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万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

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第451話 そういうことは黙っておくべきですよ

 そもそも魔族というのは、一般的に人間と魔物の中間に位置づけられる存在と言われている。

 代表的なのが、以下の六種族だ。


 アルマル族……獣化能力を持つ魔族。平常時の外見は人間とほとんど見分けが付かないが、獣化することで獣人以上に獣要素の強い姿となる。

 ダイモン族……魔人とも呼ばれる。外見は人間に近いが、強靭な肉体と魔力を有する。肌が赤みを帯びている。

 ジャイアル族……外見は人間に近いが、平均身長が二メートルを大きく超えている。さらに巨人化することで十メートルを超す。

 ダークエルフ族……エルフに近い外見だが、肌が浅黒く、狡猾で魔法に長ける。

 ヴァンピア族……吸血鬼とも呼ばれる。生き物の血を飲むことで、自らの眷属にすることができる。また、アンデッドを操る力も有する。

 ゴイル族……鳥人とも呼ばれる、鳥の姿をした魔族。飛行に長けている。


 ちなみにエルフやドワーフ、あるいは獣人は人間の近縁種であり、魔族とは異なる。

 もっとも、中には区別が難しい曖昧な種族もいるそうだ。妖精もその一つ。


 歴史上、魔族と人間は常に争ってきたというが、魔族同士も決して友好的というわけではなく、種族間の闘争が絶えなかったそうだ。

 何なら同種の魔族同士ですら、割と容赦ない殺し合いが頻発するらしく、魔族と比べれば力を合わせて戦う能力を持っている人類に、徐々にその領土を奪われていったとか。


 その結果、現在は魔族の大半がこの大陸を追われ、帝国の南東に位置している小大陸で暮らしているらしい。


 しかし魔王というのは、普段は非友好的な魔族たちをまとめ上げる力を持った存在だという。

 かつて現れたときには、人類国家の半分以上が滅ぼされる甚大な被害を受けたほど。


「魔王を倒す。そのためにお前の力を借りにきたのだ」

「僕の力を……?」


 どうやら父上たちは、いち早く魔王復活の情報を得たばかりか、自らの手で魔王を討伐してしまおうと考えているようだ。


「無論、お前自身はもちろん、この村の戦力に期待しているわけではない。ただ、魔大陸に攻め込むための手段が欲しい。それだけだ」

「魔大陸に行く手段……?」

「ふはははは! 本当は我々だけで魔大陸に渡ってやろうと、意気揚々と大陸の南端部まで行ったのだがな! 予想外に潮の流れが速すぎて、海を渡ることができなかったのだ! そこで仕方なく引き返し、ご子息の力を借りることにしたのである!」

「ほほほ、ガイオン、そういうことは黙っておくべきですよ」


 ガイオンが笑いながら暴露し、それをメリベラが軽く咎める。


「くっ、私という軍師がいながら、エデル様にとんだ無駄足を踏ませてしまったっ……魔大陸に乗り込むつもりで、カッコよく魔王討伐宣言までされたというのに……っ!」

「ネオン……それも……黙っていた方が……いい……」


 ネオンはとても悔しげに歯軋りし、ピパネルがぼそぼそとツッコむ。


「……」


 父上は顔色一つ変えず冷静を装っているけれど、頬が僅かにぴくぴくしていた。


「と、とにかく、お前の力を使えば、海を越えて魔大陸に移動することも容易いはずだ。世界各地を鉄道とやらで次々と繋げている、お前のギフトならな」


 言われて、うーん、と僕は少し首を捻った。

 ……そもそも魔大陸まで、村の範囲が届いてたっけ?


 僕のギフトが効力を発揮するのは、村の領域内だけだ。

 残念ながら村の領域を少しでも出てしまうと、地下道を掘ることも鉄道を作ることもできない。領地強奪は、村の領域にすることが可能な場所にしか使えないし。


 念のため魔大陸を、世界地図とギフトのマップ機能、両方で確認してみる。

 まずは地図の方だ。


 この世界の地図はまだ発展途中なので、正確さには疑問が残る。

 それでも、クランゼール帝国の南部、ちょうど死の樹海がある一帯と海を挟んだ向こう側に、確かにそれっぽい陸地が描かれていた。


 島と呼ぶには大き過ぎるけど、大陸と呼ぶには小さい。

 恐らくこれが魔大陸だろう。


 そして僕のギフトのマップ機能。

 こちらは実際の地理と寸分違わない正確さを持つ一方で、村の範囲に含まれている場所しか表示されない。


 この荒野を中心に円状に広がり続け、今や大陸の大部分をカバーするまでに至っているけど、帝国の南部はまだ範囲外だったはず。


「だから魔大陸の方までは……あっ」


 マップの南の端っこ。

 周囲が海の中にあって、ぽつんと小さな陸地が覗いていた。


 拡大してよく見てみると、まだ南方向に陸地が続いてそうな印象だ。


「これが魔大陸だとすればだけど……端っこがギリギリ入ってるかも」

「つまりどういうことだ?」

「魔大陸に上陸することはできるということです」


 ただ、そこから先、僕のギフトは使えない。

 魔王がどこにいるか分からないけど、地下や空から乗り込む真似はできない。


「はっ、十分だ。ならば早速、魔大陸に連れていけ。後は我々だけでどうにかする」


 どうやら本気で父上たちだけで魔王を倒すつもりらしい。

 魔大陸がどんな場所で、魔王がどれだけの戦力を有しているのか分からないけど、さすがにたった五人では無謀じゃないかな……?


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生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
公園飛ばしてもギリギリなん?
これはもしかして魔大陸も村組み込みパターン?
パパンのお願いだからここは全力支援しないと孝行息子になれないよねw
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