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キャサリン編 私達の家

サディマが保護されて一週間が経った。度重なる検査でもコーネリアス号のAIによる詳細な経過観察でも問題は発見されず、彼は晴れて隔離室から出られることとなった。当初の予定では一ヶ月かけることも考えていたもののAIの緻密な観察でも微細な異常すら発見できないとなればこれ以上は意味がないわけで。


もちろん生きているんだから<体調のゆらぎ>はある。僅かな好不調の波はある。しかしそれ自体が生きてる限りはついて回るものだからそれ込みで『異常か異常じゃないか』を見ているんだ。しかも<コーネリアス号のクルーの正確なコピー>だからオリジナルの方の生体データが残されていてそれと比較もできるのが功を奏したかも。


その比較でも十分に、


『問題ない程度である』


ことが分かるんだ。


そんなわけで隔離室から出たサディマを、シオとレックスが歓待する。


「ようこそ。<私達の家>へ」


「かなり様変わりしてるからね。案内するよ」


そう言って案内されたコーネリアス号の内部は、確かに以前とはかなり印象が変わっていた。俺が見付けた時にはうっすらと埃が溜まり野生動物が入り込むことができた区画はかなり荒れた状態だったのに加え、ドーベルマンDK-aやドーベルマンMPMおよびアリスシリーズならびにドライツェンシリーズの製造の資材として利用するために解体された部分がなんとも寂寥感を醸していたのが<集合住宅>と割り切ってリフォームしたことにより何とも穏やかな感じになっていた。内装に木材なども多用したことが、いかにも宇宙船然としていたかつてのそれとは別物になっていたんだ。


ちなみにその設計を行ったのもコーネリアス号のAIである。宇宙船としてはもはや運用できないのは明らかで、


『コーネリアス号のクルー達のコピーの住居として再利用する』


となればそちらに振り切った設計を行うさ。AIはその辺りも躊躇ない。人間はどうしても未練がましく割り切れなかったりすることもあるものの、


『もしかしたらまた宇宙船として使えるかも』


とか考えてしまったりすることもあるものの、AIにはその可能性がないことが分かってしまうからなあ。それにもし宇宙船として復帰することがあればその時にまた改めて改装すればいいと考えるんだよ。<面倒>というものを感じないから。


それを目の当たりにして、サディマも、


「ははは、これはまた私が昔暮らしていたアパートメントそっくりだね。気に入ったよ」


笑顔を見せたのだった。



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