表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

629/3014

明編 合理的な対応

人間には<心>がある。それは非常に難解で非合理的で時に道理が通じない奇怪なものだ。


だが同時に、それがあるからこそ人間は今も生き延びているんだろうと思う。無限に欲望だけを膨らませて突き進み自滅することを回避させたのも、実は<心>のなせる業だと思うんだ。


『生まれてきたからには幸せを掴みたい』


と思わずにはいられない<心>がな。


そしていつしか人間は、


『自分だけが幸せになれればそれでいいわけじゃない。その考え方ではいずれ破綻する』


ということにも気付いた。それは<心>があるが故だろう。


ただひたすら自分の幸せだけを求め、他人のことはどうでもいい。なんてことをしてたらそこに軋轢が生まれて争いに至り、結果として自分も幸せになれないことに気付いたんだ。


自分にも心があるように、他人にも心があるということにな。


『自分だけが幸せになればいい』


そう考えている奴は本当に幸せそうか?。その所為で他人に疎まれて批判を浴びたり、それに対処するために労力を費やしたり神経をすり減らしたりしてないか?。


そういう一切を完全に無視して気しない奴ももしかしたらいるかもしれないものの、そんな奴は多数派か?。ごくごく一部の例外的なのだけがそうなれるだけなんじゃないのか?。


そんな例外的な奴だけが幸せになれる世界で嬉しいか?。そんな世界だと、それこそ、


『生まれてくるんじゃなかった』


と思うんじゃないのか?。


そうして、幸せを実感できない奴の中からそれこそ自暴自棄になり幸せそうな奴を滅茶苦茶にして自分と同じく不幸にしてやりたいと思うのが出てきても当然じゃないのか?。


それを『我慢しろ』と言うのは簡単だ。だがそれを完全に我慢しきれないのも<心>というものなんじゃないのか?。


ただただ『我慢しろ』と命令するだけなのは、本当に合理的な対応なのか?。


『生まれてきて良かった』と思わせることで、他人の幸せを妬まずに済むようにするというのは、トラブルを未然に防ぐ効果的な方法なんじゃないのか?。


とは言え、全く見ず知らずの他人が誰かにそう思わせようとするというのも、これはこれで合理的な対処法じゃないだろうな。見ず知らずの他人のためにそこまでできる人間というのがそもそも少ない。そうなると当然、全てには対処しきれない。


となれば結局、自分の勝手で子供をこの世に送り出した親が我が子にそう思わせてやるのが最も確実で手っ取り早いんじゃないのか?。何しろ子供をこの世に送り出した張本人なんだからその責任を負うというのも当然だと俺は感じる。


と言うより、赤の他人にそれを押し付けるのがそもそもおかしいよな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ