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万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

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第470話 所詮は無駄な足掻きよ

「……怒りのあまり……周りが、見えなくなっていたな……」


 四将の一人、ピパネル。

 隠密からの暗殺を得意とする彼が、魔王の隙をついて聖水を振りかけることに成功したのだ。


「っ!? がっ……があああああああっ!?」


 突如として苦しみ出す魔王。

 やはり魔王自身も、邪神の呪いに侵されているのだろう。


 僕は声を張り上げた。


「一本じゃ足りないかもしれない! もっとかけて!」

「……当然、そのつもりだ……」


 ピパネルは聖水を何本も隠し持っていた。

 それを次々と魔王に振りかけていく。


 さらに僕たちも惜しみなく聖水を瓶ごと投擲する。

 ここで魔王の呪いを解くことができれば、戦いは終息するはずだ。


「がああああああああああああああああっ!?」


 魔王の身体から黒い靄が噴き出す。

 間違いない、他の魔族と同じ呪いだ。


「でも、濃度がぜんぜん違う……っ!」

「というか、靄が集束して、なんかの形になっていってねぇか!?」


 ゴアテさんが叫んだ通り、黒い靄がまるで意志を持っているかのように一つの形状を作り出していく。

 やがてそこに現れたのは、見ているだけで肌が泡立つような、異形の怪物だった。


「な、何だ、こいつは……?」

『我の邪魔をする忌まわしき人間どもめ』

「「「喋った!?」」」

「いいえ、喋ったというより、頭の中に直接、語りかけてくるような感じねぇ。……気持ち悪いわぁん」


 異形の怪物は困惑する僕らを余所に続ける。


『よもや我が呪いごと解こうとするとは』

「我の呪いって……じゃあ、まさか、こいつは……」

「「「邪神!?」」」


 呪いを解除されそうになって、慌てて姿を現したのかもしれない。


『しかし所詮は無駄な足掻きよ』


 異形の怪物の中心、そこにギョロギョロと周囲を窺っていた不気味な眼球が突如として光ったかと思うと、


 パリンパリンパリンパリンッ!!


 みんなが持っていた聖水の瓶がことごとく割れてしまった。


「「「聖水が!?」」」


 それだけじゃなかった。

 一体どんな力が働いたのか、ゴアテさんが運んでいた箱からメキメキという嫌な音が響き始めたかと思うと、一瞬にしてぺちゃんこになってしまった。


 ドラゴンに踏まれても壊れないという触れ込みの、ドワーフの特注品が!


 箱の中にはまだ聖水のストックがあるはずだったけど、それもまとめて潰されてしまったことになる。

 つまり邪神の呪いを解くための頼みの綱が、完全に無くなってしまったということ。


『……我が力を使えるのはここまでか。だが十分だろう。魔王よ、我に代わり、人間どもを滅ぼすのだ』


 怪物の姿がぼやけ始め、再び黒い靄へ。

 そしてそれは魔王の中へと戻っていくだけではなかった。


 靄の一部が、拘束状態で床に転がされているダイモン族たちの元へ飛んでいったのだ。


「がっ……ああああああっ!?」

「ぐぅっ……まただっ……またあれが身体の中にっ……」

「えっ、ビビさんたちも!?」

「「わ、我々から離れろ……っ!」」


 最悪なことに、呪いは再びビビさんとガオガルガさんをも襲った。

 しかもビビさんは魔法でダイモン族たちを拘束してくれていたので、それが解けることにもなってしまう。


 魔王だけでなく、ダイモン族たち、それにビビさんとガオガルガさんをも同時に相手をしなければならない状況になったのだ。

 加えて聖水はもうない。


「ちょっ、さすがにこれはピンチね……っ!」

「はっ、そのようだな」

「エデル様、いかがいたしましょう? 撤退しますか?」

「ふん、簡単に逃がしてくれるとは思えんがな」


 魔族たちが一斉に襲い掛かってくる。

 アレクさんがヤケクソ気味に叫んだ。


「や、やるしかねぇみたいだなっ!」

「拙僧の人生もここまでか。……せめて最後に女子の胸を拝みたかった」

「……ガイよ……こんなときにまで……煩悩から逃れられぬとは……」


 あっという間に乱戦となった。

 だけど、向こうには魔王という父上たちが束になってようやく互角に渡り合えるような強敵がいる上に、人数においてもこちらが不利だ。


 しかも六魔将のビビさんたちやダイモン族の強さは、正直こちらの最強格であるラウルやゴリちゃん、セレンといったメンバーに匹敵するものだ。

 つまり個々の強さにおいても、相手はこっちを上回っているのである。


 当然のごとく劣勢に陥ってしまう。


「がっ!?」

「バルラットさん!」

「ぐう……無念……」

「ガイさん!」

「あああああっ!?」

「チョレギュさんまで……っ!」


 次々と倒れていく仲間たち。

 その様子をただ僕は見ていることしかできない。


 ど、どうすれば!?


 生憎と今の僕には何の力もない。

『村づくり』のギフトが使えない僕は、ただ戦いを見ていることしかできない、足手まとい以外の何者でもなかった。


「死ぬがいい」

「……っ!?」


 気づけばダイモン族の一人がすぐ目の前にいた。

 見上げなければならないぐらいの巨漢で、僕なんて軽々と捻り潰されてしまうだろう。


「村長……っ!」

「来なくていい!」


 ノエルくんがこちらに気づいたけど、僕はきっぱりと叫んだ。

 先ほどから魔王の猛攻を必死に防ぎ続けているノエルくんがいなくなれば、もはや手の打ちようが無くなってしまう。


 一方、所詮この身体は影武者だ。

 ここで消されてしまうのなら仕方がない。


 覚悟してダイモン族の攻撃を受け入れようとした、そのときだった。


 ドオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!


 途轍もない轟音と共に部屋の壁に穴が開いたかと思うと、巨大な〝僕〟が突入してきた。


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生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
心配はしてませんでしたが、巨大村長とは(^_^;)
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