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キャサリン編 同じではない

ああそうだ。今の時代、人力で完全に新規のを作るのは、流用できるところは流用してもなお、


<幼児のように未成熟なAI>


しか出来上がらないそうだ。ただそれも考えてみれば当然のことかもしれない。今のAIは『人間を超えた』とまで言われるくらいに複雑で高度だから、人間を作ろうとするようなものだからなあ。だからこそ基本的には既存のAIを複製した上で用途に応じたコーディネートを加えたものが当たり前だしむしろそうでないとコストがかかりすぎるか。


AIは人間よりははるかに<成長>も早いものの人間を育てるような手間は結果としてかかるとのこと。その点、既存のAIを複製したものであれば元のAIの<経験値>もほぼそのまま使えるのもあってコーディネートやカスタマイズすらほとんどせずにというのもよくある話だ。使用条件が多少異なっててもAIは瞬時に最適化を行ってくれるし。


他には、ドーベルマンシリーズやホビットMk-Ⅱでやってるように、上位のAIの中に仮想AIを作って運用し、最適化を図ってから個別のAIに移し替えるという手法も一般的か。これも上位のAIが管理してくれるから最適化もスムーズで失敗が少ないそうだ。しかも最初からほぼ<一人前>に働いてくれるし。


ちなみに市販されているメイトギアは概ねこの方式で生産されてるとのこと。メーカーのメインフレームが母体となってロールアウトまでに<育成>するんだよ。ただし勘違いしてはいけないのが、


『AIが新しくAIを作ってるわけじゃない』


ということ。本質的に<コピーの一種>であって基になっているのはあくまでも、


<人間が作りだしたAI>


なんだ。だから規範から外れることもない。その辺りもやはり人間とは違うと言えるのか。人間はどんなに一定の基準に沿って育ててるつもりでも<個>が生じてただのコピーのようにはなってしまわない。


よくコミュニケーションが取れてる親子は喋り方や仕草まで親に似てくる場合があるとは言うものの、俺も実際にそんな感じの親子には何度も会ったことがあるものの、それでも親と子は<別の人間>なんだ。そもそも『似てる』というのはあくまで『同じではない』というのを言い換えたものでもあるわけで。


しかしAIは同じものとして用意すると基本的に<同じもの>が用意される。その後の経験によって主人や用途毎に最適化が図られて<個性>のようなものが見られたりするとはいえ、人間のそれとは本質的にやっぱり違うんだ。



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