キャサリン編 ある程度は許容しないと
今の俺達の状態も当然、
『コミュニティを形成している』
ということになるだろう。『互いに支え合って生きている』わけで。
しかし同時に、<俺達の村>と<ビクキアテグ村>と<コーネリアス号>という形で別れてることもまた事実。
『コミュニティ内でも互いにそれなりに距離を置く』
のも大事だろうな。だからこそ俺も誉達が巣立っていくのを止めなかったわけだし。血の繋がった親子であっても<それぞれ別の存在>であることは変わらない。互いに相手を敬えばこそ<距離感>ってのは大事だと思い知らされる。
ビアンカ達とキャサリンについてもそうだ。キャサリンを無理に自分達の枠に留め置こうとしてもそれはトラブルの原因にしかならないと思う。特にキャサリンは<地球人としてのメンタル>を持つビアンカとはまったく異なるメンタリティを持ってるんだから<地球人式>が通用するはずもない。その現実と向き合うならこれは当然の選択だろうな。
『家族なんだから一緒にいるのが当然』
という考え方もあるのは分かるよ。ましてや十歳にもならない我が子を一人で置くのは不安もあると思う。俺だってあった。子供達が巣立っていくのを見届けるのは怖かった。あれこれ想像してしまって。
まあだからこそ俺が直接守るんじゃなくて<ロボット>を用いて<子供達が自分で生きていくことのサポート>に徹することにしたんだ。もちろんそれも<干渉>には違いないが、<過干渉>にはならないように気を付けてたつもりではある。<過干渉>ってのはだいたい碌なことにならないわけで。
今のAIは蓄積されてきたノウハウによりその辺のところもわきまえてくれている。基本的に『明らかに法に触れる』ようなことでもない限りはっきりと手出しはしてこないんだ。『法にまでは触れないが間違いなくデメリットの方が多そう』なことなんかについては<アドバイス>程度に留めてくれるし。
まあ<AI・ロボット排斥主義者>達はそれすら気に食わないらしいが。とにかくAIやロボットが自分達に口出ししてくること自体が嫌なんだろう。
が、それも実際には<個人差>が結構大きいらしくてそこもまた<AI・ロボット排斥主義者のコミュニティ>内で揉める原因になると。これももちろん<多様性>ということだよな。多様性を認めないからコミュニティが不安定化する。確かに個人個人が好き勝手なことばかりしてたらコミュニティを維持できないのも事実ではありつつ、ある程度は許容しないとなあ。




