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反省(認識の甘さと言うか情報不足を痛感する)

(よう)の実力をまざまざと見せつけられたその一方で、今回の襲撃で俺は自分の認識の甘さも痛感していた。まさかボクサー竜が陽動作戦のような真似をしてくるとは思っていなかったのだ。


また、銃声や(よう)の威嚇にも怯まずに襲撃を行おうとしたのは、そういう強気なイケイケの群れだったということだろうか。これまではだいたい威嚇しただけで逃げ去っていたし。群れによっても性格が違うのかもしれない。


たまたま(よう)の活躍で事なきを得たが、下手をすると子供達に被害が出ていた可能性もある。彼らは間違いなく子供達を狙っていた筈だからな。


まあその子供達も、不穏な気配を察したのか家の中に自分で逃げ込んでいたが。(ちから)(はるか)(きたる)は、当然、池の中に避難していた。水中なら(ちから)達相手にボクサー竜にはそれこそ勝ち目はないだろう。


実は(ふく)も目を覚まして臨戦態勢に入ってたらしい。今回はたまたま出番がなかっただけだ。


一方、(ひそか)(じん)の出産の方だが、(じん)は早々に出産を終えたものの、実は(ひそか)の方が手間取っていた。


また双子だったのだが、一人はすぐに生まれたにも拘わらず、もう一人がなかなか出てこないのだ。


「エコーで確認しましたが、首に臍の緒が絡まっていました。その為、産道の方に下りてこられないのです」


コーネリアス号に残されていたポータブルエコーで診断したセシリアが説明してくれた。


「そうなのか…」


人間でもあることだとは聞くが、彼女らもそういうのからは逃れられないということか……


「胎児の心音低下。危険な状態です」


セシリアの声が沈痛なものに聞こえる。


ロボットである彼女には、医学的な知識はある。しかも看護助士として診療所に配置されていた経験もあるという。だが彼女はあくまで人間の医師や看護師のサポートをするだけのロボットでしかない。医療行為はできない。ましてやここには出産をサポートする為の機器もない。今の彼女では、成り行きを見守ることしかできないのだ。


人間に命令されない限り。


まさか、医学的な知識もロクにない俺にその指示を求められることになるとはな。


だが、このままでは胎児も母体も危険だ。俺が人間として、セシリアに命令を下してやらなければいけない。


「セシリア、救急救命モード。赤ん坊と(ひそか)を助けてくれ…!」


救急救命モードは、人間の医師が傍にいない時に救急救命が必要になった場合、ロボットが一時的に医師の代わりを必要最小限の医療行為を行う為に与えられた機能である。エレクシアにも同じモードがあるが、診療所での実務経験のあるセシリアの方が、この場合は適任だった。


それに、今回については、エレクシアより華奢なセシリアだからこそ向いているというのもあったのである。



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