表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

458/465

第456話 最大の脅威が貴様だ

 セレンの姿に化けていた魔王軍の幹部だというダークエルフが、僕の自宅にまで乗り込んできた。

 魔法で作り出したものなのか、放たれた黒い刃が僕のお腹に突き刺さって、そのまま体内にまで入り込んでこようとしている。


「うーん、ぜんぜん抜けない?」

「……というか貴様、先ほどから平然と会話をしているが、痛くないのか?」

「痛くないよ。だってこの身体、影武者だから」

「なに?」


 驚くダークエルフに、僕は自分でも「ほんと理不尽な能力だよなぁ」と思いつつ教えてあげる。


「影武者を好きなだけ作り出せて、しかもそこに本体の意識を移して操作することができるんだ」

「ば、馬鹿な、そんなことまでできるというのか……?」

「うん。ついでに敵対的な存在や不法侵入者が近づいてくると、マップ機能で分かるようになってるんだよね。だからミリアに化けてても、すぐに分かっちゃったよ」


 まぁ、たまにそのミリア自体が、マップ上で危険な存在として表示されることがあるけど。


「暗殺すら完全に防ぐなど、理不尽にもほどがあるだろう……っ!」

「……そうだよねぇ。あ、でも、さっき僕のこと、『村長様』って呼んでたよね? ミリアはあの呼び方しないから、どのみち見破られてはいたよ」


 完璧に見た目をミリアにできても、さすがに中身まで完全にトレースするのは難しかったようだ。

 というか、喋り方とかまでほぼ一緒だった時点ですごいけど。


「……ここはいったん退くしかなさそうだ。だが今回の件で、改めて確信した。やはり我が魔王軍の悲願を達するうえで、最大の脅威が貴様だ。必ずや全軍を挙げて、貴様を排除してみせる」


 そう宣言した直後、ダークエルフの身体が足元にできた自分の影の中へと沈み込んでいく。


「逃がさないよ」


〈牢屋:脱出困難な堅固な牢屋。己の罪を悔い改めよ!〉


 僕は素早く牢屋を設置する。


「っ、この一瞬で牢屋をっ……。だが無駄だ」


 完全に影に隠れたダークエルフ。

 声だけを外に響かせながら、その影だけが滑るように移動し、


「私のシャドウハイディングは、鉄格子など軽くすり抜けることが……なに? で、出られない!? どういうことだ!?」

「この牢屋、鉄格子のすり抜けを防止する機能があるんだ」

「隙間は確かにあいてるだろう!?」

「うん、でも、隙間がないのと同じ状態になってるってこと」

「どんな原理だ!?」


 ちなみに鉄格子の間を抜けられるサイズの妖精アリーでも、この牢屋から出ることができなかったりする。


「ならばこの牢屋自体を破壊してやろう!」


 ダークエルフの身体から濃密な魔力が高まっていく。

 さすがは魔王軍の幹部、凄まじい魔力だ。


 うーん、牢屋自体はかなり堅牢なので、簡単には破壊できないはずだけど、そもそもこんな狭い場所で強力な魔法を使ったりなんかしたら、本人がただじゃ済まないだろう。

 色々と聞きたいこともあるし、勝手に自滅してもらうのは困る。


「施設グレードアップ」


 膨れ上がったダークエルフの魔力が、いきなり風船から空気が抜けるように萎んでいった。


「なっ……何が起こった!?」

「牢屋内で魔法を使えないようにしたんだ」


 この牢屋は、施設グレードアップによって、内部での魔法使用を封じる効果を付与することも可能なのだ。


「ついでに自害を防止する機能も付けておこう」







 各地に救援のために派遣されていた各部隊が村に戻ってきた。


「えっ、村の中で魔王軍の幹部に襲われたっ? 大丈夫だったの!?」

「うん、攻撃されたけど、影武者だったからね」


 セレンをはじめ、みんなが心配してくれたけど、僕は見ての通りピンピンしている。


「しかしまさか、直接ルーク殿が狙われるとは。さすがは魔王軍の幹部というだけのことはあるか」

「あちこちで情報を集めたみたい。姿を人間そのものに変える能力を持ってるから、そう難しいことじゃないはずだよ」

「なるほど。今やルーク殿の存在は、世界中が知るところだからな」

「……そんなの望んでたわけじゃないのに」


 頷くフィリアさんに、僕は小声でぼやく。


「私の姿に化けていたようなのです。その美しさにルーク様が見惚れている隙を狙うとは、敵もなかなかの策士です」

「あんたが偽物だったら今すぐ叩き斬ってやるのに」


 ミリアの補足に、セレンが思わず剣を握った。


「……で、そいつはどこにいやがる?」

「こっちだよ」


 ラウルに催促され、ダークエルフを捕らえている牢屋のところへ連れていった。


「なるほど、こいつが魔王軍の幹部か。はっ、確かになかなかの魔力だな。しかしこうして敵に捕まっちまうなんて、幹部にしては随分と間抜けじゃねぇか、くくく」

「……貴様、この私を愚弄するか?」


 ラウルに嘲笑されて、ダークエルフが鋭い目つきで睨みつける。


「煽らない煽らない。色々と話を聞きたいんだからさ」

「はっ、そう易々と喋ってくれるとは思えねぇがな」


 ラウルの言う通りだった。

 実は彼らが戻ってくるまでの間に、ネマおばあちゃんにお願いしてみたのだけれど、


「今まで色んな連中を拷問してきたけど、正直こいつは骨が折れそうさね」


 と、その難しさを断言されてしまっていた。


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
ミリア…やはりデフォで危険人物なのか…
ネマばあちゃんが苦労する…だと? まあいっそ魔王領が崩壊するその一部始終を全て特等席で見せてやったら精神の一つや二つ壊せるんじゃない?(外道
ミリアうざ……
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ