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3004/3014

キャサリン編 衣食住

『私が昔暮らしていたアパートメントそっくりだね』


サディマがそう声を上げたのも当然だろう。地球人社会での一般的な集合住宅としては実に無難で標準的な内装を再現してたわけだからな。<個性的><革新的><野心的><挑戦的><前衛的>なそれを設計することも今のAIならわけもないもののコーネリアス号でそれをする理由もないわけで。


そんなサディマがかつての<自室>を訪れると、


「ここは何も変わってないんだな」


感慨深げに口にした。そして、


「まあセシリアがずっと管理しててくれたんだから当然か」


とも。彼の言う通り、コーネリアス号が電源を失いセシリアの充電もできなくなりバッテリーが尽きるまで毎日のようにメンテナンスを行ってくれていて、今は鈴夏(すずか)桜華(おうか)やドーベルマンMPMやホビットMk-Ⅱらがメンテナンスしてくれてるからな。人間と違って『手を抜く』こともないし勝手に手を加えることもないし。それこそ当時のままの状態で維持されていた。


が、


「でも私が使っていいんだろうか? サディマ・バーティラルのコピーは他にも顕現する可能性はあるんだろう?」


当然の疑問も問い掛けてきた。しかしこれについては、


「シオもレックスも一時的とはいえそれぞれの自室を使ってたし、その辺りは臨機応変でいいと思う。当人同士で決めてもらってもいいし」


と応えさせてもらった。そうなんだ。シオもレックスも、資材を転用するために解体した区画に二人のための<新居>を設けてそこに入ってもらうまではそれぞれの自室を使ってもらっていたりもした。これについてシモーヌからの異論も出なかったし、やっぱり<コーネリアス号の自室>は、


<単身赴任中の仮住まい>


的なものなんだろうという気がする。だから改めて落ち着くところが確保されればそこに拘る必要もないんだろうな。


「そうか、そうだな。今は取り敢えず私は一人だけなんだからあまり気にする必要もないか」


サディマもそう言って納得したようだった。さらに、


「希望すれば新しく住居を用意してもらえると理解していいんだろうか?」


とも確認してくる。地球人社会においても<基本的生存権>として最低限の衣食住は確保されることになっている。それこそ自ら望んでホームレスになろうとでもしない限りは、決して<上等>とか<高級>とか言い難いものの人間として暮らすだけなら問題のない住居は貰えるんだよ。


最初から最後までロボットのみで作られたプレハブハウスが。


まあ<プレハブハウス>と言っても耐久性は二百年程度は確保されているが。



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