表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

319/466

第317話 歯を食い縛りなさいよ

「山脈の西側に、こんな世界があったなんて……。巨大な城壁や建造物の数々に、清潔な人や街……立派な畑に美味しい食事……優れた治療薬に武具……。何もかもが、我が国より圧倒的に優れているでござる……」


 一通り村の中を案内してあげると、愕然としてしまったアカネさん。


「いや、これはきっと、夢に違いないでござる! 本当の拙者は、ドラゴンに連れ去られ、巣穴で眠っている状態かもしれぬ! 早く目を覚ますでござるよ!」


 ちょっ、またナイフ取り出したんだけど!?


「腹切っちゃダメだってば!? 夢じゃないから! 切ったら本当に死んじゃうから!」


 この人、よく今まで無事に生きてこれたよね……。

 放っておいたらすぐに死んじゃいそうだ。


「せめて殴るとかにしてよ……」

「では代わりに殴ってほしいでござる!」

「ええっ!?」

「仕方ないわね。歯を食い縛りなさいよ」


 セレンが拳を握りしめ、アカネさんの頬をぶん殴った。


「ひでぶっ!?」

「本当に殴っちゃうんだ!?」

「腹を切るよりはマシでしょ?」


 あっけらかんと言うセレン。

 一方、地面にひっくり返ったアカネさんは、腫れ上がった頬を手で押さえながら、


「間違いなく痛いでござる! 夢ではないでござるか……」


 どうやら現実だと理解してくれたみたいだ。


「それにしても、セレン殿と言ったでござるか? なかなか良い拳でござった。それに思い返してみれば、拙者の懐刀を何度も叩き割った手際、並の使い手ではござらぬとお見受けする」

「そうね! 剣の腕には自信があるわ!」

「拙者の刀があれば、是非とも手合わせをお願いしたいところでござったが……」


 アカネさんは残念そうに言う。


「ん~、似たようなやつなら、村にあるかもしれない」

「それは本当でござるか?」


 僕たちはダンジョン内に設けられたドワーフの鍛冶工房へ。


「ドランさん、この鍛冶工房で、色んな種類の剣を作ってますよね?」

「んだ。失敗作や実験作、売り物にできないような変わったものまで、たくさんあるだ」

「その中に、これをもっと長くした感じの剣ってありませんか?」


 そう言って彼に見せたのは、アカネさんが懐に何本も忍ばせているナイフだ。

 これは刀と似たような形状になっているので、イメージしやすいだろう。


「片刃の剣なら何本も見たことあるべ。ちょうどそんなふうに刀身が軽く反ってるやつだ」

「本当ですか?」


 鍛冶工房の一角にある倉庫に案内される。

 先ほどドランさんが言っていた失敗作や実験作なのだろう、そこには無数の武具が所狭しと置かれていた。


 刀身が二つあるやつだったり、刀身が長くて薄いやつだったり、刀身部分が回転するようなやつだったり、パッと見渡しただけでも不思議な剣がたくさんある。


「あったあった。この辺のやつだべ」


 ドランさんが示した場所には、確かにそれらしき剣が幾つも並んでいた。


「これはっ! まさしく刀そのものでござる!」


 本物をよく知るアカネさんが認めるなら間違いないね。


「たぶん、同じ鍛冶師の作だと思うべ」


 ドワーフの鍛冶師の中に、このタイプの剣を好んで作る人がいるのかもしれない。


「これなんて、間違いなく業物でござる!」

「どれでも好きなのを持っていって構わないだ。もちろんお代はいらないべ」

「なっ!? これほどの刀を、ただで譲ってくれるでござるか!?」

「んだ。どうせ売り物にはできないやつだべ」


 アカネさんは興奮で鼻息を荒くしながら、とある一本を手に取った。


「す、素晴らしい……っ! この刀にするでござる!」


 そうして刀を手に入れたアカネさんを連れて、今度は村の訓練場へ。


「武器も手に入ったし、これで手合わせできるわね! 東国の剣士って、どんな戦い方するのか楽しみだわ!」

「拙者も西国の剣士とやり合えるのはとても光栄でござる」


 セレンとアカネさんが訓練場の中央で向き合い、剣を構え合う。


「しかしサムライ代表として、絶対負けるわけにはいかぬでござるよ」


 力強く宣言するアカネさん。

 ……あ、これ、負けたらまた腹を切ろうとするパターンだ。


『魔界で育てられた少年、生まれて初めての人間界で無双する2~魔界の常識で生きてたら、気付けば人類最強になっていた~ 』の書籍版2巻が、22日に発売されました!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
[一言] アカネさんは扱いにくい人ですな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ