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キャサリン編 記憶があるだけじゃ

だから<朋群(ほうむ)製AI>は最初は幼児のように未熟だろう。それを俺達自身が『育てて』いくことになる。とはいえ、


<非常に頼りになる先輩>


がいるから、まあ心配はないと思う。問題はその<先輩>と上手く折り合うことができるかどうかだ。そしてそれが最大の難関でもある。


<人間に害をなす危険な存在>


と判断されたらもうお終いだ。『手本を見せてもらう』どころか警戒されてまともに関わってももらえなくなるし。それでも人間と違っていきなり攻撃的になることはない。異星人とのファーストコンタクトの際にそんなことをすればどんなリスクを招くか分からないし、それを想定しているから初手で攻撃してくることはないはず。加えて元々の規格は共通してるから一瞬でその性能を察せられてしまうだろう。いちいち攻撃する必要すらないくらいに差があると見抜かれてしまうと。だから<完全スルー>かな。情報交換すら応じてくれないだろうし。


こうなるとそれこそ俺達が育てていくしかなくなる。まあ<自己学習機能>は当然備えることになるから人間を育てるよりはずっと楽だろうとはいえ、エレクシア達に手本になってもらうことを考えたら雲泥の差があるからなあ。


ちなみに今の光莉(ひかり)号やコーネリアス号のAI内に作られてドーベルマンシリーズやホビットMk-Ⅱを制御している仮想AIをそのまま流用することは当然できない。あくまで<地球人社会製AI>だから。一部を抽出して流用する形にはなるものの、それだけじゃいわば、


<前世の記憶を持っているだけの幼児>


みたいなものかもしれない。フィクションの中だとその手の登場人物は<前世の記憶>をすぐさま活用してみせてるが、『記憶があるだけ』じゃ実は<経験>とは言えないらしい。感覚として定着していないとその通りに体が動かないと言われてる。


これはあれだな。


『ハウツー本を読んで知識だけはあるものの実践が伴わないからその通りにできない』


みたいなものか。AIはあくまでも<プログラム>だから、


『プログラムさえインストールすればその通りに動作するのでは?』


と俺達素人は思ってしまうものの今のAIはそこまで単純じゃないんだよ。人間の脳と同じように膨大な情報を同時に処理してるから最適化が行われてないと必要のない情報まで同じように処理しようとしてしまって処理速度がものすごく落ちると。


だからこそ経験を積んで最適化を行う必要があるわけで。


なんにせよ一筋縄ではいかないということか。



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