第418話 必ず良い男を見つけてやるんだ
武闘会の出場者を募集すると、なんと八千人もの応募が殺到した。
前回が千人ちょっとだったので、一気に八倍増だ。
「ホテルを増やさないと! それに予選会場もぜんぜん足りない!」
予想を遥かに超えた応募数に、開催日まで急ピッチで準備を進めることになった。
さすがに一度の予選で絞るのは難しいということで、二段階の予選を行うことに。
そして全員を村に呼んで行うのは大変なので、一次予選は地域ごとの開催とした。
王国全土を八つのブロックに分け、各地に新しく闘技場を設置。
一対一のトーナメントだけで絞ると時間がかかり過ぎるため、最初は集団戦などで一気に数を減らしつつ、それぞれ三十二人にまで絞らせてもらった。
なお、応募人数が圧倒的に多かったこともあり、村は単独で一つのブロックとなった。
これにより実力のある村人たちであっても、一次予選で姿を消すことになってしまう。
「くそおおおっ!? この俺が一次予選敗退だとおおおおっ!? ここで活躍して、今度こそかわいい嫁をゲットするつもりだったってのによぉっ! 他のブロックだったなら絶対もっと勝ち上がってたはずなのに……っ!」
あっさり一次で予選落ちしたマンタさんが嘆いているけど、他のブロックだったとしても間違いなく予選落ちしてるってば。
ただ、うちの村のブロックのレベルが非常に高かったことは間違いなく、『巨人の腕力』のゴアテさんやアレクさんのパーティの狩人ディルさん、それにダントさんに使える兵士だったバザラさんまでもが、予選落ちしてしまった。
そうして一次予選を突破した256人で、次の二次予選を戦ってもらった。
村の闘技場を舞台に、一対一のトーナメントで三連勝することでようやく二次予選を通過することができるという非常に狭き門だ。
ここではうちの村人たちが、その圧倒的な実力を見せつける形となった。
一次予選で同じブロックになった者同士が戦わないようになっていたため、他ブロックで勝ち上がってきた猛者たちを次々と撃破。
三十二人に絞られる中、なんとそのうちの半数が、村ブロックからの勝ち上がり組だったのである。
その顔触れはというと。
セレン
フィリア
セリウス
ノエル
ゴリティアナ
バルラット
アレク
ガイ
マリベル
アカネ
カシム
ドリアル
バンバ
ガンザス
チェリュウ
チョレギュ
ちなみにマリベル女王やアカネさんはこの国の人じゃないけれど、ほとんど村の住民のようになっているし、本人たちの強い希望もあって特別に参加を許可した。
そもそも移民ばかりの村だし、どこからが村人なのかを判断するのは難しかったりする。
「この大会で優勝し、サムライこそが最強であることを証明してみせるでござる!」
本人はああ言ってるけど、アカネさんが優勝する可能性はまずないだろう。
さらにアマゾネスの二人もここまで勝ち上がっていた。
ノエルくんと結婚したチェリュウさんと、今だに婚活中のチョレギュさんだ。
「この大会で必ず良い男を見つけてやるんだ……っ!」
婚活目的でこの大会に出場しているのは、恐らく彼女だけだろう。
もちろんラウルも余裕で勝ち進んでいた。
彼が自ら育てたという王国軍の精鋭たちも、四人が決勝トーナメント進出を決めている。
そしてこの三十二人で、改めてクジ引きによりトーナメント表を作り直し、本戦に挑むことになった。
「ゴリちゃんとは真反対の位置ね! 前回と同様、決勝で当たりそうだわ!」
セレンはすでにゴリちゃんのことしか意識してない様子だ。
「でも、順当に勝ち上がったら、ゴリちゃんの前に準決勝でラウルとぶつかることになるよ?」「っ! ……ほんとだわ」
僕の指摘に、ハッとして頷くセレン。
ラウルは間違いなく今回の優勝候補の一人だろう。
決勝でゴリちゃんと激突するためには、この大きな壁を突破しなければならなかった。
「上等だわ! 誰が相手だろうと負けないから!」
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