表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

128/466

第126話 バレなければいいんですよ

「どうもどうも、新しく北郡の代官になったミシェルです。よろしくどうぞ~」


 村に挨拶に来た新代官は、随分と気さくというか、軽いノリの人だった。

 前代官のダントさんが眉を顰めている。


「えーと、村長のルークです。わざわざお越しいただき、ありがとうございます」

「いやいや、そう畏まられると困りますよー。あくまで私はアルベイル家に仕える身分ですからねぇ」


 僕が実家を追い出された身と知ってるはずだけれど、それでも一応は主筋として敬うという立場を示してくる。

 ただ、こちらとしては警戒を解くわけにはいかない。


 ダントさんによると、新代官は元々貧しい家の出で、また武人でもないというのに、その実務能力を買われて代官にまで上り詰めた人だ。

 いわゆる叩き上げというやつで、今までは西郡で代官をしていたが、今回この北郡へと転勤してきたのである。


「(ラウル様というより、恐らくは彼のサポートのために領都に残った家臣団が選んだのでしょう。私も詳しくは知りませんが、噂では相当なやり手だとか。この難しい状況にある北郡の代官を任されるほどの男ですし、相手の態度に騙されてはいけません)」


 ダントさんがこっそり耳打ちしてくる。

 ただ、村人鑑定で調べてみても、決して他意がある様子ではない。


「それにしても随分と凄い街ですねぇ。綺麗で活気に溢れ、道端にゴミが転がっていたりしないし浮浪者もいない。美味しい食べ物が沢山あって、住民たちは快適な住まいが保証されている。聞けば、いつでも誰でも入れる公衆浴場なるものがあるとか。移住者が続出するのも納得ですよ。私もこんな街に住んでみたいですねー」


 手放しで村のことを褒め称えるミシェルさん。


「それで、実は折り入ってルーク様にご提案が」


 不意に真剣なトーンで切り出してきて、急に空気が張り詰めた。

 どうやらここからが本題のようだ。


 ダントさんが「下手な要求をしてきてみろ、この私が許さんぞ」と目を光らせる中、ミシェルさんは言った。


「北郡をこの街の一部にしてくださいお願いします」

「ふん、そんな話、飲めるわけが――へっ?」


 反射的に突っ撥ねようとしたダントさんが、頓狂な声を上げた。


「北郡をこの村の一部に……? この村を北郡の一部にするんじゃなくて……?」

「ははは、今やこの街、人口でも産業でも軍事力でも、北郡最大の都市リーゼンを大きく上回っていますからねー。いえ、むしろ北郡全体と比較したって上でしょうねぇ。そんな街をどうこうできるだなんて端から思ってませんよ。そもそもこの街のことは放っておくようにと、上から言われちゃってますし。だからこれ、ぜーんぶ私の独断です」


 ミシェルさんはニヤリと悪い笑みを浮かべる。

 元代官のダントさんは頬を引き攣らせた。


「すでに多数の住民がこの街に移住し、その流れは収まる気配もありません。放っておいたら北郡から人がいなくなって、完全に吸収されてしまうでしょうからねぇ。それならもういっそのこと今のうちに仲間に入れてもらおうかと」

「だ、だが、それを独断でやるなど……」

「バレなければいいんですよー、バレなければ」

「なっ……」


 絶句するダントさんを余所に、ミシェルさんは笑顔でお願いしてくる。


「都市リーゼンにもこの街のような快適な居住区を作っていただけませんか? あと作物が信じられないくらいよく育つ畑とか、できれば公衆浴場なんかも欲しいですねー」

「ば、馬鹿を言え、幾らルーク様のギフトでも、そんな遠くに……」

「……できますけど」

「えっ?」


 結論から言えば、可能だ。

 なにせすでにこの村の領域、すなわち村スキルが使える範囲は、北郡全域を覆うレベルにまで広がっているのだから。


 もちろん、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だ。


 ……いいの?


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
※市の条件は人口5万人以上です (条件を満たせば3万人で認められます)
[一言] レベルアップを重ねれば最終的には 村 範囲:世界中全ての土地 までいけそうだな
[一言] 都市を上回る規模の村…あれ村ってなんだっけ…? というか流石に副村長がいないと管理が大変だよw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ