表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

448/465

第446話 あの味は忘れられねぇ

「オークキングだっっっ!!」


『獣の嗅覚』のギフトを持つニキタが絶叫する。


 オークの上位種、オークキング。

 かつて無数のオークを率いてエルフの里を壊滅状態にし、さらにルークの村すらも危機に陥れた凶悪な魔物だ。


「くっ……まさか、こんなところでオークキングに遭遇するなんてっ……」


 思わず足を止めるセレン。


 以前は村人総出でどうにか討伐したような化け物だ。

 しかも村長ルークのギフトの力が大きな役割を果たした。


 今は僅か十人程度の戦力だけで、頼みの綱のルークもいないのだ。

 普通に考えれば撤退すべきだろう。


「でも……」

「「「オークキングの肉っ……めちゃくちゃ美味しいんだよなあああああああっ!!」」」

「ブヒイイイイッ!?」


 迷いは一瞬だった。

 オークキングといえど、もはや肉にしか見えない彼らは、勢いよく躍りかかっていく。


「マジかよ!? 本気でこの人数でオークキングとやり合う気か!?」


 唯一、冷静なゴアテが青い顔で叫ぶ。


「だって、オークキングの肉だぞ!? あの味は忘れられねぇ!」

「死ぬまでにもう一度食べたいと思ってたんだ!」


 オークキングの肉は、通常のオークのそれを遥かに上回る。

 しかし古参の村人たちであっても、オークキングの肉にありつけたのはたった一度だけだ。


「俺も食べてみたい!」

「私も!」


 当時まだこの村にいなかった者たちも、ぜひその肉を味わってみたいとこの流れに追従する。


「この機会を逃すわけにはいかないわ!」


 セレンが一気に距離を詰め、流れるような動きでオークキングの両足を斬り裂く。


 通常のオークであれば、傷口から凍結していって両足を封じることができるのだが、当然ながらオークキング相手にそう上手くはいかなかった。


「ブルオオオオオオッ!!!」


 セレンに続いて攻撃を仕掛けようとしたメンバーたちに、猛烈な突進をお見舞いする。


「ったく、仕方ねぇなぁ! おらああああっ!」


 そんなオークキングの突進を、巨大な盾を構えて受け止めようとしたのはゴアテだ。


 ドオオオオオオオオオオオオンッ!!


 以前、オークキングが村を襲ったとき、その突進をノエルとゴアテの二人がかりでも受け止め切ることはできなかった。

 だが、


「オークキングがっ……」

「止まったああああっ!?」


 信じがたいことに、ゴアテはたった一人でオークキングの突進を受け切ってしまったのだ。


「さすがだ、ゴアテ! まさかそこまで強くなっていたなんてな!」


 ペルンが称賛するが、ゴアテは首を振った。


「いや、それだけじゃねぇ。見ろ、こいつの両足を」

「っ……どんどん凍り付いていくっ?」


 オークキングの突進を受け止められたのは、ゴアテの力だけではなかった。

 不発に終わったかと思われていたセレンの魔法が確実に効いていて、突進の勢いそのものが抑え込まれていたのである。


「私の魔法だって、レベルアップしてるのよ」


 ドヤ顔で告げるセレンは猛烈な冷気を放ち、オークキングの両足をさらに凍り付かせていく。


「今だ! 一気に仕留めるぞっ!」

「「「おおおおっ!!」」」


 背後からオークキングに飛びかかり、渾身の一撃を叩き込んだのはペルンだ。

 さらに他のメンバーたちが次々と攻撃を見舞う。


「ブヒイイイイイッ!?」


 全身から血が噴き出し、オークキングが苦悶の咆哮を轟かせる。


「よし、効いてるぞ!」

「オークキングの硬い皮にもちゃんと攻撃が通ってる!」


 かつては村人の総攻撃でも、その硬く分厚い体表に阻まれ、なかなかダメージを与えることができなかった。

 今の彼らは、当時とは比較にもならないほど強くなっているのだ。


「ブヒイイイイイ~~~~~~~~ッ!?」


 やがてオークキングは、断末魔の鳴き声と共に絶命。

 僅か十名の狩猟チームで、オークの王を討伐してしまったのだった。



    ◇ ◇ ◇



 春になって解禁された初の狩猟からセレンたちが帰ってきた。

 もはや僕が心配するレベルじゃないのは分かっているけれど、それでも無事に戻ってきてくれてよかったと思っていたら、


「えええっ!? 魔境の森でオークキングと遭遇しちゃった!? だ、大丈夫だったの!?」


 予想外の報告に思わず叫んでしまう。


「見ての通りよ」

「よかった……逃げ切れたんだ」

「? 何を言ってるのよ? 普通に倒したわよ?」

「オークキングを倒した!?」


 今でも恐怖と共に思い出せる、オークキングの襲撃。

 当時の村人たちが必死に攻撃を浴びせ続けても、まるで不死身かのように猛威を振るい続けたのだ。


「そんな化け物を……で、でも、そうか……みんな、当時よりずっと強くなってるしね……。それに狩猟チームの人数も増えてきて三十人もいる……オークキングを倒せたって、不思議じゃないか……」

「倒したのは私たち第一部隊だけよ」

「強くなり過ぎ!」


 狩猟チームは現在、三つの隊に分かれて活動している。


 それぞれ十人程度からなり、第一部隊をセレン、第二部隊をセリウスくん、第三部隊をバルラットさんが率いている。

 なお、第二部隊にはフィリアさんやランドくん、第三部隊にはノエルくんやドワーフの戦士バンバさんといったメンバーが所属している。


 どうやらその第一部隊だけで、オークキングを討伐してしまったらしい。

 しかも詳しく聞いてみると、割と危なげなく撃破できた感じだ。


「当時はあんなに苦戦したのに……」


 僕が呆気にとられていると、


「そんなことより、実はもっと重要は報告があるのよ」

「え? オークキングのことよりも?」


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
謝肉祭じゃぁぁぁぁぁって喜んでる村民多そうだなあ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ