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守旧派は金で殺す、攘夷派は理で殺す。――幕末に転生した効率厨サラリーマン、内戦はコスパが悪いので和算と裏金で歴史を書き換える  作者: dora


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side 内田五観 vs ?????


 「このような待ち伏せ趣味が悪いな」


 「そちらが逃げるからでしょう」


 「ワシはお主が嫌いだからな」


 「そんな嫌われるようなことしましたか?覚えはありませんが」


 「ワシとお主はそもそも知に対する考え方が違いすぎる。話もしたくない」


 「ま、その話は良いでしょう。これまでも散々しましたし」


 「なら帰れ。ワシに用はない」


 「こっちはあるから、こうして待っていたんだ」


 「相変わらず、すぐに熱くなるヤツだな」


 「これは失敬、用件を伝えましょう。今度ワシが主催する塾、そちらに招待したくてね」


 「そんなもの行くわけなかろう」


 「誰があなたを誘うもんか」


 「ならワシに関係ない話だろ。帰れ」


 「藤二」


 「え?」


 「お宅の内弟子の藤二、その子供を招待してやる」


 「なぜ知ってる?」


 「人の口に戸は建てられんからな」


 「なぜ気付いた?」


 「数独だ。あんな問い、蘭学書で見たことがない。そして、あんな面白おかしい問いをお主が思い付くはずがない。関流に実直だからこそ、怪しい。あとは箕作殿の所の若いの、だいぶ弱っておったでな。酒で慰めといてやったわ。箕作殿にも感謝してもらわんと」


 勘のいいヤツめ


 「ウチでまだ見習いの小僧だからな、師として断る」


 「なぜその小僧の知を生かそうと考えぬ」


 「生かす、生かしておる、その上でお主の考えは合わぬからこそ、断っておる」


 「はて、知を生かす気があるのなら、見分を広めてこそだと思うのだが。小僧の知はお主のものに非ず。小僧のものだろう」


 くそっ、ああ言えばこう言う


 「お主の思想が危険だからこそ、藤二をそちらに行かす気はない」


 「知をどのように生かすか、それを考えながら学んでこそ知が生きる。ワシのそれがどう間違っていると?」


 「知に思いなどいらん。思いがあろうとなかろうと解がでるものこそが知だ。思いがなければ到達できぬなど、思い上がりも甚だしい。如何に思いがあろうと、過程を誤れば解には到達せぬわ」


 「そんな腑抜けた考えだから、最上流なんぞが出てきても叩き潰せんのだ」


 「あれはあれで一つの形だ。それすらも分からん了見の狭さこそ危険だと言っているのだ」


 「まだ知らぬことを知りたい。その知の渇望をなぜ否定出来よう」


 「自分の欲望を満たすために知を得ようとするその姿勢こそを批判している」


 「この話は平行線だ。それをその藤二に判断させれば良いではないか」


 「ならん」


 「少なくとも見聞を広めること、これには否定はしないのであろう。だったらワシを、塾生を利用したら良いではないか」


 「ならん」


 「なぜお主が藤二の可能性を狭める?」


 「狭める?そのようなことは」


 「しているではないか。見聞を広め知を付ける。それには同意しているのに、藤二を閉じ込めようと」


 「………どうせこのまま引いても、お主は付き纏うのだろう」


 「藤二を来させるならそれで終わる」


 「本人が行かぬと言えば?」


 「新たな知への欲求に抗える者などおらぬわ」


 「何を企んでおる?」


 「何も。ただ、知を持ち寄り、知を生かす方法を探求するためだ」


 「意見を押し付けるな。藤二を縛ろうとするな。それが条件だ」


 「安心なされ、そのための招待、塾生とは違う立場よ」


 「見張りも付ける。それでも良いか」


 「結構」


 「決まったら、本人が行きたいと言ったら行かせる。場所と日時が決まったら書状を寄越せ。あとは、藤二の空き時間だけじゃ。それも良いな」


 「構わん。来たい時に来て、帰りたくなったらいつでも帰れ。塾生ではないのでな。それではこれで。もう付き纏わん。安心しろ」


 「さっさと帰れ。ワシはお前が嫌いだ」


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― 新着の感想 ―
もし象山先生ならば嫌われても仕方ないか
面白くて一気読みしました 毎日楽しみに読ませてもらいます
緒方洪庵と思ったけど人格者で関西だから違うか、佐久間象山辺りが怪しいけど、そうなると勝麟太郎君辺り出て来るかな?
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