる。その弟子からもバラバラの情報が届く。なのに、全く全貌が見えん。調所は一体何をしているんだ。お前が隠させているのか?」


 「わざわざそんなくだらない面倒なことしませんよ。何なら『佐久間様に何を伝えようと自由です。一番衝撃だと感じたことを、思うがままにお伝え下さい』とまで言っています。それで見えないということなら、それだけやっていることが多岐に渡っているということだけでは?」


 「ワシの所から行った奴らは皆、優秀なヤツらばかりだぞ?それでも追いつかないと、お前はそう言いたいのか?」


 「追いつけないことはないです。追いつく気がなければ置いていかれる、ただそれだけかと。その点、佐久間様の所から来られた方々は流石です。みな置いていかれまいと、必死に食らいついているご様子。他のところから来られる方を一から教える暇など、今の調所にはとてもとても」


 「やはりワシを利用しておったか!ならば弟子を引き上げさせてもらうぞ」


 「どうぞどうぞ。ご本人たちがそれを望むのであれば、こちらにそれを止める道理はございません。ですが、望むことはないかと存じますが」


 「なぜ言い切れる?」


 「圧倒的な量、圧倒的な質、そしてそれが掛け合わさることでしか成しえない圧倒的な深度。これを味わった者が、他で耐えられるとは思えません。あっ、これは佐久間様の所がということではなく、ほかのどこも、ということですのでお間違えなきよう」


 「御託はもういい。弟子たちからも、小野殿が一体どこまで研究しておられるか、それが見えて来ん。教えろ」


 これが本題だったのね。


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