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万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

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第417話 昼から何もせずに飲むお酒

 せっかく得意の回復魔法を活かし、村に貢献してくれようとしたエミリナさん。

 だけど、そもそもこの村、治療関係が元から充実しまくっていて、新しく入り込む隙がまったくなかった。


 わざわざ新しく彼女を院長にした診療所を作ったというのに、毎日ぜんぜん客が入らず、ずっと閑古鳥が鳴く状態になってしまったのである。


「うふふふ……わたくしの力なんて、誰も必要としていないということですわね……」

「エミリナさんが闇落ちしかけてる!? げ、元気出してください!」


 お陰ですっかり気落ちした彼女は、部屋に引き籠るようになり――




「本当にこの村、お酒が美味しすぎですのっ! 何より昼から何もせずに飲むお酒、最高ですわあっ!!」




 ――ただの飲んだくれになってしまった。

 しかも最初はちゃんと働こうとしてくれた手前、ミランダさんのようには強く咎められない。


 こうして我が家に二人目のタダ飯ぐらいが誕生したのだった。










「ルーク! 今年も武闘会を開催しましょうよ!」


 その日、セレンが唐突に訴えてきた。


「去年、決勝で負けた借りを返さなくちゃいけないもの!」

「そういえば、ちょうどこの時期だったっけ」


 昨年、村の名物イベントを作ろうということで、試しに開催してみたのが武闘会だ。

 村の外からも観客が大勢やってきて、大きく盛り上がったイベントだった。


 ……僕としては、あまりいい思い出じゃないのだけど、またやってほしいという声は少なくなかった。


 それもこれも、「村長に何でも一つだけお願いを叶えてもらえる権利」なんていう優勝賞品のせいだ。

 勝手に決めたベルリットさんのこと、今でも秘かに恨んでるよ……?


「でも、次は王家が主催してくれるって約束だったし、優勝賞品も用意してくれるはず」


 ちゃんとこの約束のことを覚えているか確かめるため、王様のところに行ってみると、


「無論、覚えておる。むしろそろそろ開催の時期だろうと思い、こちらから声を掛けようと思っていたところだ」


 どうやら王様もやる気満々だったみたいだ。

 しかも王家の力を示す絶好の機会でもあるし、今回は昨年を上回る規模で開催したいという。


「前回は貴殿の村の住民だけだったが、今回は王国全土から出場者を募集する! すなわち、この大会で優勝すれば、名実ともに王国最強の称号が与えられるのだ!」


 王様、なんだか楽しそう……。


「もちろん俺も参加するぜ!」

「ラウル!?」


 いきなり王様との謁見の場に割り込んできたのは、僕の弟、ラウルだった。


『剣聖技』のギフトを持つ彼は、王国軍の特別指導官として雇われていたのだけれど、つい先日、抜本改革が行われて再編成された新生王国軍で、将軍職に抜擢されたという。


「昨年は見るだけだったからな。今年はあの筋肉の化け物をぶっ倒して、俺が優勝してやるぜ。そうすりゃ、王国軍の株も上がるってもんだ」


 なんだかもう、すっかり王国軍の人間になってしまっている。


「自分のことより、軍のことを考えるなんて……成長したね……兄として嬉しいよ」

「おいなんだその反応は!? べ、別にいいだろうがっ!?」


 思わず涙が出そうになる僕に、声を荒らげるラウル。


「他にも俺が鍛え上げた精鋭たちを参加させてやるぜ! 王国軍はてめぇの村にも負けてねぇってことを証明してやるから、せいぜい覚悟しておくんだなっ!」

「うんうん、お互い頑張ろうね」

「その優しげな目をやめろ!」


 開催地は今回もうちの村ということで決定した。

 王家が主催ではあるけど、基本的な運営は前年の経験もあるこっちで行うことに。


「最近、闘技場を新しくして、収容人数も八万人に増えました。巨大スクリーンで試合中の映像を流せるので、リングから遠い座席でも、試合の状況が把握できると思います」

「「スクリーン??」」

「ええと……まぁ、見れば分かると思います」


 ギフトで作り出した闘技場には、色んなハイテク機能がついているのだ。


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生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
たとえ、王家主催であっても優勝賞品は 「村長に何でも一つだけお願いを叶えてもらえる権利」 でしょうね! 元々前回の諸々の事が今回に繋がっているわけですから。 皆さん、それ以外の景品だと不参加や辞退…
>こうして我が家に二人目のタダ飯ぐらいが誕生したのだった。 同じ性癖2人だとキャラがかぶるからエミリナさんには武闘会でもう一味何か新たな世界?を開いて欲しい。
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