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明編 新しいロボット

日常的な簡単な物品については、そこそこ自分達で作ることもできる。椅子やテーブルくらいなら、材料と道具さえあれば俺も作れるようになった。


ただ、ドローンなどの精密機械を作ったり、物を作るためのちゃんとした道具は、やはり今でもコーネリアス号の工作室頼みだった。実は工作室自体、最初は二千年ばかり放置されていたことで状態も完全じゃなかったもののメンテナンスが進んで本来の機能を取り戻しつつあるし。また、セシリア、メイフェア、イレーネのメンテナンスはコーネリアス号のメンテナンスカプセルでないとできない。


新たに集落を作るとなると、現状ではたぶん、そちらの警備や防衛はイレーネに任せることになるだろうな。


加えて、彼女だけでは足りない分については、ドーベルマンDK-aのさらなる量産化もしくはまた新しいロボットの開発が必要になってくると考えた。


そしてその為の基本的なプランはすでにエレクシアが用意してくれていた。自分とセシリアとイレーネだけではいずれカバーしきれなくなると予測してたんだ。


その彼女が提案してくれたのが、ドーベルマンDK-aシリーズの開発と運用によって得られたデータを基にした、新しい警備用ロボットと、より日常のこまごまとした雑用を任せられるヘルパーロボットの二種。ヘルパーロボットの方は、ある意味では<先祖返りしたメイトギア>とでも言えばいいか。


コーネリアス号の工作室は、さすがに本調子に戻ったとしてもメイトギアそのものを作り出せるほどの設備じゃないからな。


そんなこんなで、新しい集落の準備の為に、まずはロボットの開発に取り掛かる。


ドーベルマンDK-aは、高い生産性とメンテナンスフリーと故障率の低下を目指して徹底した機能の簡略化を図ったものだったが、新しい警備ロボットとヘルパーロボットは共に、


<人間の仲間>


ということも考慮に入れた、フレンドリーな外見と高い機能を実現したいと思う。


ただ、さすがにそうなってくると開発は容易ではなかった。光莉(ひかり)号やコーネリアス号のAIによって制御するから制御系辺りは問題ないんだが、確実に動作し、それなりの耐久性を備え、メンテナンス性も確保し、かつ高機能高性能となると、な。


ドーベルマンDK-aの拾弐号機が完成し、ドーベルマンシリーズはそこで一旦完結としたことで、新しい警備用ロボットは<ドライツェン>と名付け、ヘルパーロボットの方は<アリス>と名付けることにした。


ドライツェンは警備用であり、外敵との戦闘も考慮に入れることからストレスに強く高出力。


アリスはヘルパーロボットなので家事一般を主に確実にこなせる繊細さを第一とする。


両方を兼ね備えたエレクシアのようなロボットを目指すには、現時点では技術力がまるで足りないからな。


それもあって、新しいロボットについては、試作機が完成するまでにも一年を要することになったのだった。



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