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万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

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第410話 強い男はいねぇがぁ

 たった一人、相手が見つからない人が出てしまった。

 彼女の名はチョレギュさん。


「あたいの男だけいないとか、どういうことだよおおおおおおっ!?」

「ご、ごめんね。応募者がいなくなっちゃって……」


 ちょっと申し訳なくなってしまい、僕は謝罪する。


「だ~りぃぃぃん♡ だ~いしゅきぃ♡」

「ぼくも、だ~いしゅきぃ♡」


 などと、周りが幸せそうにしている中、一人だけ取り残されるのは、正直なかなか可哀想だ。


 ちなみに候補がゼロだったわけではない。

 このチョレギュさん、今回やってきたアマゾネスたちの中でも、かなりの実力者らしく、一人で十人もの応募者を倒してしまったのである。


「だ~りぃぃぃん♡ だ~いしゅきぃ♡」

「ぼくも、だ~いしゅきぃ♡」

「うるせえええええええええええええええっ!!」


 成立したカップルたちを怒鳴りつけたチョレギュさんは、血走った目で、


「男……男……どこかに、強い男はいねぇが……?」


 そんなことを呟きながら、勝手に村の中を徘徊し始めた。

 なまはげみたいになってる!?


「男おおおおおおっ! いたああああああっ!」

「っ!?」


 そして通行人の男性に襲いかかってしまう。


「ちょっ、なんすか!?」


 元盗賊の下っ端、バールだ。


「ぎゃああああああっ!?」

「ちっ、弱すぎる!」


 瞬殺されてしまうバール。

 一応、村の衛兵なのに……。


「……い、いきなり殴られるなんてっ……こ、興奮するじゃないっすかあああああっ、ハァハァ……」

「強い男はいねぇがぁああああああっ!?」


 ドMなので喜んでしまっているバールを完全に無視し、チョレギュさんは次のターゲットを求めて走り出す。

 もはや妖怪だ。


 何だろう……このカオスな光景は……。

 僕が思い描いていた平和な村のイメージとは、あまりにもかけ離れている……。


 その後、アマゾネスたちがどうにかチョレギュさんを抑え込んでくれて、いったんは落ち着いたのだけれど、


「男男男……強い男早よ……」


 うわ言のように呟き続ける彼女に、村の男性たちが引いてしまって、かえってお相手探しに難航することになってしまうのだった。








「村長……結婚、することに……なった……」

「ええええっ!? ノエルくん、チェリュウさんと結婚するのっ!?」


 アマゾネス集団の襲来から数日後。

 ノエルくんからの報告を受けた僕は、驚きのあまり大声で叫んでしまった。


 最初あんな出会い方だったし、チェリュウさんが一方的に好意をぶつけている感じだったので、進展は難しいんじゃないかなって思ってたのに……。


「し あ わ せ ♡」


 そのチェリュウさんは、乙女の顔でノエルくんに抱き着いている。


「ほ、本当にいいの、ノエルくん?」


 恐る恐る訊くと、ノエルくんは恥ずかしそうに頷いて、


「……おれ……こんなに、女性から、好きになってもらったの……はじめてだから……」


 どうやらチェリュウさんの猛アタックが実ったらしい。


 ちなみにチェリュウさんは二十歳。

 ノエルくんは僕の一つ上で十五歳なので、五歳も年上だ。


「まぁ、セリウスくんのことを考えたら、五歳くらい大したことないけど」


 それにしても、セリウスくんに続いて、ノエルくんまで結婚か……。

 僕と同年代の二人が、こんなに早く結婚しちゃうなんて思ってもいなかった。


「そうですね、五歳くらい大したことありませんね。なんならもっと年上の方がいいくらいかと。特に九歳くらい年上の女性がベストではないでしょうか」


 なんか急にミリアが割り込んできた!?


 ……ちなみにミリアはちょうど僕の九歳上の二十三歳だ。

 年齢を聞いても教えてくれないのだけど、以前、村人鑑定で調べちゃったからね……。


「さすがに九歳は年上すぎでしょ! 完全におばさんじゃない!」


 今度はセレンが割り込んできた!?


「やっぱり三歳くらい年上が最高よ! 異論は認めないわ!」


 ……ちなみにセレンは僕の三つ上である。


「異論しかありませんよ、小娘」

「なによ、おばさん」


 バチバチと火花を散らし、睨み合う二人。

 うーん、最近は少し喧嘩が減ってきたかなと思っていたけど、やっぱり相変わらず仲が悪いみたいだ。


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