表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

565/3014

明編 ストーカー

昨日、(めい)に撃退された若いマンティアンが、なぜか性懲りもなく彼女の前に現れた。


だが、攻撃を仕掛けてくる様子はない。単にある程度距離を置いた状態で彼女の様子を窺っているだけだ。


「これは……(めい)のことをパートナーとして認めたってことでしょうね」


俺と一緒に映像を見ていたシモーヌが言う。


「ああ、なるほど」


と俺も納得しかけたが、


「でも、(めい)に負けたんだろう? なんでそれがパートナーとして成立する?」


疑問が口を突いて出た。


するとシモーヌは、


「たぶん、『生き延びた』からでしょうね。自身の強さを彼女が認めてくれたから自分は生き延びられた。それはつまり、『彼女からパートナーとして認められた』という認識になったのかも」


「あ~…なるほど。そういう解釈になるのか……


だが、それってストーカーの発想だよな……」


正直な印象だった。


「ですね。物事を自分に都合よく解釈して執着する。まさにストーカーのそれです。


ただ、野生の生き物の場合、パートナーを見付けて自身の遺伝子を残そうというのは人間以上に切実な話ですから、とにかくチャンスがありそうだとなれば何度でもアタックするのは当然でしょうね」


「確かに……人間の場合はとにかく数が多いから『別に自分が子孫を残さなくてもいいだろう』って考えることもできるが、野生の生き物はそうはいかない。チャンスは確実にモノにしないとって思うのも当然か……」


というわけで、しばらく様子を見ることにした。


で、(めい)の前に現れた若いマンティアンのことは、(さく)と呼ぶことにした。


まあ、字面の通り、『(めい)に迫ってる』からな。


そんなこんなで、(さく)は、それからも(めい)をしつこく追い回していた。


と言っても、本当に後ろを追ってるんじゃなくて、行く先々に現れる感じだが。


(めい)が現れそうなところで待ち伏せて、彼女の姿が見えれば近付いていくってところか。


どっちにしてもストーカー的行為には違いない。


もっとも、当然のことながら、(めい)はまったく相手にしない。近付こうとすれば威嚇して、それでも近付いてくればやっぱりぶちのめすだけだ。


が、とどめは刺さないのでしばらくするとまた現れる。


なるほど。自分を殺さないのは気があるからだと判断してるってところか。


もちろん、とどめを刺してしまうのが手っ取り早い対処法だろう。あまりしつこいとさすがの(めい)もキレてやってしまうかもしれない。


とは言え、それはむしろマンティアンとしては当然の対応なので、まさに、


『殺されたって文句は言えない』


って話だけどな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ