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キャサリン編 できることはしていかなきゃな

『何度も性別を変える』こと自体は技術的には難しくないそうだ。実際、そうやって何度も性別を変えている人間もいると聞く。しかしそれはさすがに少なくないリスクも伴うことらしくて、<骨と皮だけの見た目>になったり<途轍もない肥満状態>になったりした事例の映像も見たことがあった。


もっともそれ自体は<整形手術>が珍しくもなくなった二十一世紀頃に理想の姿を求めて何度も整形手術を受けた者が<奇形>とさえ他人からは思える姿になってしまったり、手術の際のミスなどで重大な疾患に至った事例などがあったそうだから、それと似たようなものだとも言えるのかも。


俺にはその心理はまったく理解できないが。しかし『俺には理解できない』というのも、


<それを望む人間そのものを否定する根拠>


には決してならない。なにしろ俺は<本当にしがない一個人>にすぎないし、社会の理そのものを俺が作ってるわけでもない以上、俺が決められることじゃないんだ。それは承知してる。それを承知してない人間が自分の思うような社会こそが正しいと妄信して騒ぎを起こすんだろうな。


でもなあ、『自分の思う社会こそが正しい』と妄信するとか、途方もないストレスだとしか思えないんだよなあ。どうしてわざわざ自らストレスを覚えるような考え方に固執しようとするのかも俺には理解できない。


もっとも、他人からすれば俺のように延々と考え続けてることも<途方もないストレス>を生じさせることのようにも感じられるだろうし、実は当人にとってはそこまでストレスじゃないのかもしれないとは思う。思うものの実際にそれで心を病んでしまう者もいるらしいしなあ。その辺りは本当にどうなんだろうな。よく分からない。


さりとてそういうことについても俺がとやかく口出しすることじゃないんだろう。身近にメイトギアがいれば徹底的にケアもしてくれるだろうし。だがそういう、


<AIとロボットによる献身的なケア>


があってなお、


<自身の考えの固執した挙句に心を病む者>


というのは現にいるんだよなあ。その辺りも<人間の業の深さ>を感じさせるし、それを完全には回避できない時点で、


『まだAIやロボットは人間を完全に超えられたわけじゃない』


と思わされるかな。そういうのを常に確実に対処できるようになってようやく『人間を完全に超えた』と言えるのかもしれないとは感じるよ。


今の朋群(ほうむ)はその辺りはそれこそ<何千年も先の未来の話>になりそうなものの、できることはしていかなきゃなと思ってる。



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