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不幸があるからこそ(幸せが感じられるのか)

『<何一つ苦痛のない極楽のような世界>になど辿り着けないように、何者かが仕組んでるかのよう』


と言うか、そうだな、生きるということ自体が元からそういうものなんだってことなんだろうな。


苦しいこと、悲しいこと、辛いことは、嬉しいこと、楽しいこと、気持ちいいこととセットになってるんだ。


不幸があるからこそ幸せが感じられると言うか。


きっと、何一つ苦痛のない世界なんて、<幸せ>もないんじゃないかな。それが当たり前の状態で、比べることができないから、幸せも認識できない気がする。


なにしろロボットは、人間のように苦痛を感じない、辛いとも苦しいとも悲しいとも思わない。だからこそ<幸せ>を感じることもない。


(ひそか)のことは、今までがあまりに幸せだったから、その反動が来たってことかもな。


無論、そんなことであってほしくはないが、そう考えると妙に納得できてしまうのも事実ではある。


(ひそか)……お前を最後まで見捨てないのは、俺にできる唯一の<御礼>だと思う。お前が俺を見捨てないでいてくれたお礼だよ……」


そう話しかけたところで彼女にはもう何も伝わらないだろうが、別に構わない。見返りは必要ない。むしろ見返りなら先にたっぷりともらってる。それこそ山のようにたっぷりとな。


俺はそれを返していくだけだ。


なんてことが思えるのも、エレクシアやセシリア達が(ひそか)の世話をしてくれてるからこそでもある。そのおかげでそんな風に思える精神的な余裕が得られてるというのも間違いなくあるだろう。


ロボットは人間にとってとても大切な<道具>だ。だからこそ道具として大切にしなくちゃいけないと思う。<ロボット排斥>なんてまったく現実的じゃない。


エレクシアが言うには、認知症治療にもAIによって制御されたナノマシンが使われてるそうじゃないか。


<ロボット排斥主義者>はつまるところ<AI排斥主義者>でもあって、AIを排斥してしまったら認知症だけじゃなく、AIによって制御された治療用ナノマシンすべてが使えなくなるということで、いや、治療用ナノマシンだけじゃなく、現在の高度な医薬品についてもその殆どがAIによって制御されたシステムの下で作られてるわけだから、医療レベルも一気に数千年分、後退してしまうことになる。


確か、ロボットやAIを排除したコミュニティを作ってる人間達も、多くの場合、医療とかについては現代のそれを受けてるんだったか。


おいおい、まったく排斥できていないじゃないか。


ロボットやAIに支配されてる気がするのも苦痛なのかもしれないが、そういう辺りも自覚しないといけないだろうな。



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