表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
万能「村づくり」チートでお手軽スローライフ ~村ですが何か?~  作者: 九頭七尾
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

102/465

第101話 噂は本当だったのかも

「奴からの返答はまだないのかっ?」

「は、はい……何度も召集令状を送っているのですが、まったく反応がないようで……」


 ラウルは苛立っていた。

 というのも、とっくにくたばっていると思っていた兄のルークが、荒野に都市を築いているとの噂が、領内に広がっているのだ。


 その真実を確かめるべく、荒野に近い北郡の代官に報告を求めた。

 しかし最初の報告では、調査の結果、そのような事実はないとのことだった。


 だが噂は一向に収まらない。

 それどころか、ますます広がっているほど。


 さすがにこれはおかしいと、再度の報告を求め、代官を領都へ呼び出すことにしたのだが、いつまで経っても応じる気配がないのである。


「この様子ですと、ダント代官が裏切り、ルーク様の側に付いている可能性も……」

「ちっ……代官の分際で、この俺に歯向かう気か!」


 さらに彼の怒りを増幅させていたのは、噂は広がっていても、なかなかその真偽を確かめることができないことだった。

 なぜならその荒野に行った者が、誰一人として帰ってきていないからだ。


 それどころか、代官とは別にこちらから独自に調査団を派遣したにもかかわらず、行ったきりまるで帰ってくる気配がない。


「美味しい食べ物に快適な住居……一度行くと、二度と帰りたくなくなる……やはりその噂は本当だったのかも……」

「んなわけねぇだろが! あそこは作物もロクに育たない不毛の地だ! しかも周辺には危険な魔境がある! たった一年かそこらで、そんな街を築けるはずがねぇ!」


 臣下の言葉に、ラウルは怒声を響かせた。


 と、そのときだ。

 ラウルの元へ、一人の見慣れぬ男が連れてこられたのは。


「何だ、その男は? 俺は今、忙しい。つまらぬ用だったら叩き斬るぞ?」

「ら、ラウル様っ……こ、この男は、北郡のダント代官の部下だったという者でしてっ……」

「なに?」


 どうやら男は、代官の不正を知り、それを報告するためここまで来たのだという。


「い、命懸けでした……もし見つかれば、どうなるか分からない……それでもラウル様のため、決死の覚悟で……」

「貴様の武勇伝などに興味はねぇ。それより不正の証拠はあんのか?」

「は、はいっ、ここに……」


 そう言って男が取り出したのは、代官が行った荒野の調査結果を記したものだった。


「見せろ!」


 それをひったくり、ラウルは目を通す。

 そこに書かれていたのは、俄かには信じがたい情報ばかりだった。


「王都のそれに勝る二重の城壁に、一万に迫る人口……? さらにはダンジョンだと……? で、出鱈目だ! 貴様、よくもこんな出鱈目を俺に見せやがったなっ?」

「ででで、出鱈目ではありませんっ! 間違いなく代官の部屋に保管されていたものですっ!」


 あり得ないと断じたラウルだったが、胸の奥から不安が湧き上がってくる。

 もしこれが真実だとしたら……。


 危機感を覚えたラウルは、臣下に命じた。


「改めて調査団を派遣しろ! ただし今度は移住希望者にでも変装させて、秘密裏に行え!」

「は、はいっ!」

「そうだ……その中に()()を紛れ込ませろ……場合によっては、ルークの野郎を……」



    ◇ ◇ ◇



「ほ、本当にあったぞ……」

「しかも何だ、あの城壁は……これをたった一年かそこらで築いたというのか……?」

「こ、この街道だって異常だ……。こんなものを作り上げようとしたら、本来は何十年とかかるはず……」


 荒野に敷かれた街道を進みながら、その一団は大いに困惑していた。

 ここに来るまでは半信半疑だった彼らだが、あまりの衝撃にその目的を忘れてしまいそうになるほどだった。


「これをあのルーク様が……?」

「やはり、北郡の代官の報告は嘘だったのだ……っ!」

「まさかこんな街の存在を隠していたとは……す、すぐにラウル様にお伝えしなければ……」


 そう、彼らはラウルが派遣した調査団だった。


「私はあの街を詳しく調査する。お前は先んじて領都に帰還し、ラウル様にこのことをご報告するのだ」


 部下にそう命令したのは、熟練の諜報員だ。

 過去、幾度となく敵地に侵入しては、有力な情報を入手し、アルベイル家の躍進に大いに貢献してきた。


 そして時には暗殺も……。


「(……今回も手を汚すことになるかもしれぬな)」


 他の調査員たちすら、そのことは知らされていない。

 彼だけが直接、ラウルからの指示を受けたのだ。


 と、そのときだった。


「「「……え?」」」


 突如として、彼らが立っていた地面が消えた。


少しでも面白いと思っていただけたら、↓の☆で評価してもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

生活無双
12月17日発売!!!
― 新着の感想 ―
[良い点] 敵探知のスキルがあるからなぁ スパイのしようもない
[気になる点] つまりこれって村は暗殺偵察部隊も手に入れた。と(;σ .̫ σ)
[一言] おばあちゃんの楽しみが増えた
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ