キャサリン編 通信を介しての立ち会い
翌日、メイフェアが碧を丁寧に埋葬してくれた。その時、俺とシモーヌは当然のこととしてタブレット越しとはいえ立ち会ったが、光と灯は親族として、さらにビアンカと久利生とルコアとシオとレックスとサディマも立ち会ってくれた。
ちなみにこういう場合、地球人社会でも<通信を介しての立ち会い>は普通のことになっている。さらに必要とあれば、
『メイトギアを義体のようにして』
立ち会うこともある。専用の端末が必要になるが自身の感覚とリンクさせて遠隔でメイトギアの体を操るわけだ。なにしろ<隣の惑星>であっても天文学的な距離があるわけで、いくら<恒星間航行技術技術>があってもその移動が大変なことは変わらない。だから肉親の場合でさえそういう形で済ますことは別に<薄情>というわけでもないという感覚が一般的になってはきている。まあそれでも、
『直接赴く』
ことに強い意義を見出している人間(地球人)もいるから、そういう者達がネット上で<大きな声>を上げたりもしてたな。しかもまあまあな支持を集めたりということも。俺個人としては<自分の実の子供>の場合は距離的にもそこまで大変じゃないし赴きたいと思うにせよ、走の時に皆で押し掛けたことで<群れ>に少々ストレスを掛けてしまった事実を踏まえ、実際に行くとしても<代表者数名>に絞って行くのが結果としては好ましいと感じたよ。朋群人社会においてその辺りがどういう考えになっていくかは分からないにせよ、俺達としてはそれでいいと感じてる。
だから碧の葬儀についても、群れに与える影響を考えるとこれが適切だろうな。
だが俺達がそう言ってるのすら、
『面倒臭いから行きたくないのを正当化してるだけだろ!』
的に言う人間(地球人)はいると思う。そういう部分がまったくないかと言われれば<なんとなくのレベル>ではあっても『ない』と断言はできないのも事実ではあるかな。だから言いたい奴には言わせておけばいいさ。
でも同時に『悼む気持ちがある』のも事実なんだ。それがあるのならサディマがこうして参加してくれるのを拒むこと自体はする必要も感じない。それに彼が誠実な人間であるという印象にも影響するし。
まあその辺は『あくまで体裁を取り繕うために』そういう振る舞いをする人間(地球人)はいるわけで、このことがそのまま当人の評価になるわけじゃないのも事実だけどな。
俺の場合はそういうのはむしろ印象を下げる方向にしか働かない気が個人的にはしてるよ。さりとてそれを高く評価する人間(地球人)もいるのもまた事実。この辺りは当人同士の問題でしかないんだろう。




